ビックカメラが非家電領域の販売に力を入れて「脱家電」を急ぐ背景には、少子高齢化で国内家電マーケットが縮小していることもあるが、顧客の目に映る家電量販店のイメージに変化をつけたいという狙いもあるようだ。
運営するのはビックカメラの100%子会社であるビック酒販。同社の村松隆之社長は「家電量販店の1階のイメージは、以前は薄型テレビで今はスマートフォン。それだと、どこも同じようになってしまうので、化粧品やドラッグ、この店では酒類など、家電ではない商品を展示することで、新規客の利用を増やしたり、お客さまが飽きないようにしている」と、見慣れた風景ではない売り場づくりを意識する。
また、女性が気軽に入りにくかった家電量販店のエントランスに、めずらしいクラフトビールや、見慣れた薬や化粧品などを置くことで、新規客の来店を促す狙いもある。
以前から酒類やドラッグなどの非家電商品は扱っていたビックカメラだが、それをより強烈に印象づけたのは、2017年6月に実施した、秋葉原の目抜き通りの中央通りにあった旧ソフマップ 秋葉原本館の「ビックカメラ AKIBA」の全面リニューアルだろう。
1階の売り場を、それまでのスマートフォンとアクセサリーから、ドラッグストア顔負けの薬や日用品、土産菓子や酒などに大幅に変更し、業界関係者の度肝を抜いた。電気街のど真ん中に立地する家電量販店の「一丁目一番地」である1階フロアに、家電製品がまったく見当たらなかったからだ。
同年11月に東京・原宿の竹下通りにオープンした「ビックカメラセレクト原宿店」では、化粧品や薬、日用品などをメインに、理美容家電や電動歯ブラシなどの小物家電を融合させた店づくりを採用し、若い女性客や国内外の観光客をターゲットにした。
この店では、通行人の目線を気にする顧客に配慮し、化粧品売り場をあえて地下1階に設け、ブランド品の口紅やパウダーのほか、リップやグロス、マスカラ、リップブラシといった細かいコスメグッズを豊富に取り揃えた。ターゲットは、女子中学生や女子大生だ。
同じく11月には、ビックカメラ初となる玩具専門店「ビックトイズ プライムツリー赤池店」を、愛知県日進市の大型ショッピングモール「プライムツリー赤池」内にオープン。同社のおもちゃ売り場では過去最大となる750平方メートルを確保し、0歳から学べる知育玩具や、科学や数学をプログラミングで学べる「STEM教育」向けロボット、男児・女児向けおもちゃ、ゲーム、ミニ四駆など、おもちゃ一色に染めた。
直近の18年8月期第3四半期累計(17年9月~18年5月、3Q)でも、「医薬品・日用雑貨」は30.7%増と大きく伸長し、異業種単独店戦略の効果を示した。なかでも特筆されるのが、141億円という売上高だ。3Qにして、前年度の通期実績の149億円に迫る勢いだ。ビックカメラが、いかに薬や日用雑貨に力を入れているかが伝わる。
同じように、「酒類・飲食物」の項目をみると、15年8月期~17年8月期の3年は前年を上回ってはいるものの、総売上高に対する構成比は0.7%で推移していた。ところが、直近の3Q累計では、0.8%と0.1ポイントアップし、前年同期比でも21.2%増と大きく伸びた。
これまでも、ビックカメラは直販ECを含めて37店舗で酒類を販売している。ここに、38店舗目に単独店の「ビックカメラリカー アクアシティお台場店」が加わった。「酒類・飲食物」が、「医薬品・日用雑貨」に続く、新たな注力カテゴリとなることが読み取れる。
村松社長はビックカメラリカー単独店で「年に1~2店の新規出店をしたい」と意気込む。出店スタイルは、これまでの駅前ではなく、70平方メートルというコンパクトさを武器に、旗艦店を中心としたサテライト出店や郊外への出店もあるとする。
点から面で酒専門店を新規出店することで、ビックカメラで家電製品を購入した際に発行するポイントを、日常的に使ってもらう。来店頻度が高めることで、トータルでビックカメラのファンを増やすという戦略である。
ビック酒販の前期(17年8月期)売上高は58億円。今期は前年比20%増となる70億円を見込む。ビックカメラリカーの潜在的な伸びしろは大きい。(BCN・細田 立圭志)
女性など新規客を開拓
