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ジョルダン、MaaS事業者を目指す、まずは乗換案内と地図を一体化

経営戦略

2018/11/27 19:05

 経路検索関連の製品・サービス「乗換案内」を提供するメーカー、ジョルダンは11月27日、MaaS(Mobility as a Service)事業者になる方向性を発表した。2018年7月にMaaS関連ビジネスを手掛けるための子会社としてJ MaaSを設立したほか、10月に「Door to Door(ドア・ツー・ドア)」の案内を実現するサービスの提供も開始している。

 MaaSとは、鉄道や飛行機、バスなどといった従来の交通機関に加えて、新しい移動手段であるカーシェアやシェアバイク、規制緩和の進展によるライドシェア、技術の進歩による自動運転などを、自由に組み合わせてシームレスに使えるサービスを指す。多くのベンダーにとっては、MaaSをベースにさまざまな角度からビジネスチャンスがつかめる時代に突入しようとしている。

 一方、経路検索サービスを取り巻く国内環境は、ユーザーがスマートフォン(スマホ)を使って当たり前のように利用しているほか、最近では大手キャリアがスマホにスタンダードで経路検索のアプリを搭載してスマホを提供するケースが多くなっている。交通機関の経路が検索できるという枠を超えて、さまざまなサービスを付加していくことが重要になっている。

 佐藤俊和社長は、「フィンランドのMaaS Golobalに代表されるように、世界でMaaS市場が拡大する機運が高まっている。そのような状況だからこそ、経路検索を武器にMaaS市場に参入することが重要だと捉えている」とアピールしている。
 
佐藤俊和社長

 ジョルダンが子会社を設立して描いているMaaSのビジネスモデルは、あくまでもプラットフォームを提供するサプライヤーに徹し、交通事業者やサービス事業者などとパートナーシップを組んで、ユーザーにアプリを提供するMaaSオペレーターの求めるものを全て提供。MaaSを通じたエコシステムの構築によって、さまざまなサービスを一気通貫でつなげることを目標に据えている。
 
J MaaSで実現しようとしているエコシステム

 このような環境を整えるため、「まずは、乗換案内と地図の一体化に踏み切った」(佐藤社長)という。そこで、乗換案内に地図と「徒歩ナビゲーション」の機能を追加した。

 新機能では、地図機能をはじめ、駅やバス停・飲食店やその他スポットの周辺検索などが可能。徒歩ナビゲーション機能では、ユーザーが目的地に迷わず到着できるようにしている。佐藤博志・戦略企画部部長は、「ユーザーによる『乗換案内を利用した後に他の地図アプリを立ち上げるのが面倒』という声に応えて利便性を高めた」としている。
 
佐藤博志部長
 
乗換案内と地図を一体化した新機能

 今後は、乗換案内を使いながら新幹線や高速バスなどのチケットが購入できるサービスも模索しているという。乗換案内に対する月間検索回数が2億回超、これまでのアプリダウンロード数が3000万超を誇るジョルダンが、MaaSビジネスへの本格着手によって、どう成長していくのか、注目が集まる。
 
チケットが購入できるサービスも模索