芸能事務所「スターダストプロモーション」初のeスポーツ女性タレント「スタダGG!」に、eスポーツの可能性を聞いてみた
【南雲記者が行く、なぐもんGO・7】 BCN記者の南雲亮平が日々の取材活動で気になる製品やサービスを実際に使ったり、現場に行って体験した感想をお伝えしたりする連載「なぐもんGO」。今回は、eスポーツ界でもとりわけ華やかなユニット「スタダGG!」を直撃した。時にはタレントとして、時にはゲーマーとして活躍するメンバーたちは、eスポーツにどのような可能性を見出しているのか、聞いてみた。
ゲームを使った競技「eスポーツ」は、2018年のユーキャン新語・流行語大賞のトップテンに選ばれるなど、2018年から飛躍的に注目を高めている。メディア露出も増えてきたことで、芸能事務所の参入も相次ぐなか、いち早く動き出していたのが「スターダストプロモーション」だ。同事務所は、17年6月にはeスポーツ選手を目指す女性ユニット「STARDUST GAME GIRLS(スタダGG!)」を始動。イベントや大会への参加、「OPENREC.tv」での動画配信などを行っている。
今回の取材では、スタダGG!のなかでもPCゲームを配信する、キャスターで一期生の伊藤千凪海(CHINAMIN)さん、女優で三期生の大久保聡美(SahTon)さん、アイドルユニット「S★スパイシー」として活動している一期生の栗田萌(KURIMOE)さん、ダンサーで二期生の服部彩加(HANZOMON)さんの4人に話を伺った。
SahTon 今は主に「リーグ・オブ・レジェンド(LoL)」や、たまに「オーバーウォッチ(OW)」の配信を水曜日の夕方6時からしています。時間帯は早いですが、LoLの視聴者を呼び込めるよう頑張っています。ケイン・コスギさんと一緒にLoLを配信したことがあり、さまざまな方に知っていただくきっかけになりました。
HANZOMON 金曜日の21時に、主に「シャドウバース」と、チラッとOWを配信しています。シャドウバースは月に1回ほどは大会に出場して、結果を出そうと尽力しているところです。ほかには、SahTonとのコラボ配信もOWでしています。今度、LoLでも配信することになっているんです。
KURIMOE 毎週火曜日の17時~19時に「PLAYERUNKNOWN‘S BATTLEGROUNDS(PUBG)」を配信しています。初めてプレーしてから1週間ほどで大会に出させてもらったんですが、100人中18位になることができたので、自分の中ではネタになっています。今では、女性限定の大会「PUBG GIRLS BATTLE」に出場することもあります。
CHINAMIN スターダスト初のプロeスポーツチーム「CHARLIE'S SPICE」でOWチームに所属しています。配信は木曜日の18時から20時。得意ゲームであるOWはもちろん、PUBGや「フォートナイト」といった、バトルロワイヤルのシューティングゲームなども配信しています。チーム活動が週に4回あって、OWの大会やイベントに参加しています。
──eスポーツプレーヤーとして活躍する一方で、キャスターや女優など元来の仕事もあるわけですが、配信に対してはどのような反響があるのでしょうか。
KURIMOE なかには、配信を通してゲームに興味を持っていただける方もいらっしゃいました。「PCゲームをやってみようかな?」と考えている様子でしたが、購入に至ったかは、まだわかりません(笑)。ゲーム配信自体のファンは少しずつ増えてきて、私の自己紹介を代わりにしてくださる方もいらっしゃって、いい関係を築けているかなと思います。
SahTon 女優としての活動を応援してくださる方の中には、ゲームに興味がなくても配信を見に来てくださる方もいらっしゃいます。配信中は、ゲームに精通している視聴者の方が新規でいらっしゃった方にゲームの説明をする、といった環境ができあがりつつあり非常にありがたいです。
CHINAMIN ゲームを始める前からやっていたラジオやテレビのお仕事を応援してくれているファンの方が、配信やイベントに来てくださることがあります。また、ゲームを始めてから私の事を知ってくださった方は、全くできないところからプロチームで活動する現在までを見て応援してくださっています。
──イベントや配信で自身の特技を生かせる場面などもあるのでしょうか。
