新生メルコHD、見えてきた「麺のシマダヤ」買収後のIoT戦略
Wi-Fiルータや外付けHDDなどPC周辺機器事業を展開するバッファローをグループに持つメルコホールディングス(メルコHD)は、5月7日に開催した決算説明会のなかで、中長期の経営方針を発表した。注目は、今年4月に株式交換で完全子会社にした製麺メーカー大手シマダヤの食品事業が、新規事業としてスタートしたことだろう。
メルコHDが新たな食品事業にかける意気込みは、19年3月期の事業セグメントに「食品事業」を加えたことからも伝わる。また、既存のWi-Fiルータなどの周辺機器事業を「IT関連事業」に名称変更したところにも、周辺機器メーカーから、新しい企業体に変革しようとする強い姿勢が感じられる。
4月3日に逝去した創業者の牧誠会長の長男である牧寛之社長が、5月8日付でバッファローの社長も兼任してスタートする新生メルコHDは、これに「金融事業」を加えた3つのセグメントから構成される。
「シマダヤの工場は、最新鋭の設備やIT投資が進んでいない」と、松尾副社長はシマダヤの生産能力を向上するためのテコ入れに、大きな伸びしろや可能性があるとする。
例えば、機会ロスを減らすための気温変動に合わせた需要に俊敏に対応する生産管理システムや同じラインでの複数食品の製造、食の安全への高まりを背景にしたトレーサビリティなど、いずれもメルコHDで培ったネットワーク技術やストレージ技術が生かせる。
「すべてを自前で揃えるつもりはなく、パートナーと組みながら進めたい」と松尾副社長が語るように、すでに一部の工場ではパートナーの監視カメラを導入したシステムなどで、検証実験が行われているようだ。長期的な視点からも、シマダヤの工場で検証されたIoT生産管理システムの外販による横展開も、十分に考えられる。(BCN・細田 立圭志)
20億円強の設備投資
「シマダヤへの設備投資は20億円強。5年の均等償却を予定している」。メルコHDの松尾民男副社長は、シマダヤの12か所ある製麺工場を、最新鋭のIoT機器を導入したスマート工場に変えるとみられる、大胆な設備投資計画を明らかにした。シマダヤの2017年3月期の売上高は372億円、営業利益は22億円。投資総額は、シマダヤの1年分の営業利益に匹敵するインパクトだ。メルコHDが新たな食品事業にかける意気込みは、19年3月期の事業セグメントに「食品事業」を加えたことからも伝わる。また、既存のWi-Fiルータなどの周辺機器事業を「IT関連事業」に名称変更したところにも、周辺機器メーカーから、新しい企業体に変革しようとする強い姿勢が感じられる。
4月3日に逝去した創業者の牧誠会長の長男である牧寛之社長が、5月8日付でバッファローの社長も兼任してスタートする新生メルコHDは、これに「金融事業」を加えた3つのセグメントから構成される。
産業用IoTシステムの外販も視野に
シマダヤは1931年(昭和6年)の創業で、21年度に創業90周年を迎える老舗の製麺メーカーだ。「流水麺」のヒット商品をもち、全国でのシェアは約10%だが、関東地区では大手の日清食品や東洋水産を制して約20%強のトップシェアという。乾麺やカップ麺には手を出さず、生めんにこだわっているのも特徴だ。「シマダヤの工場は、最新鋭の設備やIT投資が進んでいない」と、松尾副社長はシマダヤの生産能力を向上するためのテコ入れに、大きな伸びしろや可能性があるとする。
例えば、機会ロスを減らすための気温変動に合わせた需要に俊敏に対応する生産管理システムや同じラインでの複数食品の製造、食の安全への高まりを背景にしたトレーサビリティなど、いずれもメルコHDで培ったネットワーク技術やストレージ技術が生かせる。
「すべてを自前で揃えるつもりはなく、パートナーと組みながら進めたい」と松尾副社長が語るように、すでに一部の工場ではパートナーの監視カメラを導入したシステムなどで、検証実験が行われているようだ。長期的な視点からも、シマダヤの工場で検証されたIoT生産管理システムの外販による横展開も、十分に考えられる。(BCN・細田 立圭志)