「5Gでゲームはどう面白くなるか?」、TGS2018で専門家が議論
9月20~23日に開催された「東京ゲームショウ2018」のビジネスデイ2日目に、TGS Forum 2018 専門セッションで、「5Gでゲームはどう面白くなるか?」について専門家や関係者が議論した。
登壇したのは、NTTドコモのコンシューマビジネス推進部ゲームビジネス担当の森永宏二氏、スクウェア・エニックスのテクノロジー推進部リードAIリサーチャーの三宅陽一郎氏、評論家/編集者であり明治大学野生の科学研究所研究員の中川大地氏。モデレーターは、ビットメディアの社長兼5GMFアプリケーション委員会利用シーンWG主査の高野雅晴氏が務めた。
「5G」とは、第五世代の移動通信システムのこと。現在の日本に普及しているLTE回線の次世代にあたる規格だ。10Gbpsを超えるような超高速通信やさらなる低遅延化、多数の端末との接続への対応などが期待されている。この5Gがどのようにゲーム影響するのか、4人が話し合った。
冒頭、高野氏がセッションを企画した理由について「今までの通信は、通信事業者がサービスを用意したら、契約者がそれを利用する形でサービスを展開していた。5Gでは、利用されるサービスに技術が柔軟に対応することで、通信サービスと一緒にアプリなどのサービスを企画できる。なので、5Gの技術検討、展開、提供には、異業種産業との連携が必須。特に期待されているのがゲーム」と説明した。
これらの経験から、「5Gが実現したら、スマートフォン向けのeスポーツタイトルの普及に期待できる。複数のカメラの情報をユーザー自らがカスタマイズしてストリーミング配信を楽しむなど、新たな視聴体験も提供できるようになるだろう。また、光回線を敷設する手間も省けるので、大会は運営しやすくなる」とコメントした。
具体的な案として、5GをVRゲームに活用する事例を挙げた。「5Gとネットワークの進化がうまくかみ合えば、デバイスも進化するはず。サーバー側で処理したデータを5Gでヘッドマウントディスプレイに送ることで、端末側での処理を少なくすれば、ヘッドマウントディスプレイ自体は小さくできる。そうすることで、新たなゲームの体験が生まれるだろう」と期待する。
これまでは、予測処理などに回線が間に合わない場合は、クライアント側かサーバー上で調節していたので、サーバー側とユーザー側のデータが一致しない場合もあった。しかし、5Gで大容量高速配信できるようになれば、サーバー側とユーザー側のデータを正確に同期させられるはずだ。
さらに、ビッグデータ解析の速度が向上し、ユーザーの特徴も即座に理解できるようになる。これにより、「ユーザーの帰宅時間などにあわせたゲーム内イベントや、ユーザーの属性に合わせた物語、場所に合わせたゲームなどを自動で生成するシステムが生み出される可能性もある」と展望する。
「多人数のユーザーが同時に同じ現象を共有できるようになるのではないか」という案も魅力的だった。「例えば、都内にいる100万人が協力して、都庁前の巨大な怪獣を倒す、といった大規模な街をまたいだゲームができるようになるかもしれない。5Gを使えば、ユーザーの端末内で別々に処理するのではなく、すべての処理を遅延少なく同時にユーザーの端末に反映できる」(三宅氏)。
中川氏は、「『超高速大容量』『低遅延』『低消費電力』『大量同時接続』といった5G通信の特性が、ゲーム空間を“現実”化し、実空間を“ゲーム”化する要件を満たしている。仮想現実や拡張現実の域を超えた、『疑似自然(デジタルネイチャー)』と呼びうる現実改変が起こる」と話す。つまり、ゲームの仮想空間が日常化し、現実を塗り替える可能性があるという。
登壇したのは、NTTドコモのコンシューマビジネス推進部ゲームビジネス担当の森永宏二氏、スクウェア・エニックスのテクノロジー推進部リードAIリサーチャーの三宅陽一郎氏、評論家/編集者であり明治大学野生の科学研究所研究員の中川大地氏。モデレーターは、ビットメディアの社長兼5GMFアプリケーション委員会利用シーンWG主査の高野雅晴氏が務めた。
