【家電コンサルのリテールマーケティング Vol.15】 顧客が店内を回遊する際に目に留まるのが、商品棚の端のエンドと呼ばれるコーナーだ。エンドで展示する商品の視認性を高めることは、そのまま買上点数や単価のアップにつながる。家電量販店の「エンド訴求」の基本について考える。
家電量販店のエンド訴求には、大きく分けてボトムラインの商品を活用する「安さ感」の演出と、ハイエンド商品の特徴をアピールする「メリット提案」の二つがある。
安さ感を訴求すると成約率は高まるが、ボトムの商品ばかりが売れて、単価が上がらないといった課題がある。一方で、メリット提案では売れれば単価は上がるが、あまりに多用すると「価格が高いイメージ」を顧客に植え付けてしまうというデメリットが生じる。
このように、どちらのエンド訴求にも一長一短はあるが、両方に共通する前提条件がある。それは(1)視認率、(2)展示アイテム数、(3)アイテムの展示量の3点である。今回は(1)視認率について解説し、(2)と(3)のアイテム数とその展示量については次回に触れよう。
販売は「お客様の目の中に買っていただきたい商品を入れることから始まる」と言われるほど、何よりも顧客に商品を見てもらい、認識してもらうことが重要である。そのため、視認率を上げるには、顧客が多く通過する場所に展示することが欠かせない。
例えば、一般的な家電量販店のレイアウトを考えた場合、入口から100人の顧客が入店すれば、メイン通路に面したAのエンドの前は50人以上が通過するイメージだ。これに対して、メイン通路とは反対側の奥にあるBのエンドは目的買いの顧客がほとんどになるため、15人程度に減少する。この15人の顧客のうちの3人がBに置かれた商品を購入すると仮定すれば、この商品をAのエンドに移すだけで10人が購入するという計算になる。
このようにメイン通路に近いエンドと奥のエンドの商品を入れ替えるだけで売り上げは変わってくるため、「どのエンドでどの商品を展開するか?」とを考えるのがポイントだ。
ちなみにAのエンドでも、顧客の動線が左から右に移動する場合(1)はエンド内の左側の視認性が高く、逆に右から左に歩く場合(2)は、エンド内の右側の視認性が高くなる。顧客が歩くときの視線を考えれば、エンドの側面にPOPを貼ったり、移動中の顧客に発見してもらえたりするような工夫をすると効果的である。
以上のことから、顧客が多く通過する場所とその場所までの動線を確認した上で、目に留まるPOPや装飾を行い、視認率を高めることがエンド訴求の基本となる。(堀田経営コンサルタント事務所・堀田泰希)
■Profile
堀田泰希
1962年生まれ。大手家電量販企業に幹部職として勤務。2007年11月、堀田経営コンサルティング事務所を個人創業。大手家電メーカー、専門メーカー、家電量販企業で実施している社内研修はその実戦的内容から評価が高い。
家電量販店のエンド訴求には、大きく分けてボトムラインの商品を活用する「安さ感」の演出と、ハイエンド商品の特徴をアピールする「メリット提案」の二つがある。
安さ感を訴求すると成約率は高まるが、ボトムの商品ばかりが売れて、単価が上がらないといった課題がある。一方で、メリット提案では売れれば単価は上がるが、あまりに多用すると「価格が高いイメージ」を顧客に植え付けてしまうというデメリットが生じる。
このように、どちらのエンド訴求にも一長一短はあるが、両方に共通する前提条件がある。それは(1)視認率、(2)展示アイテム数、(3)アイテムの展示量の3点である。今回は(1)視認率について解説し、(2)と(3)のアイテム数とその展示量については次回に触れよう。
販売は「お客様の目の中に買っていただきたい商品を入れることから始まる」と言われるほど、何よりも顧客に商品を見てもらい、認識してもらうことが重要である。そのため、視認率を上げるには、顧客が多く通過する場所に展示することが欠かせない。
例えば、一般的な家電量販店のレイアウトを考えた場合、入口から100人の顧客が入店すれば、メイン通路に面したAのエンドの前は50人以上が通過するイメージだ。これに対して、メイン通路とは反対側の奥にあるBのエンドは目的買いの顧客がほとんどになるため、15人程度に減少する。この15人の顧客のうちの3人がBに置かれた商品を購入すると仮定すれば、この商品をAのエンドに移すだけで10人が購入するという計算になる。
このようにメイン通路に近いエンドと奥のエンドの商品を入れ替えるだけで売り上げは変わってくるため、「どのエンドでどの商品を展開するか?」とを考えるのがポイントだ。
ちなみにAのエンドでも、顧客の動線が左から右に移動する場合(1)はエンド内の左側の視認性が高く、逆に右から左に歩く場合(2)は、エンド内の右側の視認性が高くなる。顧客が歩くときの視線を考えれば、エンドの側面にPOPを貼ったり、移動中の顧客に発見してもらえたりするような工夫をすると効果的である。
以上のことから、顧客が多く通過する場所とその場所までの動線を確認した上で、目に留まるPOPや装飾を行い、視認率を高めることがエンド訴求の基本となる。(堀田経営コンサルタント事務所・堀田泰希)
■Profile
堀田泰希
1962年生まれ。大手家電量販企業に幹部職として勤務。2007年11月、堀田経営コンサルティング事務所を個人創業。大手家電メーカー、専門メーカー、家電量販企業で実施している社内研修はその実戦的内容から評価が高い。