海外で利益の半分を目指す 大原孝治ドンキホーテHD社長が掲げる世界戦略
昨年12月に新業態「DON DON DONKI」をシンガポールに出店し、東南アジアに初進出を果たしたドンキホーテホールディングス(ドンキホーテHD)。来年1月には同国に3店舗目の出店を予定している。ドンキホーテHDが初めて海外進出を果たしたのは2006年。THE DAI'EI(USA)を買収して進出したハワイ州を足掛かりに米国でも店舗を拡大している。大原孝治社長は、海外戦略について「将来的には売上の半分を目指す」と意気込む。
取材・文/大蔵 大輔
写真/中田 浩資
大原 来年以降の計画もすでに進んでいます。1月にシンガポール(3店舗目)、2019年6月期中にタイで新規出店する予定です。ハワイ州とカリフォルニア州で38店舗を展開していますから、海外100店舗体制もそう遠くないうちに実現できるでしょう。将来的には、利益の半分を海外であげたいと考えています。
――なぜ東南アジアの足掛かりにシンガポールを選ばれたのですか。
大原 ドンキがこれまで日本で展開してきた業態もスキマを狙ったものでしたが、シンガポールはそれよりもっと大きいスキマがありました。各業種業態の世界各国における慣れ合い、すなわち、企業間競争の欠落です。
――つまり、消費者の足元をみた価格付けで商売をしていると。
大原 その可能性はあります。われわれの店舗で販売している商品は、それまでメイド・イン・ジャパンを販売していた周辺店舗の約3割は安いです。もちろん企業努力もありますが、決して無茶なプライシングではありません。結果、今現地では周辺店舗の信頼性が落ちるという状況が発生しています。「なんで今までこんなに高かったの?」と。われわれは、そうした企業と比べてもらうことで選んでいただけています。
今後、日本は人口が減っていくので、企業も人も外に出ていきます。海外事業を成功させるには、海外に駐在している日本人に向けたビジネス、そしてその“本物さ”を現地の人に向けて発信していくビジネス、この両輪が重要だと考えています。
――アメリカの流通業は頭打ちという印象がありますが、ビジネスチャンスはあるのでしょうか。
大原 アメリカも大きなビジネスチャンスが眠っていますよ。意外に思われるかもしれませんが、アメリカの流通業界は過去のモデルが煮詰まっているだけで、現代の消費社会のニーズに応えられていければ、うまく取り込むスキマはあると思います。
大原 ドン・キホーテという屋号は日本では認知されていますが、これから打って出る世界では知られた名前ではありません。世界でも通用する名前ということで、われわれが事業領域に据える環太平洋、すなわち「パン・パシフィック」という名前に決まりました。大きな決定ですが、即断でした。もちろん創業者の安田(安田隆夫氏)にも相談しました。
――商号変更と合わせて、創業者の安田隆夫氏が、新任の取締役に就任する予定であることも発表されました。現在、安田氏はシンガポールを拠点に海外事業の陣頭指揮をとっています。相談はよくされているのですか。
大原 今でも週によりますが、よく話をしていますよ。脳内が似ていますから、二人で話をしていると、どっちが言い出したことなのか、最後にはわからなくなっています。うまくいったことについては自分が言った、うまくいかなかったことはそっちが言ったと。功績の奪い合いですね(笑)でも、安田の後押しがあるからこそいつも自信をもって新しいことに挑戦することができます。
取材・文/大蔵 大輔
写真/中田 浩資
海外事業は“スキマ”にチャンス
――現在、米国とシンガポールで海外事業を展開しています。今後の計画は。大原 来年以降の計画もすでに進んでいます。1月にシンガポール(3店舗目)、2019年6月期中にタイで新規出店する予定です。ハワイ州とカリフォルニア州で38店舗を展開していますから、海外100店舗体制もそう遠くないうちに実現できるでしょう。将来的には、利益の半分を海外であげたいと考えています。
――なぜ東南アジアの足掛かりにシンガポールを選ばれたのですか。
大原 ドンキがこれまで日本で展開してきた業態もスキマを狙ったものでしたが、シンガポールはそれよりもっと大きいスキマがありました。各業種業態の世界各国における慣れ合い、すなわち、企業間競争の欠落です。
――つまり、消費者の足元をみた価格付けで商売をしていると。
大原 その可能性はあります。われわれの店舗で販売している商品は、それまでメイド・イン・ジャパンを販売していた周辺店舗の約3割は安いです。もちろん企業努力もありますが、決して無茶なプライシングではありません。結果、今現地では周辺店舗の信頼性が落ちるという状況が発生しています。「なんで今までこんなに高かったの?」と。われわれは、そうした企業と比べてもらうことで選んでいただけています。
今後、日本は人口が減っていくので、企業も人も外に出ていきます。海外事業を成功させるには、海外に駐在している日本人に向けたビジネス、そしてその“本物さ”を現地の人に向けて発信していくビジネス、この両輪が重要だと考えています。
――アメリカの流通業は頭打ちという印象がありますが、ビジネスチャンスはあるのでしょうか。
大原 アメリカも大きなビジネスチャンスが眠っていますよ。意外に思われるかもしれませんが、アメリカの流通業界は過去のモデルが煮詰まっているだけで、現代の消費社会のニーズに応えられていければ、うまく取り込むスキマはあると思います。
商号変更に込めた決意
――来年2月1日に社名を「パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス」に商号を変更すると発表されていますが、この変更は海外戦略を推し進めていくという決意の表れなのでしょうか。大原 ドン・キホーテという屋号は日本では認知されていますが、これから打って出る世界では知られた名前ではありません。世界でも通用する名前ということで、われわれが事業領域に据える環太平洋、すなわち「パン・パシフィック」という名前に決まりました。大きな決定ですが、即断でした。もちろん創業者の安田(安田隆夫氏)にも相談しました。
――商号変更と合わせて、創業者の安田隆夫氏が、新任の取締役に就任する予定であることも発表されました。現在、安田氏はシンガポールを拠点に海外事業の陣頭指揮をとっています。相談はよくされているのですか。
大原 今でも週によりますが、よく話をしていますよ。脳内が似ていますから、二人で話をしていると、どっちが言い出したことなのか、最後にはわからなくなっています。うまくいったことについては自分が言った、うまくいかなかったことはそっちが言ったと。功績の奪い合いですね(笑)でも、安田の後押しがあるからこそいつも自信をもって新しいことに挑戦することができます。