共働き世代の増加やEC市場拡大の影響で、宅配便の増加は社会問題になっている。国土交通省の発表では2017年の宅配便個数は42億個。そのうち、再配達は約2割に上る。その対策として挙げられているのが“宅配ボックス”。不在時でも荷物を受け取ることができ、配送業者・ユーザーともにメリットがあるのだが、いまひとつ普及していないのが現状だ。そのテコ入れとして、LIXILが目をつけたのが“IoT”。9月26日に発表した「スマート宅配ポスト」は戸建住宅向けとして、業界で初めてスマホ&クラウド連携機能を実装した。
富士経済が発表した「2018年版 住設建材/システム関連市場・技術の現状と将来展望」では、宅配ボックスの市場は18年の165億円から5年後の23年には3.3倍の550億円にまで拡大すると予測している。これは現在のエクステリア市場で最も比率が高いフェンスに匹敵する市場規模だ。
その主軸になるだろうとLIXILが予測するのが「宅配ポスト」。LIXIL Housing Technology Japan エクステリア事業部の庵原岳史氏は「郵便ポストや宅配ボックス、インターホン、表札などが一体化したものが現在の配送問題を解決する」との見解を示した。
そもそも現在の宅配ボックスは、ユーザー・配送業者・EC事業者の三者がそれぞれに不満を抱えている。ユーザーであればスペースが確保できない、配送業者は配送の証拠が残らない、EC業者は配送状況が把握できないなど。LIXILはこの根本的な原因が「情報共有の欠如」にあると考えた。
新製品の「スマート宅配ポスト」は、従来に比べてサイズを70%縮小したカメラや野外でも電波品質が安定するDECT通信など、最新のテクノロジーを採用することで、スマホ―宅配ポスト間の双方向通信を可能にした。配達後に荷受け通知があるだけでなく、これまでは難しかった複数の配達業者からの受け取りや集荷にも対応。三者が配送情報を常に共有できる仕組みを構築した。
ネックになるのは価格だ。ユーザーにとって宅配ポストはあくまで商品の受け取り・発送の手段。20~30万円を支払う価値があると判断するかは疑問が残る。「スマート宅配ポスト」は、まずは個人のスマホ連携からスタートするが、今後はクラウドを活用した外部サービスとの連携を視野に入れている。LIXILは「個人から社会へのつながりへ」をスローガンに掲げており、商品の受け取り・発送だけでなく、新たな価値を提供できるか否かが普及を左右することになりそうだ。(BCN・大蔵 大輔)
富士経済が発表した「2018年版 住設建材/システム関連市場・技術の現状と将来展望」では、宅配ボックスの市場は18年の165億円から5年後の23年には3.3倍の550億円にまで拡大すると予測している。これは現在のエクステリア市場で最も比率が高いフェンスに匹敵する市場規模だ。
その主軸になるだろうとLIXILが予測するのが「宅配ポスト」。LIXIL Housing Technology Japan エクステリア事業部の庵原岳史氏は「郵便ポストや宅配ボックス、インターホン、表札などが一体化したものが現在の配送問題を解決する」との見解を示した。
そもそも現在の宅配ボックスは、ユーザー・配送業者・EC事業者の三者がそれぞれに不満を抱えている。ユーザーであればスペースが確保できない、配送業者は配送の証拠が残らない、EC業者は配送状況が把握できないなど。LIXILはこの根本的な原因が「情報共有の欠如」にあると考えた。
新製品の「スマート宅配ポスト」は、従来に比べてサイズを70%縮小したカメラや野外でも電波品質が安定するDECT通信など、最新のテクノロジーを採用することで、スマホ―宅配ポスト間の双方向通信を可能にした。配達後に荷受け通知があるだけでなく、これまでは難しかった複数の配達業者からの受け取りや集荷にも対応。三者が配送情報を常に共有できる仕組みを構築した。
ネックになるのは価格だ。ユーザーにとって宅配ポストはあくまで商品の受け取り・発送の手段。20~30万円を支払う価値があると判断するかは疑問が残る。「スマート宅配ポスト」は、まずは個人のスマホ連携からスタートするが、今後はクラウドを活用した外部サービスとの連携を視野に入れている。LIXILは「個人から社会へのつながりへ」をスローガンに掲げており、商品の受け取り・発送だけでなく、新たな価値を提供できるか否かが普及を左右することになりそうだ。(BCN・大蔵 大輔)