HANZOMON ダンスやピアノをやっていたお蔭で、リズム感には自信があります。女性タレントのeスポーツクイーンを決める「eQリーグ」では、「太鼓の達人」が得意なので負けたくないです。もともとゲームをするといっても、「どうぶつの森」などの和やかなゲームをプレーしていました。最初にシューティングゲームをプレーした際は、目が回ってしまい「この先大丈夫かな……」と不安になりましたが、今では慣れて、何時間やっても酔うことはなくなりました。
CHINAMIN 特技を生かしている、という事ではないかもしれませんが、私は3歳から20歳まで水泳をやっていて、日本代表としても活動していたので、アスリート時代のファンの方が配信やイベントに来て下さることがあって励みになります。
──元来の仕事とのバランスを考えることもありますか。
KURIMOE 両立は大変ですが、どちらも本業です。ゲームに対しても本気で取り組んでいます。ゲームファンにも私たちのファンになっていただきたいと思い、積極的にゲームを配信しています。
CHINAMIN ゲームに本気で取り組んでいたからこそ、いただいた仕事もありました。ゲームを楽しみつつも、新たな仕事にもつなげられるようにしていきたいです。また、仕事として始めたゲームですが、今は趣味としても楽しんでいます。
SahTon eスポーツとしてはLoLを趣味でやっていたので、その延長でもあります。趣味でやりながら、仕事としても励んでいます。
HANZOMON 今はゲームの仕事をメインでさせていただいているので、ゲームを猛練習中です。eQリーグでも優勝を目指して頑張っています。
──今後の目標について教えてください。
CHINAMIN eスポーツを盛り上げるには、女性プレーヤーの存在もが欠かせないと思うので、女性プレーヤーがより注目されるように、自分がメディアに出ていける場を増やし、知ってもらう機会を多くして、少しでも普及に繋がったらと思っています。
KURIMOE ゲームの社会的な地位がまだ低いように思うので、見た目を華やかにしたり、大会の様子などを広めてたりして向上させていこうと思います。個人的には、PUBGの本場、韓国の熱を感じてみたいです。そして、その熱を日本に伝えたいです。
HANZOMON eQリーグでは、スタダGG!が一番上手くなければならないと考えています。負けたら、何のためにゲームをプレーしているのかわかりません。あとは、個人的にシャドウバースで結果を残したいです。
SahTon eスポーツを盛り上げたいという気持ちもありますが、私がやっているLoLが日本に浸透するように、配信する側として頑張っていきます。LoLはeスポーツの中でも世界的に人気なので、まずは自分のやっているゲームからいろんな方に知っていただきたいです。
その高い実力からは想像もつかなかったが、一期生は「電源の入れ方もわからなかった」ところから始まったという。ところが今では、「ゲームで負けたくない」という思いが生まれるほど真剣にゲームと向き合っている。二期生以降はゲームに自信のある経験者が加入していることから、その本気の度合いがうかがえる。
真剣に取り組む背景には、「やってみたら面白く、ハマってしまった」といった理由のほかにも、「ゲームが仕事の幅を広げるチャンスにもなり得る」という理由があるだろう。そしてなにより、「ゲーマーが夢を持てる環境をつくるため、eスポーツを盛り上げていきたい」という思いがある。スタダGG!の活動がゲームに興味を持つきっかけになったという事例があり、その思いは実現しつつあるといえる。
女性がeスポーツに参入しやすい環境をつくる上でも、スタダGG!のような存在は欠かせない。プレーヤーでも観客でも、女性が活躍しているシーンを見れば、共感も得やすいはずだ。そういった事例の「見本になりたい」とCHINAMINさんは語る。
メンバーのやる気を生かすため、スタダGG!には業界では類を見ないほど整った配信環境がある。ゲーム配信用の部屋にはゲーム機だけでなく、コントローラーやゲーミングPC、Webカメラ、キャプチャーボードといった備品が整然と並んでおり、さらには芸能事務所ならではの大きなスタジオも完備している。機器に不具合があれば、スポンサーについているデルのゲーミングブランド「ALIENWARE」がサポートしてくれるなど、支援体制もバッチリだ。
本業はタレントで、eスポーツの流行に乗っているだけ、では決してない。メンバーはプライドを持って各々のeスポーツに取り組んでいたし、設備や備品を整える事務所の環境整備も並大抵ではなかった。取材を通して感じたのは、話題に乗るというよりも、eスポーツが話題になるように活動するという意気込みだった。今後もスタダGG!の活躍には、注目していきたい。(BCN・南雲 亮平)