「5G」とは、第五世代の移動通信システムのこと。現在の日本に普及しているLTE回線の次世代にあたる規格だ。10Gbpsを超えるような超高速通信やさらなる低遅延化、多数の端末との接続への対応などが期待されている。この5Gがどのようにゲーム影響するのか、4人が話し合った。
冒頭、高野氏がセッションを企画した理由について「今までの通信は、通信事業者がサービスを用意したら、契約者がそれを利用する形でサービスを展開していた。5Gでは、利用されるサービスに技術が柔軟に対応することで、通信サービスと一緒にアプリなどのサービスを企画できる。なので、5Gの技術検討、展開、提供には、異業種産業との連携が必須。特に期待されているのがゲーム」と説明した。
eスポーツ×5Gの可能性
最初にNTTドコモの森永氏が、「eスポーツ×5Gの可能性」について語った。NTTドコモは、今年1月に5Gを活用してeスポーツのイベントを開催している。回線速度の体感や、eスポーツの新たな視聴体験など、実験的な取り組みを実施し、独自に5Gとゲームの可能性について模索していた。これらの経験から、「5Gが実現したら、スマートフォン向けのeスポーツタイトルの普及に期待できる。複数のカメラの情報をユーザー自らがカスタマイズしてストリーミング配信を楽しむなど、新たな視聴体験も提供できるようになるだろう。また、光回線を敷設する手間も省けるので、大会は運営しやすくなる」とコメントした。
具体的な案として、5GをVRゲームに活用する事例を挙げた。「5Gとネットワークの進化がうまくかみ合えば、デバイスも進化するはず。サーバー側で処理したデータを5Gでヘッドマウントディスプレイに送ることで、端末側での処理を少なくすれば、ヘッドマウントディスプレイ自体は小さくできる。そうすることで、新たなゲームの体験が生まれるだろう」と期待する。
5G時代のゲームの人口知能
次にゲームを作る立場にあるスクウェア・エニックスの三宅陽一郎氏が、「5G時代のゲームの人口知能(AI)」について語った。ゲームAIは、敵や味方の動きを決めるだけでなく、ゲームの進行を見守る役割も担っている。三宅氏は、「5Gの時代になったらゲームがプレーヤーを理解し、プレーヤーに合わせてコンテンツを作るようになる」と予想する。これまでは、予測処理などに回線が間に合わない場合は、クライアント側かサーバー上で調節していたので、サーバー側とユーザー側のデータが一致しない場合もあった。しかし、5Gで大容量高速配信できるようになれば、サーバー側とユーザー側のデータを正確に同期させられるはずだ。
さらに、ビッグデータ解析の速度が向上し、ユーザーの特徴も即座に理解できるようになる。これにより、「ユーザーの帰宅時間などにあわせたゲーム内イベントや、ユーザーの属性に合わせた物語、場所に合わせたゲームなどを自動で生成するシステムが生み出される可能性もある」と展望する。
「多人数のユーザーが同時に同じ現象を共有できるようになるのではないか」という案も魅力的だった。「例えば、都内にいる100万人が協力して、都庁前の巨大な怪獣を倒す、といった大規模な街をまたいだゲームができるようになるかもしれない。5Gを使えば、ユーザーの端末内で別々に処理するのではなく、すべての処理を遅延少なく同時にユーザーの端末に反映できる」(三宅氏)。
現実改変「疑似自然(デジタルネイチャー)」がもたらされる
最後に、中川氏がゲームの歴史について振り返りつつ、5Gがもたらすゲームの今後について語った。中川氏は、「『超高速大容量』『低遅延』『低消費電力』『大量同時接続』といった5G通信の特性が、ゲーム空間を“現実”化し、実空間を“ゲーム”化する要件を満たしている。仮想現実や拡張現実の域を超えた、『疑似自然(デジタルネイチャー)』と呼びうる現実改変が起こる」と話す。つまり、ゲームの仮想空間が日常化し、現実を塗り替える可能性があるという。