【不定期連載・重みを増す「ネット対策」~今、起きていること】 今の日本では、話し言葉、書き言葉と、インターネット掲示板やSNSに投稿する際の独特のフレーズを含む「打ち言葉」が併存している。
「打ち言葉」とは、略語、顔文字、当て字などのネットスラングを含めた、キー入力やタッチパネル操作で入力するテキストでのやりとりを指す。主にコミュニケーションのために使われる、話し言葉の要素を多く含む書き言葉の一種だ。この新しい概念は、2018年3月に文化庁 文化審議会国語分科会が公表した検討結果の取りまとめレポート「『分かり合うための言語コミュニケーション(報告)』(案)」で使われ、ネット上で話題になった。
「eスポーツ」は、エレクトロニック・スポーツの略で、ゲームハードを問わず、対戦ゲームを通じてスコアや勝敗を競うスポーツ(競技)の一種だ。しかし、日本では「スポーツ=身体を動かすこと」という印象が強く、テレビゲームは、現状はスポーツの一種とは認識されていない。
そもそも、スポーツという文字列は、運動嫌いにとって「体育の授業」を想起させ、「e」は、過去、流行らなかったデジタルサービスに多く使われてきた頭文字。いくら世界共通で使われている用語とはいえ、新しさも親近感の欠片もない。日本独自の別のワードを打ち出すべきだったのだ。
では、eスポーツは、健康増進につながるかというと、「位置ゲー」と呼ばれるスマートフォン用ゲームやフィットネス系ゲーム以外は、身体を動かしてプレイ中にカロリーを消費することはなく、スポーツ庁が定義する“スポーツ”からは外れてしまう。
スポーツ庁の名称を決める時点で、eスポーツの認知度が高ければ、この矛盾は回避できたかもしれない。しかし、芸能プロダクションを含め、各社の取り組みが加速したのは17年以降であり、もととなる法律「スポーツ基本法」がある以上、致し方ないだろう。なお、スポーツ庁のWeb広報マガジン「Deportare」は、広義のスポーツの意味を紹介し、<本来、「スポーツ」とは「気晴らし」である>と、運動によるストレス解消効果を説いている。
eスポーツの認知拡大は、やはりeスポーツの世界から、天才がどれくらい生まれるかどうかにかかっているだろう。その人物の名がeスポーツの新たな略称となり、TwitterなどのオープンなSNS上で、「推しの○○」といった書き込みが頻繁に目に入るくらいファンがつけば、人気は本物といえる。スポーツ庁が掲げる、スポーツ人口拡大に向けた「する」「みる」「ささえる」の三つの柱は、eスポーツも共通だ。(BCN・嵯峨野 芙美)
「打ち言葉」とは、略語、顔文字、当て字などのネットスラングを含めた、キー入力やタッチパネル操作で入力するテキストでのやりとりを指す。主にコミュニケーションのために使われる、話し言葉の要素を多く含む書き言葉の一種だ。この新しい概念は、2018年3月に文化庁 文化審議会国語分科会が公表した検討結果の取りまとめレポート「『分かり合うための言語コミュニケーション(報告)』(案)」で使われ、ネット上で話題になった。
言葉のイメージは重い
打ち言葉は、視覚から受ける印象や文字の並びが重要になる。誤変換から生まれたネット俗語「おk」は、若い世代にとって、ストレートにOKと読めるから問題ないのだ。その意味で、PC業界が注目する「eスポーツ(eSports)」は分が悪い。「eスポーツ」は、エレクトロニック・スポーツの略で、ゲームハードを問わず、対戦ゲームを通じてスコアや勝敗を競うスポーツ(競技)の一種だ。しかし、日本では「スポーツ=身体を動かすこと」という印象が強く、テレビゲームは、現状はスポーツの一種とは認識されていない。
そもそも、スポーツという文字列は、運動嫌いにとって「体育の授業」を想起させ、「e」は、過去、流行らなかったデジタルサービスに多く使われてきた頭文字。いくら世界共通で使われている用語とはいえ、新しさも親近感の欠片もない。日本独自の別のワードを打ち出すべきだったのだ。
スポーツ/eスポーツ共通の課題 「みる」「ささえる」の広がり
文部科学省の外局として15年10月に発足したスポーツ庁は、第2期スポーツ基本計画のなかで、「する」「みる」「ささえる」といったさまざまな形で積極的にスポーツに参画する「一億総スポーツ社会」を掲げている。その一環として、日常に取り入れやすい運動として「歩く」に着目し、ビジネスパーソン向けに、主に通勤時間を活用して今より+1000歩の歩数を目指すプロジェクト「FUN+WALK PROJECT」も推進している。では、eスポーツは、健康増進につながるかというと、「位置ゲー」と呼ばれるスマートフォン用ゲームやフィットネス系ゲーム以外は、身体を動かしてプレイ中にカロリーを消費することはなく、スポーツ庁が定義する“スポーツ”からは外れてしまう。
スポーツ庁の名称を決める時点で、eスポーツの認知度が高ければ、この矛盾は回避できたかもしれない。しかし、芸能プロダクションを含め、各社の取り組みが加速したのは17年以降であり、もととなる法律「スポーツ基本法」がある以上、致し方ないだろう。なお、スポーツ庁のWeb広報マガジン「Deportare」は、広義のスポーツの意味を紹介し、<本来、「スポーツ」とは「気晴らし」である>と、運動によるストレス解消効果を説いている。
eスポーツの認知拡大は、やはりeスポーツの世界から、天才がどれくらい生まれるかどうかにかかっているだろう。その人物の名がeスポーツの新たな略称となり、TwitterなどのオープンなSNS上で、「推しの○○」といった書き込みが頻繁に目に入るくらいファンがつけば、人気は本物といえる。スポーツ庁が掲げる、スポーツ人口拡大に向けた「する」「みる」「ささえる」の三つの柱は、eスポーツも共通だ。(BCN・嵯峨野 芙美)