ゲームを使った競技「eスポーツ」は、2018年のユーキャン新語・流行語大賞のトップテンに選ばれるなど、2018年から飛躍的に注目を高めている。メディア露出も増えてきたことで、芸能事務所の参入も相次ぐなか、いち早く動き出していたのが「スターダストプロモーション」だ。同事務所は、17年6月にはeスポーツ選手を目指す女性ユニット「STARDUST GAME GIRLS(スタダGG!)」を始動。イベントや大会への参加、「OPENREC.tv」での動画配信などを行っている。
今回の取材では、スタダGG!のなかでもPCゲームを配信する、キャスターで一期生の伊藤千凪海(CHINAMIN)さん、女優で三期生の大久保聡美(SahTon)さん、アイドルユニット「S★スパイシー」として活動している一期生の栗田萌(KURIMOE)さん、ダンサーで二期生の服部彩加(HANZOMON)さんの4人に話を伺った。
eスポーツに本気で取り組むタレント
──現在はどのような活動をしているのでしょうか。SahTon 今は主に「リーグ・オブ・レジェンド(LoL)」や、たまに「オーバーウォッチ(OW)」の配信を水曜日の夕方6時からしています。時間帯は早いですが、LoLの視聴者を呼び込めるよう頑張っています。ケイン・コスギさんと一緒にLoLを配信したことがあり、さまざまな方に知っていただくきっかけになりました。
HANZOMON 金曜日の21時に、主に「シャドウバース」と、チラッとOWを配信しています。シャドウバースは月に1回ほどは大会に出場して、結果を出そうと尽力しているところです。ほかには、SahTonとのコラボ配信もOWでしています。今度、LoLでも配信することになっているんです。
KURIMOE 毎週火曜日の17時~19時に「PLAYERUNKNOWN‘S BATTLEGROUNDS(PUBG)」を配信しています。初めてプレーしてから1週間ほどで大会に出させてもらったんですが、100人中18位になることができたので、自分の中ではネタになっています。今では、女性限定の大会「PUBG GIRLS BATTLE」に出場することもあります。
CHINAMIN スターダスト初のプロeスポーツチーム「CHARLIE'S SPICE」でOWチームに所属しています。配信は木曜日の18時から20時。得意ゲームであるOWはもちろん、PUBGや「フォートナイト」といった、バトルロワイヤルのシューティングゲームなども配信しています。チーム活動が週に4回あって、OWの大会やイベントに参加しています。
──eスポーツプレーヤーとして活躍する一方で、キャスターや女優など元来の仕事もあるわけですが、配信に対してはどのような反響があるのでしょうか。
KURIMOE なかには、配信を通してゲームに興味を持っていただける方もいらっしゃいました。「PCゲームをやってみようかな?」と考えている様子でしたが、購入に至ったかは、まだわかりません(笑)。ゲーム配信自体のファンは少しずつ増えてきて、私の自己紹介を代わりにしてくださる方もいらっしゃって、いい関係を築けているかなと思います。
SahTon 女優としての活動を応援してくださる方の中には、ゲームに興味がなくても配信を見に来てくださる方もいらっしゃいます。配信中は、ゲームに精通している視聴者の方が新規でいらっしゃった方にゲームの説明をする、といった環境ができあがりつつあり非常にありがたいです。
CHINAMIN ゲームを始める前からやっていたラジオやテレビのお仕事を応援してくれているファンの方が、配信やイベントに来てくださることがあります。また、ゲームを始めてから私の事を知ってくださった方は、全くできないところからプロチームで活動する現在までを見て応援してくださっています。
──イベントや配信で自身の特技を生かせる場面などもあるのでしょうか。
HANZOMON ダンスやピアノをやっていたお蔭で、リズム感には自信があります。女性タレントのeスポーツクイーンを決める「eQリーグ」では、「太鼓の達人」が得意なので負けたくないです。もともとゲームをするといっても、「どうぶつの森」などの和やかなゲームをプレーしていました。最初にシューティングゲームをプレーした際は、目が回ってしまい「この先大丈夫かな……」と不安になりましたが、今では慣れて、何時間やっても酔うことはなくなりました。
CHINAMIN 特技を生かしている、という事ではないかもしれませんが、私は3歳から20歳まで水泳をやっていて、日本代表としても活動していたので、アスリート時代のファンの方が配信やイベントに来て下さることがあって励みになります。
