コンピュータゲームを使った対戦をスポーツ競技として捉える「e(エレクトロニック)スポーツ」。大手企業が続々と参入し、話題にあがることも増えた。しかし、「ゲームはスポーツなのか」という疑問はいまだに根強い。この問いに、社会学・コミュニケーション論の加藤裕康氏は「経済的、文化的、政治的な要因から、学校の体育のような運動にはなり得ないが、スポーツにはなり得る」と答える。
加藤氏は、「近代スポーツは娯楽だったり、暴力的だったりしたものが徐々に整えられ、修練・修養として捉えられるようになった。今ではみんなが“教育に役立つもの”だと信じている。先例にのっとれば、今は過渡期なので何年先になるかわからないが、ゲームがスポーツとして捉えられる可能性は十分にある」と分析する。
野球やサッカーのような近代スポーツがつくられてきた背景には、経済的、文化的、政治的な要因がある。ゲーム、ひいてはeスポーツの誕生にも同じように要因があるという。
例えば、ゲーム会社やゲーミング機器メーカーが自社の製品を売り込む材料としてeスポーツを使いたい、という経済的な要因が発した場合、販促材料として使うにはコンテンツの人気が必要という文化的な要因も出てくる。そして、人や財を集めたい五輪や国体、行政が注目し始める。という流れが生まれる。
ほかにも、少子化による生徒数の減少に悩む学校が、生徒の獲得を狙いeスポーツコースを設けようとする。学校の計画自体は経済的な活動だが、コースを設けるには担当省庁の許可が必要になる。そして、そもそも生徒を集めるには、eスポーツに魅力が必要になる。
先述の例をあげて経済的、文化的、政治的な要因について説明した加藤氏は、「ゲームがスポーツとして広く認知されるには、多くの組織や人が絡んで、否定されたり肯定されたりして、揺らぎながら進んでいくことになると思う」と締めくくった。
eスポーツは、性別、年齢、国籍だけでなく、体格の違いや障がいのあるなしに関わらず、誰もが同じステージで頂点を目指せる可能性をもったコンテンツだ。最新のデジタル機器やPC、インターネットを駆使していることから、IT時代の次世代スポーツとも呼ばれている。プレイする以外にも、試合の様子を配信したり、現実の会場でオフラインの大会を開催したりと、世界中で人気だ。世界に比べて日本は出遅れているものの、この機を逃すわけにはいかない。(BCN・南雲 亮平)
近代スポーツの成り立ちから見るeスポーツ誕生の経緯
7月18日に開催された日本スポーツ産業学会の第27回大会セミナーで、加藤氏は「産業としてのeスポーツの課題」について講演した。加藤氏は、「近代スポーツは娯楽だったり、暴力的だったりしたものが徐々に整えられ、修練・修養として捉えられるようになった。今ではみんなが“教育に役立つもの”だと信じている。先例にのっとれば、今は過渡期なので何年先になるかわからないが、ゲームがスポーツとして捉えられる可能性は十分にある」と分析する。
野球やサッカーのような近代スポーツがつくられてきた背景には、経済的、文化的、政治的な要因がある。ゲーム、ひいてはeスポーツの誕生にも同じように要因があるという。
例えば、ゲーム会社やゲーミング機器メーカーが自社の製品を売り込む材料としてeスポーツを使いたい、という経済的な要因が発した場合、販促材料として使うにはコンテンツの人気が必要という文化的な要因も出てくる。そして、人や財を集めたい五輪や国体、行政が注目し始める。という流れが生まれる。
ほかにも、少子化による生徒数の減少に悩む学校が、生徒の獲得を狙いeスポーツコースを設けようとする。学校の計画自体は経済的な活動だが、コースを設けるには担当省庁の許可が必要になる。そして、そもそも生徒を集めるには、eスポーツに魅力が必要になる。
先述の例をあげて経済的、文化的、政治的な要因について説明した加藤氏は、「ゲームがスポーツとして広く認知されるには、多くの組織や人が絡んで、否定されたり肯定されたりして、揺らぎながら進んでいくことになると思う」と締めくくった。
めざせ好循環
ゲーマーやファンにとっては「ただゲームを楽しんでいるだけ」だとしても、企業や行政がeスポーツに注目し持続可能な事業として取り組むことは、先述の通り新たな価値を生むことにつながる。市場が盛り上がりによって、さらに面白いゲームが登場すれば、またファンやプレイヤーも集まるという好循環が生まれるはず。これらの経緯は、全て近代スポーツが通ってきた道だ。eスポーツは、性別、年齢、国籍だけでなく、体格の違いや障がいのあるなしに関わらず、誰もが同じステージで頂点を目指せる可能性をもったコンテンツだ。最新のデジタル機器やPC、インターネットを駆使していることから、IT時代の次世代スポーツとも呼ばれている。プレイする以外にも、試合の様子を配信したり、現実の会場でオフラインの大会を開催したりと、世界中で人気だ。世界に比べて日本は出遅れているものの、この機を逃すわけにはいかない。(BCN・南雲 亮平)