8月8日に東京・港区のお台場にオープンしたビックカメラ初の単独リカーショップとなる「ビックカメラリカー アクアシティお台場店」は、70平方メートルの小さな売り場スペースを、約2000種類の酒類で埋めた。運営するのはビックカメラの100%子会社であるビック酒販。同社の村松隆之社長は「家電量販店の1階のイメージは、以前は薄型テレビで今はスマートフォン。それだと、どこも同じようになってしまうので、化粧品やドラッグ、この店では酒類など、家電ではない商品を展示することで、新規客の利用を増やしたり、お客さまが飽きないようにしている」と、見慣れた風景ではない売り場づくりを意識する。
また、女性が気軽に入りにくかった家電量販店のエントランスに、めずらしいクラフトビールや、見慣れた薬や化粧品などを置くことで、新規客の来店を促す狙いもある。
以前から酒類やドラッグなどの非家電商品は扱っていたビックカメラだが、それをより強烈に印象づけたのは、2017年6月に実施した、秋葉原の目抜き通りの中央通りにあった旧ソフマップ 秋葉原本館の「ビックカメラ AKIBA」の全面リニューアルだろう。
1階の売り場を、それまでのスマートフォンとアクセサリーから、ドラッグストア顔負けの薬や日用品、土産菓子や酒などに大幅に変更し、業界関係者の度肝を抜いた。電気街のど真ん中に立地する家電量販店の「一丁目一番地」である1階フロアに、家電製品がまったく見当たらなかったからだ。
同年11月に東京・原宿の竹下通りにオープンした「ビックカメラセレクト原宿店」では、化粧品や薬、日用品などをメインに、理美容家電や電動歯ブラシなどの小物家電を融合させた店づくりを採用し、若い女性客や国内外の観光客をターゲットにした。
この店では、通行人の目線を気にする顧客に配慮し、化粧品売り場をあえて地下1階に設け、ブランド品の口紅やパウダーのほか、リップやグロス、マスカラ、リップブラシといった細かいコスメグッズを豊富に取り揃えた。ターゲットは、女子中学生や女子大生だ。
同じく11月には、ビックカメラ初となる玩具専門店「ビックトイズ プライムツリー赤池店」を、愛知県日進市の大型ショッピングモール「プライムツリー赤池」内にオープン。同社のおもちゃ売り場では過去最大となる750平方メートルを確保し、0歳から学べる知育玩具や、科学や数学をプログラミングで学べる「STEM教育」向けロボット、男児・女児向けおもちゃ、ゲーム、ミニ四駆など、おもちゃ一色に染めた。
決算の数字からも好調さは明らか
このように、昨年頃から本格的に立ち上がったビックカメラの異業種単独店戦略は、決算数値からも明らかな変化が見てとれる。セグメント別売上高に記された「医薬品・日用雑貨」は、15年8月期が前期比93%増、16年が39%増、17年が27%増と二ケタ成長を続けている。直近の18年8月期第3四半期累計(17年9月~18年5月、3Q)でも、「医薬品・日用雑貨」は30.7%増と大きく伸長し、異業種単独店戦略の効果を示した。なかでも特筆されるのが、141億円という売上高だ。3Qにして、前年度の通期実績の149億円に迫る勢いだ。ビックカメラが、いかに薬や日用雑貨に力を入れているかが伝わる。
同じように、「酒類・飲食物」の項目をみると、15年8月期~17年8月期の3年は前年を上回ってはいるものの、総売上高に対する構成比は0.7%で推移していた。ところが、直近の3Q累計では、0.8%と0.1ポイントアップし、前年同期比でも21.2%増と大きく伸びた。
これまでも、ビックカメラは直販ECを含めて37店舗で酒類を販売している。ここに、38店舗目に単独店の「ビックカメラリカー アクアシティお台場店」が加わった。「酒類・飲食物」が、「医薬品・日用雑貨」に続く、新たな注力カテゴリとなることが読み取れる。
村松社長はビックカメラリカー単独店で「年に1~2店の新規出店をしたい」と意気込む。出店スタイルは、これまでの駅前ではなく、70平方メートルというコンパクトさを武器に、旗艦店を中心としたサテライト出店や郊外への出店もあるとする。
点から面で酒専門店を新規出店することで、ビックカメラで家電製品を購入した際に発行するポイントを、日常的に使ってもらう。来店頻度が高めることで、トータルでビックカメラのファンを増やすという戦略である。
ビック酒販の前期(17年8月期)売上高は58億円。今期は前年比20%増となる70億円を見込む。ビックカメラリカーの潜在的な伸びしろは大きい。(BCN・細田 立圭志)