手軽に自宅にある不用品を売ったり、中古品を交渉次第で安く購入したりできるフリマアプリはここ数年ですっかり定着した。ユーザーは若者中心という印象が強いが、実は終活や生前整理のためのツールとして、シニア層の利用も増えている。12月5日には、メルカリが同社初となる60歳以上のユーザーを対象としたシニア限定座談会を開催した。
メルカリの調査によると、不用品の二次流通想定額、いわゆる“かくれ資産”は、日本全体で推計37兆177万円にのぼるという。これは1人あたり約28万円の計算だが、年代に比例して金額は上がる。最大は60代女性で49.8万円という結果になった。
出品カテゴリーにも年代ごとに特徴がある。20-30代は子供用品が上位を占めるのに対して、50-60代はレコードや美術品、ゴルフなど趣味性の高いものが多い。意外にも取引成立率は20-30代より高く、50-60代女性では40.3%の確率で出品した商品が購入されている。
座談会は8人程度のグループに分かれて実施され、各々がよく売買する商品や出品のコツなどについて意見を交わした。家電製品をメインで出品しているというヘビーユーザーの男性は写真や商品紹介の用意にこだわりをもっているそうだ。BDレコーダーの出品時であれば、実際にニュース番組を録画している様子を撮影し掲載。掲載している写真がリアルタイムの状態であることをアピールする。手書きの説明書まで用意する徹底ぶりだ。
女性同士では衣類の梱包や発送方法のテクニックで話がはずんでいた。たとえば、発送時に使用する紙袋や圧縮袋。少しでも配送費を安く済ませるためにどこで梱包材を集めているのか、中身が見えないためにどのように工夫しているのか、といったコツをお互いに交換していた。
ユニークだったのは、どうしても売れない不用品を処分するための方法だ。ある女性は売れ筋のアイテムに売れにくいアイテムをおまけとして付けたり、似た商品を福袋形式で出品したりすることで効率的に商品をさばいているとのこと。これには同席していた女性も目からウロコといった様子だった。
メルカリでは出品時によく使用するテキストをすぐに呼び出せるテンプレート機能を11月14日に実装した。これは座談会の参加者からも出品スピードが上がったと好評だった。一方で、使用頻度が高いゆえの改善してほしいポイントもあがった。
購入時に相手のこれまでの取引数や取引評価を参照しているという男性は出品時に落ち度がなかったにも関わらず、「普通」の評価をつけられたと憤る。メルカリでは出品者が購入者を評価したあとに購入者が出品者を評価するシステムを採用している。「自分は『良い』の評価をつけたのに……出品者が先に評価するシステムは不公平では?」と事務局に要望した。
今回の座談会参加者の最高齢は80歳。以前はリアルの中古販売店を利用していたが乗り換えた、家族に薦められた、ハンドメイドの販売先として、など利用のきっかけはさまざまだったが、「出品や販売が難しい」という不満はほとんど聞こえなかった。
デジタルリテラシーが上がっていることもあるが、マインドの変化もあるようだ。「私たちの世代はもったいない精神が強いが、誰かに購入してもらえれば無駄にしたという意識は少ない。むしろ家で眠らせている方がもったいない」(参加者女性)。出品できるアイテムの保有数や出品にかけられる時間を考えれば、リタイア世代の伸びしろは若年層以上。フリマアプリ市場の今後の成長を左右する重要なターゲットになりそうだ。(BCN・大蔵 大輔)
メルカリの調査によると、不用品の二次流通想定額、いわゆる“かくれ資産”は、日本全体で推計37兆177万円にのぼるという。これは1人あたり約28万円の計算だが、年代に比例して金額は上がる。最大は60代女性で49.8万円という結果になった。
出品カテゴリーにも年代ごとに特徴がある。20-30代は子供用品が上位を占めるのに対して、50-60代はレコードや美術品、ゴルフなど趣味性の高いものが多い。意外にも取引成立率は20-30代より高く、50-60代女性では40.3%の確率で出品した商品が購入されている。
座談会は8人程度のグループに分かれて実施され、各々がよく売買する商品や出品のコツなどについて意見を交わした。家電製品をメインで出品しているというヘビーユーザーの男性は写真や商品紹介の用意にこだわりをもっているそうだ。BDレコーダーの出品時であれば、実際にニュース番組を録画している様子を撮影し掲載。掲載している写真がリアルタイムの状態であることをアピールする。手書きの説明書まで用意する徹底ぶりだ。
女性同士では衣類の梱包や発送方法のテクニックで話がはずんでいた。たとえば、発送時に使用する紙袋や圧縮袋。少しでも配送費を安く済ませるためにどこで梱包材を集めているのか、中身が見えないためにどのように工夫しているのか、といったコツをお互いに交換していた。
ユニークだったのは、どうしても売れない不用品を処分するための方法だ。ある女性は売れ筋のアイテムに売れにくいアイテムをおまけとして付けたり、似た商品を福袋形式で出品したりすることで効率的に商品をさばいているとのこと。これには同席していた女性も目からウロコといった様子だった。
メルカリでは出品時によく使用するテキストをすぐに呼び出せるテンプレート機能を11月14日に実装した。これは座談会の参加者からも出品スピードが上がったと好評だった。一方で、使用頻度が高いゆえの改善してほしいポイントもあがった。
購入時に相手のこれまでの取引数や取引評価を参照しているという男性は出品時に落ち度がなかったにも関わらず、「普通」の評価をつけられたと憤る。メルカリでは出品者が購入者を評価したあとに購入者が出品者を評価するシステムを採用している。「自分は『良い』の評価をつけたのに……出品者が先に評価するシステムは不公平では?」と事務局に要望した。
今回の座談会参加者の最高齢は80歳。以前はリアルの中古販売店を利用していたが乗り換えた、家族に薦められた、ハンドメイドの販売先として、など利用のきっかけはさまざまだったが、「出品や販売が難しい」という不満はほとんど聞こえなかった。
デジタルリテラシーが上がっていることもあるが、マインドの変化もあるようだ。「私たちの世代はもったいない精神が強いが、誰かに購入してもらえれば無駄にしたという意識は少ない。むしろ家で眠らせている方がもったいない」(参加者女性)。出品できるアイテムの保有数や出品にかけられる時間を考えれば、リタイア世代の伸びしろは若年層以上。フリマアプリ市場の今後の成長を左右する重要なターゲットになりそうだ。(BCN・大蔵 大輔)