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「家事代行」を気軽に使ってほしい、業界最安値水準を実現したCaSyの取り組み

インタビュー

2018/06/30 15:05

 仕事が忙しすぎて、「家のなかがめちゃくちゃ」「炊事・洗濯・掃除の時間がない」などの悩みを抱えてはいないだろうか。そんな時は、家事代行サービスを頼むのが一つの解決策といえるだろう。しかし、サービスが高くて、なかなか頼めないというのが大方の意見だ。このような状況を打破し、業界最安水準を実現してユーザーが右肩上がりで増えている家事代行サービス業者がある。クラウド家事代行サービスを提供するCaSy(カジー)だ。なぜ、実現できたのか。加茂雄一代表取締役CEOに話を聞いた。(BCN・佐相彰彦)

加茂雄一代表取締役CEO

実体験で利用に抵抗感、疑問解決に向けて創業

――創業したきっかけを教えてください。
加茂 私が会計士として働いていて、妻が社労士として共働きだったんですが、妻が妊娠した際に、家事代行サービスを使うことになりました。家事が得意ではない私だけでは、家のなかが大変なことになると判断したんです(笑)。実際に使ってみて、現場スタッフの方の対応や掃除の仕上がり具合など非常によかったのですが、二つ疑問を感じました。一つは、利用料金です。1時間あたり4000~5000円が相場で、決して安いものではない。もうひとつは、サービスの申し込み方法が限られていることです。電話が一般的なのですが、仕事の最中だと申し込む時間がない、ウェブやアプリなどで申し込めたらなあ、と感じました。この疑問によって、利用するのに少し抵抗を感じたんです。ただ、家事をしてくださる現場スタッフの方は優秀で、本当に助かった。私が疑問として抱いていることを解決すれば、もっと他の人も使うのでは、と考えて2014年1月に会社を創業しました。

――創業時に取り組んだことは何ですか。
加茂 利用料金について調べたところ、利用者は1時間あたり4000~5000円を払っている一方で、現場スタッフの方は時給1000円だったんです。これは、事業者と現場スタッフの間に、「コーディネータ」という利用者と現場スタッフのマッチングを含めた調整役がいるからです。ならば、コーディネータの役割をシステム化すれば安く提供できるのではないかと思い、創業メンバーのシステムエンジニア(池田裕樹代表取締役CTO)に相談したところ、マッチングのアルゴリズムを使えばシステム化できるということで開発に踏み切りました。申し込み方法に関しては、ウェブで365日いつでも対応できるように開発、そして業務をスタートさせたんです。
 
「CaSy」のサイト画面

利用料金は他社の半分程度、口コミで広がる

――二つの疑問を解決していることが他社と比べた強みですか。
加茂 その通りです。「お掃除代行」は、2時間以上の利用でスポット料金は1時間あたり2500円に設定しています。加えて、4週間に1回、2週間に1回、1週間に1回などで、さらに安くなります。申し込みに関しては、ウェブで気軽に対応できるということで、お客様に大変好評です。また、当社では現場スタッフのことを「キャスト」と呼んでいるのですが、キャストの採用に関してはウェブなどで単に登録してもらうのではなく、会って面接して研修しました。キャストは、お客様の家に入りますからね。信頼のできる人材に、しっかりと教育しています。このあたりが当社の強みですかね。最初の1年は、家事代行自体の認知度が低く厳しかったのですが、創業から4年程度が経過した今、強みが奏功して、お客様が5万人に達しました。近い将来には10万人まで引き上げます。

――どのようなユーザー層ですか。
加茂 これまで高くて家事代行を利用できなかった方が使ってくださり、口コミで、さまざまな層に広がったかたちですかね。6割がファミリー、4割が単身です。ファミリーですと30~50代の共働きで子どもをもつ共働きのご夫婦、単身ですと20~30代がメインです。

――お掃除代行のほかに、どのようなサービスがありますか。
加茂 「お料理代行」と「専門清掃」があります。専門清掃に関しては、業者とパートナーシップを組んでいます。
 
「お掃除代行」の料金

――キャストは、どれくらいの登録数があるのですか。
加茂 4000人近くが登録しています。ほとんどが主婦ですが、会社で働いている女性が副業として登録しているケースもあります。

――先ほど他社における現場スタッフの賃金について話していましたが、そのあたりは?
加茂 もちろん、キャストの賃金も業界では上の方ではないでしょうか。ちなみに、時給1450円からで、勤続年数やキャリアに応じて上がっていきます。

――利用者とキャストのマッチングをシステム化したということですが、仕組みを教えてください。

加茂 お客様とキャストの登録データを自動適合させているんです。お客様からの評価もデータ化して、そのデータを参考にしてキャスト選定ができるようになっています。キャストがお客様の自宅を訪問した際に日報を記入するのですが、それについてもスマホで入力できるようにしてデータ化しています。このようなデータをもとに、例えば、ペットがいる家庭にはアレルギーがないキャスト、お子さんがいる家庭には子育て経験があるキャストを派遣させるなど、さまざまなマッチングを実現しています。また、一つのご家庭を複数のキャストが担当する際にもデータを共有することでスムーズな引き継ぎを行うことで、業務効率化などに役立てています。

キャスト増とエリア拡大に注力、新サービスの創造も

――今、力を入れていることは?
加茂 お客様を増やすことはもちろんですが、何よりもキャストを増やすことに力を入れています。当面の目標は5000人です。実は、業界では優秀な人材の確保が重要なんです。確保するためには、働きやすい環境をつくらなければなりません。賃金については、先ほど申し上げたように業界水準以上ですし、あとはモチベーションを高めるために、キャストのランクを10段階で分類しています。指名制度もあり、お客様に選ばれて指名を受ければ案件が増えていきます。ほかにも、月間MVPなども実施しています。また、働く時間についても他社と比べれば柔軟で、お客様が当日の3時間前までスポット利用できますので、その急な案件に自動マッチングによって時間が空いていれば働けるんです。キャストにとっては隙間時間を有効に使えるということで評価を得ています。

――目標は?
加茂 直近の目標については、関東で東京と神奈川と埼玉と千葉、関西は大阪と京都と兵庫という現段階で展開しているサービスエリアを、もっと広げたいと考えています。実は、キャストを増やす目的の一つがエリア拡大です。また、今は具体的なことはいえませんが、定期的にお客様のお宅にお伺いできる新しいサービスの創造も模索しています。お客様のライフスタイルに合わせたサービス、生活を豊かにするサービスなどを考えています。さらには、お客様に信頼していただいて家の中に入ることができるというのは大きなメリットで、そのデータは貴重です。そのデータを使った、もう一歩先のビジネスも手がけていきたいです。