【記者のひとこと】言の葉に乗せる

コラム

2018/09/19 10:00

 短い言葉に深い意味を込める古語はとても美しいですね。例えば「いとをかし」と使われる「をかし」という言葉ですが、「おかしい」「風情がある」「美しい」など、さまざまな意味があります。前後の文言からどの意味で使われているのか、読み手が考え、当てはめていくわけです。

 こうした古語選びのセンスが冴えているのが、和歌ではないでしょうか。五・七・五・七・七と、Twitterよりも短い31文字のなかに、季節の美しさ、恋の喜びや哀しみ、人生の儚さなど、さまざまな感情を織り込んでいます。

 レノボ・ジャパンのデビット・ベネット社長は、日本の大学で古典文学を学び、古語の美しさのファンになったとのこと。特に古今和歌集が大好きだそうです。夏から秋へ、季節の変わり目の今はこんな歌を詠んでいるかもしれません。

 秋きぬと 目にはさやかに 見えねども 風の音にぞ おどろかれぬる(藤原敏行)

 この風は、金木犀の香りを含んでいそうですね。(山下彰子)

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