──元来の仕事とのバランスを考えることもありますか。
KURIMOE 両立は大変ですが、どちらも本業です。ゲームに対しても本気で取り組んでいます。ゲームファンにも私たちのファンになっていただきたいと思い、積極的にゲームを配信しています。
CHINAMIN ゲームに本気で取り組んでいたからこそ、いただいた仕事もありました。ゲームを楽しみつつも、新たな仕事にもつなげられるようにしていきたいです。また、仕事として始めたゲームですが、今は趣味としても楽しんでいます。
SahTon eスポーツとしてはLoLを趣味でやっていたので、その延長でもあります。趣味でやりながら、仕事としても励んでいます。
HANZOMON 今はゲームの仕事をメインでさせていただいているので、ゲームを猛練習中です。eQリーグでも優勝を目指して頑張っています。
──今後の目標について教えてください。
CHINAMIN eスポーツを盛り上げるには、女性プレーヤーの存在もが欠かせないと思うので、女性プレーヤーがより注目されるように、自分がメディアに出ていける場を増やし、知ってもらう機会を多くして、少しでも普及に繋がったらと思っています。
KURIMOE ゲームの社会的な地位がまだ低いように思うので、見た目を華やかにしたり、大会の様子などを広めてたりして向上させていこうと思います。個人的には、PUBGの本場、韓国の熱を感じてみたいです。そして、その熱を日本に伝えたいです。
HANZOMON eQリーグでは、スタダGG!が一番上手くなければならないと考えています。負けたら、何のためにゲームをプレーしているのかわかりません。あとは、個人的にシャドウバースで結果を残したいです。
SahTon eスポーツを盛り上げたいという気持ちもありますが、私がやっているLoLが日本に浸透するように、配信する側として頑張っていきます。LoLはeスポーツの中でも世界的に人気なので、まずは自分のやっているゲームからいろんな方に知っていただきたいです。
0からプライドを持って臨むまで
実は、CHINAMINさん、SahTonさん、HANZOMONさんとは、J:COM主催のチーム対抗大会「eee! GAME JAPAN スーパーボンバーマン Rみんなのキズナカップ」の「関東大会B」で同じトーナメント表に載っていたという縁もある。我がチームは初戦敗退だったので、残念ながら直接ボムを交えることはなかったが、スタダGG!は地区大会決勝に進出し「東京ゲームショウ2018」で行われた全国大会に出場した。その高い実力からは想像もつかなかったが、一期生は「電源の入れ方もわからなかった」ところから始まったという。ところが今では、「ゲームで負けたくない」という思いが生まれるほど真剣にゲームと向き合っている。二期生以降はゲームに自信のある経験者が加入していることから、その本気の度合いがうかがえる。
真剣に取り組む背景には、「やってみたら面白く、ハマってしまった」といった理由のほかにも、「ゲームが仕事の幅を広げるチャンスにもなり得る」という理由があるだろう。そしてなにより、「ゲーマーが夢を持てる環境をつくるため、eスポーツを盛り上げていきたい」という思いがある。スタダGG!の活動がゲームに興味を持つきっかけになったという事例があり、その思いは実現しつつあるといえる。
女性がeスポーツに参入しやすい環境をつくる上でも、スタダGG!のような存在は欠かせない。プレーヤーでも観客でも、女性が活躍しているシーンを見れば、共感も得やすいはずだ。そういった事例の「見本になりたい」とCHINAMINさんは語る。
メンバーのやる気を生かすため、スタダGG!には業界では類を見ないほど整った配信環境がある。ゲーム配信用の部屋にはゲーム機だけでなく、コントローラーやゲーミングPC、Webカメラ、キャプチャーボードといった備品が整然と並んでおり、さらには芸能事務所ならではの大きなスタジオも完備している。機器に不具合があれば、スポンサーについているデルのゲーミングブランド「ALIENWARE」がサポートしてくれるなど、支援体制もバッチリだ。
本業はタレントで、eスポーツの流行に乗っているだけ、では決してない。メンバーはプライドを持って各々のeスポーツに取り組んでいたし、設備や備品を整える事務所の環境整備も並大抵ではなかった。取材を通して感じたのは、話題に乗るというよりも、eスポーツが話題になるように活動するという意気込みだった。今後もスタダGG!の活躍には、注目していきたい。(BCN・南雲 亮平)