補聴器の世界に新たな風を吹き込んだオーティコン補聴器の「Oticon Opn(以下、Opn)」。これまでの補聴器とは異なる新たなアプローチで世界中の聞こえに悩む人を魅了している。世界累計販売台数は2016年の発売からわずか2年で100万台を突破。現在は150万台に達している。これは補聴器としては極めて異例の出来事だ。そして、今年10月30日には待望の耳あな型が発売された。
実際に使用してみてはじめてわかることだが、違和感の少ない音によって、もっとも恩恵を受けるのは“脳”だ。一般的に音を聞くのは耳だと思われているが、実際には脳が聞くべき音を選択、文脈などを分析、それがどんな意味をもつか理解するという複雑なプロセスを経て、音として認識される。逆に実際の音と補聴器を通して聞こえる音に乖離があると、その分だけ脳が音を認識するために余分な負荷がかかることになる。
オーティコンは20年以上前から「ブレインヒアリング」という考え方に基づき、いかに脳に負荷をかけずに音を聞き取るかを研究しており、その成果がOpnに集約されている。
耳あな型のOpnが“待望”といわれているのは、日本が世界的にも耳あな型の使用比率が高い国だからだ。すでにOpnのラインアップがある耳かけ型も近年は小型化が進んでいるが、より小さく目立ちにくい耳あな型の需要は高い。一般社団法人日本補聴器工業会が発表している「日本国内補聴器出荷台数の推移」によると、17年時点で耳あな型は全体の約32%を占めている。目立ちにくさや装着のしやすさを重視したい方、屋外での仕事や趣味をもつ方にとって耳あな型はベストの選択になっているのだ。
耳あな型のメリットである「小さく目立ちにくく、個々人の耳に合わせて、オーダーメイドで作成する」という特徴は、Opnの耳あな型の開発に時間を要した理由でもある。Opnの要である高度な技術を耳あな型に搭載するためには、従来のパーツや設計を一から見直す必要があったからだ。ハード面の変更ではフェースプレートや電池ぶたのデザイン(外から見える部分)やマイク、アンプの小型化、製品の全体像に関わるシェルの設計など多岐にわたり、長い年月をかけてようやく完成形に辿りついた。
ラインアップはユーザーのニーズ、聴力、搭載機能などに合わせてサイズの異なるフル・ハーフ・カナル・CIC・IICの5スタイルが揃った。補聴器のサイズは「フル」がもっとも大きく、「カナル」が標準、「IIC」が最小サイズ。IICについては、耳あなにすっぽりと隠れる程度の大きさしかなく、外から見ても補聴器の装用者だと判断するのが難しいほどだ。
エッセンシャルモデルのエッセンシャルは「欠かすことができない」の意、わかりやすくいえば、価格を抑えつつも高性能を追求したコスパモデルのことだ。しかし、SiyaはOpnが採用する高性能チップVeloxを搭載したり、Bluetoothによる外部機器連携に対応したりと、フラグシップモデルのテクノロジーも色濃く継承している。オープンサウンドナビゲーターには対応していないが、音質は同社のエッセンシャルモデル史上最高を謳う。Siyaは耳かけ型と耳あな型で計9スタイルを揃えており、ユーザーはそれぞれに合った最適なスタイルを選択できる。
これはOpnと連携するアプリ「ONアプリ」の新機能で、補聴器の装用時間やプログラム使用の比率などを記録できるというものだ。世界初のヒアリングフィットネス・トラッキング技術で、今後は日常の騒音レベルの確認や補聴器装用のモチベーション向上につながるヒントを受けるといった方向での進化も模索している。
世界と比較すると、日本の補聴器の装用率はきわめて低い。これには装用したときの満足度の低さも影響しているようだ。補聴器を試してみたものの「想像していた聞こえではなく疲れてしまう」と、諦めてしまった人も少なくはない。しかし、いまはテクノロジーの力で補聴器は飛躍的に進化している。初心者だけでなく、リトライしたいと考えている人にも、最新補聴器は新しい音の世界を提供してくれるはずだ。
耳あな型の「Oticon Opn」は音質と目立ちにくさを追求
