グループ売上高1兆円の達成なるか!? アイリスオーヤマがデジタル家電に参入
アイリスオーヤマは11月5日、液晶テレビ「LUCAシリーズ」7機種を発表した。11月22日から発売する。7機種の内訳は、4K・HDR対応で65型、55型、49型、43型液晶テレビのA620シリーズ4機種、43型、40型でフルハイビジョンのA420シリーズ2機種、32型でハイビジョンのA320シリーズ。同社は、2009年にLED電球で家電領域、15年にIHジャー炊飯器で白物家電領域に参入。17年4月には、ルームエアコンで大型白物家電事業も手掛けるようになった。今回の液晶テレビによって、デジタル家電を新たな事業として加えることになった。
アイリスオーヤマは18年7月、創業60周年を期に創業者の大山健太郎氏から長男の大山晃弘氏に社長交代。中期経営計画で、「2022年グループ売上高1兆円」を掲げている。18年度(18年12月期)の売上高として見込んでいる5000億円を、22年度に倍増させるわけだ。なお、18年度の単体売上高として1800億円を見込んでおり、そのうち家電事業が半分以上の1000億円で、ここにデジタル家電事業を積み増すことになる。
人材面では、これまで大手家電メーカーでリストラされた技術者を「大阪R&Dセンター」で積極的に中途採用することによって、技術力を蓄積して家電事業を拡大してきた。11月末には、東京・港区に新オフィス「アイリスグループ東京本部(東京R&Dセンター)」を開設。東京R&DセンターをLED照明と家電製品の研究開発拠点と位置付けている。
ここで気になるのは、49型のLT-49A620が税別の実勢価格として9万9800円前後と、いわゆる格安4Kテレビの2倍となる価格設定だ。
格安4Kテレビについては、17年6月にドン・キホーテが50型を税別5万4800円で発売したのを引き金に競争が勃発。ノジマが49型で5万3800円、グリーンハウスやゲオが50型で4万9800円、ディスカウントストアのミスターマックスが49型で4万8800円に設定している。
今年に入ってからも、ネット通販専業のMOASTOREが49型で5万3800円、ドン・キホーテが第2弾、第3弾、第4弾を発売、ゲオが第2弾を市場に投入と、ヒートアップしている。7月には、家電量販最大手のヤマダ電機もFUANIブランドで1機種だけだが50型を4万9800円で販売。格安4Kテレビでは、50型で5万円前後という価格帯が主流となりつつある。
このような状況に対してアイリスオーヤマでは、過度の鮮やかさを抑えて、自然な色彩と美しさを再現して目にも優しい独自チューニングの映像技術などを格安4Kテレビとの差別化として打ち出している。また、外付けHDDの2台接続が可能で、外付けHDDに裏番組を録画しながら1番組を視聴する使い勝手もアピールしている。ただ、18年12月開始の「新4K8K衛生放送」を視聴するには、別売の4Kチューナーを接続する必要がある。
国内テレビ市場は、ハイスペックモデルでシャープやソニー、パナソニックなどの大手メーカーが立ちはだかっており、格安とハイスペックともに、既に超激戦区となっている。この市場に、あえて参入するアイリスオーヤマの戦略と、この戦略によって果たしてグループ売上高1兆円を達成するかどうかに注目が集まる。(BCN・細田 立圭志)
アイリスオーヤマは18年7月、創業60周年を期に創業者の大山健太郎氏から長男の大山晃弘氏に社長交代。中期経営計画で、「2022年グループ売上高1兆円」を掲げている。18年度(18年12月期)の売上高として見込んでいる5000億円を、22年度に倍増させるわけだ。なお、18年度の単体売上高として1800億円を見込んでおり、そのうち家電事業が半分以上の1000億円で、ここにデジタル家電事業を積み増すことになる。
人材面では、これまで大手家電メーカーでリストラされた技術者を「大阪R&Dセンター」で積極的に中途採用することによって、技術力を蓄積して家電事業を拡大してきた。11月末には、東京・港区に新オフィス「アイリスグループ東京本部(東京R&Dセンター)」を開設。東京R&DセンターをLED照明と家電製品の研究開発拠点と位置付けている。
格安4Kテレビの倍の価格設定
LUCAシリーズの価格はオープンで、税別の実勢価格は、65型のLT-65A620が14万8000円前後、55型のLT-55A620が10万8000円前後、49型のLT-49A620が9万9800円前後、43型のLT-43A620が7万9800円前後、43型のLT-43A420が6万9800円前後、40型のLT-40A420が5万9800円前後、32型のLT-32A320が4万9800円前後。ここで気になるのは、49型のLT-49A620が税別の実勢価格として9万9800円前後と、いわゆる格安4Kテレビの2倍となる価格設定だ。
格安4Kテレビについては、17年6月にドン・キホーテが50型を税別5万4800円で発売したのを引き金に競争が勃発。ノジマが49型で5万3800円、グリーンハウスやゲオが50型で4万9800円、ディスカウントストアのミスターマックスが49型で4万8800円に設定している。
今年に入ってからも、ネット通販専業のMOASTOREが49型で5万3800円、ドン・キホーテが第2弾、第3弾、第4弾を発売、ゲオが第2弾を市場に投入と、ヒートアップしている。7月には、家電量販最大手のヤマダ電機もFUANIブランドで1機種だけだが50型を4万9800円で販売。格安4Kテレビでは、50型で5万円前後という価格帯が主流となりつつある。
このような状況に対してアイリスオーヤマでは、過度の鮮やかさを抑えて、自然な色彩と美しさを再現して目にも優しい独自チューニングの映像技術などを格安4Kテレビとの差別化として打ち出している。また、外付けHDDの2台接続が可能で、外付けHDDに裏番組を録画しながら1番組を視聴する使い勝手もアピールしている。ただ、18年12月開始の「新4K8K衛生放送」を視聴するには、別売の4Kチューナーを接続する必要がある。
国内テレビ市場は、ハイスペックモデルでシャープやソニー、パナソニックなどの大手メーカーが立ちはだかっており、格安とハイスペックともに、既に超激戦区となっている。この市場に、あえて参入するアイリスオーヤマの戦略と、この戦略によって果たしてグループ売上高1兆円を達成するかどうかに注目が集まる。(BCN・細田 立圭志)