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「国内家電市場に開拓の余地あり」、アイリスオーヤマの石垣執行役員が強調

 少子高齢化で縮小する国内家電市場で気を吐くのは、生活用品メーカーベンダーのアイリスオーヤマだ。2018年のグループ売上高5000億円の予想に対し、22年に1兆円という年率25%の高い成長を掲げる。家電事業を統括する石垣達也執行役員は「積み増す5000億円のうち、大きくけん引するのが家電だ」と、家電事業が成長エンジンになると言い切る。

囲み取材に応じる家電事業部の石垣達也 執行役員統括事業部長

なぜ国内市場に成長の余地があるのか

 18年はアイリスオーヤマにとって大きな節目の年。創業60周年を迎え、7月には創業者・大山健太郎氏から長男の大山晃弘氏に社長交代が行われる。今年1月には同社初となる中期経営計画を策定し、そこで正式決定した目標が22年の売上高1兆円である。

 18年の計画では、単体売上高1800億円のうち半分以上の1000億円を家電事業が占める。22年の家電事業の売上高や構成比は明らかにしなかったが「(洗濯機や冷蔵庫などの)大型白物家電や家庭用掃除機、調理家電、季節家電のほかにもアイテム数を増やし、家電事業の構成比をさらに上げていく」と、石垣執行役員は意気込む。
 
22年にグループ売上高1兆円、家電事業で1000億円を掲げる

 しかも、大手家電メーカーが海外展開に活路を見出しているのに対し、アイリスオーヤマは国内市場に目を向ける。「国内向けに企画した製品で海外でもニーズが合うものは発売していくが、基本は国内。家電事業はまだまだ開拓の余地がある」。

 国内にこだわる理由は、少ないメーカーと家電量販店でマーケットが寡占化する中、メーカーや小売店主導の商品展開が進み、一般ユーザーのニーズをくみ取った商品が少なくなっているところに、大きなチャンスがあるためだ。

 「テレビのリモコンで押したことのないボタンはたくさんあると思う。顧客が求めていないところに技術力を集中し、コストばかりが上がっているのではないか。また、10万円の炊飯器を購入できるユーザー数も限られる。われわれの2万円の炊飯器はそれよりおいしい、という自信がある」と石垣執行役員は指摘する。

 製品の開発コンセプトに「引き算の原価計算による値ごろ価格」と「ユーザーイン発想の“なるほど家電”」を掲げ、本当に必要な機能だけを搭載し、ユーザーが納得する家電を企画する。それは必ずしも最先端の技術が使われていなくても構わない。

 例えば、6月20日に発売したスティッククリーナーは、棚の上の掃除を同時にしたいというユーザー発想から帯電性のモップを本体に搭載した製品だ。「生活用品を扱っているアイリスならではの発想で、通常のメーカーでは発想しないだろう」と自信を示す。
 
使った後のモップのほこりはスティッククリーナーで吸引できる

年内には洗濯機に本格参入

 年内には同社ならではの独自機能を搭載した洗濯機で本格参入する予定。また、来年以降に向けて新機能を搭載した冷蔵庫の開発も進めている。

 すでに新生活向け小型冷蔵庫と小型洗濯機(洗濯容量5kg)は1機種ずつを発売しており、さらに6月には7kgと8kgの2機種の洗濯機を追加発売したが、今後発表する洗濯機と冷蔵庫は、これとはまったく別の製品になるという。

 17年11月には東京のR&Dセンターを新設し、多数の応募者のなかから約30名の技術者を採用。大阪と東京のR&Dセンターで、同じ製品を開発させて競わせるという。アイリスオーヤマならではの「なるほど家電」が、今後も市場に刺激を与えそうだ。(BCN・細田 立圭志)