Opnが先進的なのは、11コアのNoC(ネットワークオンチップ)を搭載する高性能チップ「Velox」の高速の情報処理能力によるところが大きい。これまでの補聴器は特定の方向の音をフォーカスする指向性のものがほとんどだったが、Opnは360°の音を高速で処理する「オープンサウンドナビゲーター」を搭載しており、周囲の複数の人の声を自然に耳に届ける。実際に使用してみてはじめてわかることだが、違和感の少ない音によって、もっとも恩恵を受けるのは“脳”だ。一般的に音を聞くのは耳だと思われているが、実際には脳が聞くべき音を選択、文脈などを分析、それがどんな意味をもつか理解するという複雑なプロセスを経て、音として認識される。逆に実際の音と補聴器を通して聞こえる音に乖離があると、その分だけ脳が音を認識するために余分な負荷がかかることになる。
オーティコンは20年以上前から「ブレインヒアリング」という考え方に基づき、いかに脳に負荷をかけずに音を聞き取るかを研究しており、その成果がOpnに集約されている。
耳あな型のOpnが“待望”といわれているのは、日本が世界的にも耳あな型の使用比率が高い国だからだ。すでにOpnのラインアップがある耳かけ型も近年は小型化が進んでいるが、より小さく目立ちにくい耳あな型の需要は高い。一般社団法人日本補聴器工業会が発表している「日本国内補聴器出荷台数の推移」によると、17年時点で耳あな型は全体の約32%を占めている。目立ちにくさや装着のしやすさを重視したい方、屋外での仕事や趣味をもつ方にとって耳あな型はベストの選択になっているのだ。
耳あな型のメリットである「小さく目立ちにくく、個々人の耳に合わせて、オーダーメイドで作成する」という特徴は、Opnの耳あな型の開発に時間を要した理由でもある。Opnの要である高度な技術を耳あな型に搭載するためには、従来のパーツや設計を一から見直す必要があったからだ。ハード面の変更ではフェースプレートや電池ぶたのデザイン(外から見える部分)やマイク、アンプの小型化、製品の全体像に関わるシェルの設計など多岐にわたり、長い年月をかけてようやく完成形に辿りついた。
ラインアップはユーザーのニーズ、聴力、搭載機能などに合わせてサイズの異なるフル・ハーフ・カナル・CIC・IICの5スタイルが揃った。補聴器のサイズは「フル」がもっとも大きく、「カナル」が標準、「IIC」が最小サイズ。IICについては、耳あなにすっぽりと隠れる程度の大きさしかなく、外から見ても補聴器の装用者だと判断するのが難しいほどだ。
エッセンシャルモデルの基準を引き上げる「Oticon Siya」
先進の補聴器であるOpnには高度な機能が搭載されているが、価格もそれに比例している。なかなか手が届かないというユーザーには、同時期に発売したエッセンシャルモデルの「Oticon Siya(以下、Siya)」を薦めたい。エッセンシャルモデルのエッセンシャルは「欠かすことができない」の意、わかりやすくいえば、価格を抑えつつも高性能を追求したコスパモデルのことだ。しかし、SiyaはOpnが採用する高性能チップVeloxを搭載したり、Bluetoothによる外部機器連携に対応したりと、フラグシップモデルのテクノロジーも色濃く継承している。オープンサウンドナビゲーターには対応していないが、音質は同社のエッセンシャルモデル史上最高を謳う。Siyaは耳かけ型と耳あな型で計9スタイルを揃えており、ユーザーはそれぞれに合った最適なスタイルを選択できる。
ソフトウェアで装用をサポート
最後にソフトウェアを重視するオーティコン補聴器ならではのトピックとして、今年1月に米国・ラスベガスで開催された家電見本市「CES 2018」のソフトウェア・モバイルアプリ部門で「2018CESイノベーションアワード」に輝いた「HearingFitness(ヒアリングフィットネス)」を紹介したい。これはOpnと連携するアプリ「ONアプリ」の新機能で、補聴器の装用時間やプログラム使用の比率などを記録できるというものだ。世界初のヒアリングフィットネス・トラッキング技術で、今後は日常の騒音レベルの確認や補聴器装用のモチベーション向上につながるヒントを受けるといった方向での進化も模索している。
世界と比較すると、日本の補聴器の装用率はきわめて低い。これには装用したときの満足度の低さも影響しているようだ。補聴器を試してみたものの「想像していた聞こえではなく疲れてしまう」と、諦めてしまった人も少なくはない。しかし、いまはテクノロジーの力で補聴器は飛躍的に進化している。初心者だけでなく、リトライしたいと考えている人にも、最新補聴器は新しい音の世界を提供してくれるはずだ。