SIMフリースマホの販売台数シェアで2年連続の年間王者、ファーウェイの2018年を振り返る
次世代スマホカメラを5万円以下で実現した「HUAWEI nova 3」
平均単価4万8445円とミドルクラスの価格帯で、前後ともにダブル&AIカメラを実現した「HUAWEI nova 3(以下、nova 3)」も、今年のファーウェイの躍進を象徴する1台といえるだろう。約6.3インチのフルビューディスプレイを採用する「nova 3」は、アウトでF1.8/約2400万画素モノクロセンサー+F1.8/約1600万画素カラーセンサー、インで約2400万画素+約200万画素のダブルレンズカメラを搭載。クオリティの高いポートレードモードはハイエンドクラスにも引けを取らない。
そして、外せないのが次世代と呼ぶにふさわしいAIカメラだ。これはAIが被写体を自動判別し、それぞれのシーンに最適な設定で撮影するという機能。これまで何気なく撮影していた写真を手軽にアーティスティックにすることができ、多くのユーザーを魅了した。
例えば、SNSに投稿する人も多いであろう「フード」。AIをオンにしていれば、レンズを向けるだけですぐにシーンを認識。設定せずに撮影したものと比べて、温かみのある色合いに。食べ物だけでなく、それを乗せている石にも補正が及んでいるのがポイントだ。
美しさが際立っていたのが、逆光でつぶれてしまうことも多い「日の出/日の入り」のシーン。光を当てるところは当て、影を生かす部分は生かし、メリハリのある幻想的な1枚を撮影することができた。
スペックもAI専用プロセッサ(NPU)内蔵の「HUAWEI Kirin 970」を搭載、メモリはRAM4GB/ROM128GBと非常に優秀。スマホゲームでグラフィックの処理能力を高める「GPU Turbo」やゲームプレイ時にチップセットの割り当てや通知の非表示設定などができる「Game Suite」などの機能を備えるなど、高負荷のアプリを使用したいユーザーにとっても有力な選択肢となる端末だ。
2018年No.1との呼び声も高い「HUAWEI Mate 20 Pro」
最後に紹介しておきたいのが、年末に登場したファーウェイのフラグシップモデル「HUAWEI Mate 20 Pro(以下、Mate 20 Pro)」だ。約6.39インチ(解像度3120×1440ドット)の有機ELを採用した画面占有率86.9%のフルビューディスプレイは、側面がカーブしており見た目にも美しい。スペックは同社の最高クラスで、独自に開発した新型のAIプロセッサ「HUAWEI Kirin 980」を搭載。高負荷の作業を快適にこなせるだけでなく、アプリの立ち上げやブラウンジングなどの普段の作業も爆速で、多くのユーザーがその恩恵を実感した。
「Mate 20 Pro」の最大の特徴は、背面にスクウェアに配置された「Leicaトリプルカメラ」。約4000万画素/F1.8/27mmの広角、約2000万画素/F2.2/16mmの超広角、約800万画素/F2.4/80mmの3倍望遠という構成で、焦点距離は16~270mmと非常に広い。同じ風景でも超広角(0.6倍)~デジタルズーム(10倍)で撮り分けるとまったく異なる印象の写真を記録することができた。クオリティも一眼レフに劣らない出来栄えだ。
ダイナミックな風景撮影だけでなく、繊細なマクロな世界の描写でも最短2.5cmまで被写体に近寄れる「スーパーマクロ」モードも秀逸だ。試しに花を撮影してみたところ、滴る水滴や花びらにつかまる小さなアリなど、細部の際立つ写真を撮影することができた。
カメラ機能以外でも「Mate 20 Pro」は、とにかく新しいものづくしの端末だった。たとえば、指紋認証は同社の国内展開モデルとして初となるイン・スクリーン指紋認証を採用。フルビューディスプレイと指紋認証の快適さを両立し、新たなスタンダードを提案してみせた。
約30分で70%充電できる40Wの「HUWAWIスーパーチャージ」に対応するバッテリーが搭載している「ワイヤレスリバースチャージ」もユニーク。これはワイヤレス充電に対応する端末であれば、背面を合わせることでモバイルバッテリーのように給電できるというもの。スマホの域を超えた機能は、今後のスマホの進化の可能性をうかがわせた。
今回、紹介した3モデルだけでもキャラクターに幅があるが、これらは2018年に登場したファーウェイの端末のごく一部。実際はさらにスペックや価格帯が細かく分かれたモデルを多数展開した。SIMフリースマホ市場は裾野が拡大したことで、ニーズも多様化している。そうした市場動向とファーウェイの戦略がマッチしたことが、ファーウェイを2年連続のNo.1に押し上げた大きな勝因といえるだろう。(BCN・大蔵 大輔)
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