「ふわふわ」をウリにする家庭用かき氷器が出てきたワケ

時事ネタ

2018/07/07 12:00

 市販の色付きシロップではなく、生や冷凍の果実から作ったフルーツシロップや抹茶シロップをたっぷりかけたかき氷は、1杯で1日分のビタミンCを摂取できるそうだ。女優の蒼井優さんの書籍をきっかけに、数年前から首都圏ではかき氷専門店の出店ブームが到来。ここにきてブームとしてはやや落ち着いてきたものの、今後、ヘルスケアやボディメイクの一環として、食生活を見直す機運が高まれば、かき氷は、洋菓子よりも健康にいい、野菜スムージー同様のヘルシースイーツとして今以上に注目を集めるはずだ。

専門店のかき氷5杯分で買える家庭用かき氷器

 家電量販店やホームセンターで、夏の季節商材として売られる家庭用かき氷器は、ここ数年来のかき氷ブームを受けて、従来のジャリジャリとした食感ではなく、専門店と同じ、綿のような「ふわふわ」とした食感を自宅で再現できるという触れ込みの手動・電動タイプがメインになりつつある。メーカーとしては、ドウシシャの独壇場だ。
 
氷をふわふわに削る、ドウシシャの家庭用かき氷器

 2016年の発売以来、改良版が毎年登場している、ドウシシャの「電動ふわふわ とろ雪かき氷器」は、専門店の味に遠く及ばなかった従来の家庭用かき氷器のイメージを一新した画期的な製品だった。販売台数は初年度10万台、17年は15万台と、ヒットしている。
 
流行りのふわふわ氷、ジャリジャリ氷、どちらも作れるバラ氷専用の「大人のふわふわ氷かき器」

 最新の18年モデル「電動ふわふわ とろ雪かき氷器 DTY-18BK」は、新たにハーフサイズの製氷カップが付属し、ジュースなどを凍らせ、二つの味を同時に楽しめる、専門店顔負けの本格かき氷が簡単に作れる。税別実勢価格は5980円前後。

 同じ電動式で、レトロなデザインの「電動本格ふわふわ氷かき器 KCSP-1851」、「手動ふわ雪かき氷器 IS-FY-17」もある。Amazon.co.jpでの販売価格(18年6月28日時点)は、「KCSP-1851」が5046円、「DTY-18BK」は4889円。

 さらに、今夏の新製品「電動わた雪かき氷器 DSHH-18」は、専門店の削りテクを再現するため、業界初のヒーター機能を搭載し、冷凍庫から出したての氷をヒーターで温めてから削ることで、より専門店の食感に近づける。税別実勢価格は9800円前後。
 
ジャリジャリ氷(上)とふわふわ氷(下)の比較

 専門店のかき氷は、立地にもよるが、ガラスや陶器の器に山盛りのボリュームで、おおむね1杯800円~1200円程度。全国チェーン店のデザートメニューのかき氷は、量やトッピングにもよるが、もう少し安く、1000円以下におさまる。アイス・ソフトクリームが載ったパフェ仕立てや、「ハロハロ」のようにテイクアウト可能なカップ入りスタイルも多い。

 ちなみに、チェーン店や和カフェでは用意されていないが、専門店やテイクアウトでは、普通のドリンクのように飲めるように、スプーン+ストローが定番だ。「ふわふわ氷」は溶けやすい。家庭用かき氷器を選ぶ際は、この弱点を念頭に入れておこう。

 コメダ珈琲の夏限定メニューのかき氷は、食感こそ従来のジャリジャリ系だが、量はミニサイズで専門店と同等、レギュラーサイズは2人以上で取り分け推奨だ。シロップはかなり本格的で、ソフトクリームや練乳など、好みで自由に選べるトッピングが楽しい。一方、とある和菓子屋直営カフェでは、1500円超と高いにも関わらず、小椀程度のボリュームで、味はおいしかったものの、コストパフォーマンスの点でやや残念だった。
 
かき氷専門店や和カフェのかき氷は、個性いろいろ

 とはいえ、専門店で多い「てんこもり」状態のかき氷は、一人で食すには若干多すぎると感じることもある。手作りかき氷のメリットは、削る氷の量を調整でき、待ち時間や移動時間といったロスを最小減に抑えられる点にある。広い意味でとらえると、忙しい家庭こそ役立つ、「時短家電」の一種だ。

 専門店のかき氷をちょうど1杯1000円とすると、ふわふわ削りに対応した家庭用かき氷器は、おおむね5杯分で手に入る。年末年始によく売れる「たこ焼き器」やヨーグルトメーカーに比べると、自宅で作って味わう手作り派に転向するメリットは大きい。

 何時間も待つような、行列ができる人気の専門店で食すかき氷は、あんみつ、パフェと同様に、その店の個性が感じられる極上の贅沢スイーツ。一度、専門店の味を知れば、ドウシシャの家庭用かき氷器のコストパフォーマンスの高さがわかるはずだ。(BCN・嵯峨野 芙美)