日本へのインバウンドの増加が、日本経済に大きな影響を与えている。訪日観光をきっかけに越境ECで日本製品を購入したり、訪日外国人旅行客向けに宿泊業への投資が増加したりと、旅行消費には計上されない4兆円を超える経済効果が出てきた。観光庁では、「観光は日本経済成長の主要エンジンに変化しつつある」と分析している。
観光庁が発表した平成30年版の観光白書によると、2017年の訪日外国人旅行者数は2869万人(前年比19.3%増)で過去最多を記録。消費額は17.8%増の4兆4162億円となった。この旅行者数と消費額で、最も大きな割合を占めているのは中国だ。
訪日中国人は736万人で全体の25.6%、消費額は1兆6947億円で全体の38.4%をそれぞれ占める。一人あたりの消費額も23万382円でトップ、とくに買い物による支払額が大きい。
観光庁は、17年の越境ECを通じた日本製品購買の全体額を1兆5500億円と推計。そのうち中国は1兆1100億円で71.6%を占めている。また、回答者自身の訪日観光がきっかけになった購買額は6300億円、家族や知人の訪日観光がきっかけになった購買額は1500億円と見込んでいる。
ほかにも、北海道の金融事業者が外貨自動両替機を設置したり、沖縄では4か国語に対応する社内案内板を設置したりと、投資は宿泊業だけにとどまらない。素材や機械、飲料、製菓、外食産業など地域や業種を問わずに投資が活発化している。
インバウンドが日本経済の成長をけん引する主要産業になったとはいえ、宿泊施設の不足やマナーの違いなど解決すべき課題はまだ多い。翻訳機や通訳機の普及で言葉の壁は低くなりつつあるが、訪日客と地域住民の双方が満足・納得できる施策を探し続けなければならない。
観光庁が発表した平成30年版の観光白書によると、2017年の訪日外国人旅行者数は2869万人(前年比19.3%増)で過去最多を記録。消費額は17.8%増の4兆4162億円となった。この旅行者数と消費額で、最も大きな割合を占めているのは中国だ。
訪日中国人は736万人で全体の25.6%、消費額は1兆6947億円で全体の38.4%をそれぞれ占める。一人あたりの消費額も23万382円でトップ、とくに買い物による支払額が大きい。
越境ECを通じて輸出増、きっかけは訪日観光
日本貿易振興機構(JETRO)の「中国の消費者の日本製品等意識調査」では、北京や上海、広州に住む中・高所得層の約7割は、越境ECで日本製品の購買経験があると回答している。購入の理由については、約4割が「日本を旅行したときに購入して気に入った製品だから」と回答。インバウンド需要が、越境ECを通じた輸出増に寄与していることを示している。観光庁は、17年の越境ECを通じた日本製品購買の全体額を1兆5500億円と推計。そのうち中国は1兆1100億円で71.6%を占めている。また、回答者自身の訪日観光がきっかけになった購買額は6300億円、家族や知人の訪日観光がきっかけになった購買額は1500億円と見込んでいる。
宿泊をはじめ幅広い業種への投資が活発化
宿泊業においては、17年に1兆円弱程度の建設投資を創出しているという。宿泊業の建築物工事予定額は5年で8.4倍。全体の伸び率の2割以上は宿泊業が寄与している。とくに、北海道、近畿では2ケタの伸びを記録。全体では、着工棟数、床面積が大きく増加した。ほかにも、北海道の金融事業者が外貨自動両替機を設置したり、沖縄では4か国語に対応する社内案内板を設置したりと、投資は宿泊業だけにとどまらない。素材や機械、飲料、製菓、外食産業など地域や業種を問わずに投資が活発化している。
インバウンドが日本経済成長の「柱」に
財務省・日本銀行の「国際収支統計」によると、10年には国際サービス収支の最大赤字項目だった「旅行」は、インバウンド需要の増加により、今や稼ぎ頭の「知的財産権等使用料」に次ぐ黒字項目に変化している。インバウンドが日本経済の成長をけん引する主要産業になったとはいえ、宿泊施設の不足やマナーの違いなど解決すべき課題はまだ多い。翻訳機や通訳機の普及で言葉の壁は低くなりつつあるが、訪日客と地域住民の双方が満足・納得できる施策を探し続けなければならない。