ファーウェイのCFO逮捕、中国メディアは推移を静観

経営戦略

2018/12/07 14:25

【上海発】中国の華為技術(ファーウェイ)の孟晩舟・最高財務責任者(CFO)が12月1日、航空機の乗り継ぎで訪れたカナダで逮捕された。事件が報道された5日以降、中国国内でもニュースになっているが、各メディアは事実を淡々と伝え、推移を静観している。

上海市内のファーウェイの店舗

 中国メディア新京報は6日、「ファーウェイのCFOが逮捕された。米国は何を企んでいるか」とのタイトルの記事をウェブ上に掲載した。記事では、孟CFOがカナダで航空機を乗り継ぎした際、米国の委任を受けたカナダ当局に逮捕されたことを紹介し、「イランに対する米国の制裁措置に違反した疑いをかけられている」と伝えた。

 一方、観察者網は同日の記事で、米国の調査会社の見解や編集者の発言として「ファーウェイは、5G分野で主導権を握るよう努力しており、米国最大のチップメーカと競争するための準備を進めている」と報道。スマートフォン(スマホ)の出荷台数がアップルを上回っていることにも触れて「これらは、米国がファーウェイを『脅威』とみなす重要な要素になっている」とした。

 また、中国の短文投稿サイト「微博(ウェイボ)」では、「米国はファーウェイのトラブルを探し始めた」「米国で5Gの市場を失うことになる。通信設備で競争力を失った場合、ファーウェイはただのスマホメーカーになってしまう」と先行きを不安視する声が上がった。

 事件をめぐっては、在カナダ中国大使館が「重大な人権侵害だ」と強く抗議し、中国外交部は孟CFOの即時釈放を求めている。米中の新たな火種になるとの見方もあり、ウェイボのあるユーザーは「これは戦争のリズムだ」と投稿した。