高機能化が進む無線LAN、中国メーカーの台頭が目覚ましい
PCやスマートフォン(スマホ)をはじめ、ゲーム機、プリンターも無線接続が標準になりつつある。今まで有線LANケーブルで届く範囲に設置して使用せざるを得なかった各機器は、無線LAN対応によって場所を問わず自由な設置が可能となり、少なくともケーブルの配線に困ることは少なくなったはずだ。
しかし、Wi-Fiは無線LANルーターの設置場所と家庭でデバイスを使う場所によって、つながりにくい場合がある。しかも、無線LANルーターから距離が離れるに従って電波が弱くなり、壁や遮蔽物があれば電波がさらに弱くなる。家の間取りにもよるが、例えば2階建て一軒家でリビングに無線LANルーターを設置していた場合、2階の部屋で距離があってWi-Fiにつながりにくい、といった経験はあるだろう。筆者も、2階の自室で動画サイトを閲覧していたら、いつの間にかWi-Fiが切断されて気付かずにスマホの4G回線で動画を閲覧、あっという間に通信速度制限がかかったという苦い経験がある。
こういった悲劇を繰り返さないため、せめて、この「つながりにくい」を改善する策は打っておきたい。そこで、役立つのが無線LANの中継機だ。無線LANルーターに最も近づいた時の速度は担保できないものの、使用想定場所から無線LANルーターまでの中間に設置すれば、ある程度の速度を確保しつつ、Wi-Fiとの接続をキープできる。
全国の家電量販店・ECサイトなどのPOSデータを収集している「BCNランキング」では、無線LANの製品タイプとして、主に無線LANルーター本体であるアクセスポイント(親機)、アクセスポイントの電波を受信するアダプタ(子機)、中継機やアンテナなどを含む「その他」と3つに分類している。この中継機を含む「その他」について、市場構成比は2015年10月の8.7%から徐々に構成比が上昇。17年7月で15.7%に急上昇し、18年10月で16.6%になっている。「その他」には業務用の遠距離無指向性外部アンテナなどを含むが、機種別ラインアップを見る限り、主なけん引役は、やはり中継機だ。
この中継機を含む「その他」市場も年を追うごとに性能が上昇。伝送方式「IEEE 802.11ac」に対応した製品も、15年10月の59.2%から、18年10月で85.7%まで上昇し、いまや802.11ac対応が当たり前になりつつある。
この中継機含む「その他」市場でトップシェアを獲得しているのは、無線LANの雄であるバッファロー。これまでも圧倒的なシェアを獲得し、18年10月に61.1%でトップを確保している。ところが、17年10月で2位に浮上して躍進しているメーカーがいる。中国に本社を持つTP-LINK Technologiesだ。同社は、15年10月に日本法人を設立、ECショップでの販売を中心に、今では家電量販店の店頭でも見かけることが多い。18年10月で22.5%と2ケタシェアを安定して獲得している。
しかし、中継機も今後どうなるか分からない。無線LAN市場では今、大きく変革の時を迎えており、複数のWi-Fiアクセスポイントを設置して、その間を「網の目」のように接続することで、より広い範囲に最適なWi-Fi環境を提供するための技術「メッシュネットワーク」製品が各社から発売となり、4月にグーグルがこの市場に目を付けて「Google Wifi」を発売した。無線LANルーター本体を中継機のように複数の場所に配置してネットワーク環境を改善する製品のため、値段次第で中継機市場が圧迫される可能性は否めない。バッファロー以外の国内メーカーがどうシェアを巻き返すのか、今後の市場動向に注目したい。(BCN・栃木亮範)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。
しかし、Wi-Fiは無線LANルーターの設置場所と家庭でデバイスを使う場所によって、つながりにくい場合がある。しかも、無線LANルーターから距離が離れるに従って電波が弱くなり、壁や遮蔽物があれば電波がさらに弱くなる。家の間取りにもよるが、例えば2階建て一軒家でリビングに無線LANルーターを設置していた場合、2階の部屋で距離があってWi-Fiにつながりにくい、といった経験はあるだろう。筆者も、2階の自室で動画サイトを閲覧していたら、いつの間にかWi-Fiが切断されて気付かずにスマホの4G回線で動画を閲覧、あっという間に通信速度制限がかかったという苦い経験がある。
こういった悲劇を繰り返さないため、せめて、この「つながりにくい」を改善する策は打っておきたい。そこで、役立つのが無線LANの中継機だ。無線LANルーターに最も近づいた時の速度は担保できないものの、使用想定場所から無線LANルーターまでの中間に設置すれば、ある程度の速度を確保しつつ、Wi-Fiとの接続をキープできる。
全国の家電量販店・ECサイトなどのPOSデータを収集している「BCNランキング」では、無線LANの製品タイプとして、主に無線LANルーター本体であるアクセスポイント(親機)、アクセスポイントの電波を受信するアダプタ(子機)、中継機やアンテナなどを含む「その他」と3つに分類している。この中継機を含む「その他」について、市場構成比は2015年10月の8.7%から徐々に構成比が上昇。17年7月で15.7%に急上昇し、18年10月で16.6%になっている。「その他」には業務用の遠距離無指向性外部アンテナなどを含むが、機種別ラインアップを見る限り、主なけん引役は、やはり中継機だ。
この中継機を含む「その他」市場も年を追うごとに性能が上昇。伝送方式「IEEE 802.11ac」に対応した製品も、15年10月の59.2%から、18年10月で85.7%まで上昇し、いまや802.11ac対応が当たり前になりつつある。
この中継機含む「その他」市場でトップシェアを獲得しているのは、無線LANの雄であるバッファロー。これまでも圧倒的なシェアを獲得し、18年10月に61.1%でトップを確保している。ところが、17年10月で2位に浮上して躍進しているメーカーがいる。中国に本社を持つTP-LINK Technologiesだ。同社は、15年10月に日本法人を設立、ECショップでの販売を中心に、今では家電量販店の店頭でも見かけることが多い。18年10月で22.5%と2ケタシェアを安定して獲得している。
しかし、中継機も今後どうなるか分からない。無線LAN市場では今、大きく変革の時を迎えており、複数のWi-Fiアクセスポイントを設置して、その間を「網の目」のように接続することで、より広い範囲に最適なWi-Fi環境を提供するための技術「メッシュネットワーク」製品が各社から発売となり、4月にグーグルがこの市場に目を付けて「Google Wifi」を発売した。無線LANルーター本体を中継機のように複数の場所に配置してネットワーク環境を改善する製品のため、値段次第で中継機市場が圧迫される可能性は否めない。バッファロー以外の国内メーカーがどうシェアを巻き返すのか、今後の市場動向に注目したい。(BCN・栃木亮範)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。