ミラーレス市場のメーカーシェアは長年の間、オリンパスが不動の首位に君臨し続けてきたが、2018年は市場の成長も後押しして競合も本腰を入れて、No.1を狙いにきている。家電量販店やECから実売データを集計している「BCNランキング」の18年1月~3月のデータをもとに、各社の最新動向と今後の推移を分析した。
まず、直近2年のメーカー別シェアを振り返りたい。16年1月~12月の年間シェアは、1位が26.9%でオリンパス、2位が18.2%でキヤノン、3位が17.9%でソニーとなっている。17年1月~12月の年間シェアでは、順位は変わらずだが、キヤノンが27.7%、キヤノンが21.3%、ソニーが20.2%とその差が縮んでいることが分かる。また、3社合計で63.0%だったシェアは69.2%と拡大。上位陣の固定化が際立っている。
16年から17年にかけての傾向は直近3か月(2018年1月~3月)では、さらに加速している。オリンパスは26.1%で首位を守っているが、2位のキヤノンは25.9%、3位のソニーは23.5%とついに約3ポイントの中で3社がしのぎを削る展開になっている。
注目したいのは、キヤノンが3月26日に発売した「EOS Kiss M」だ。同社が「ミラーレスでNo.1を獲る」と宣言した勝負をかけた1台だが、その効果は現時点ですでに確認できる。先述したように直近3か月のシェアではオリンパスがトップだが、単月では「EOS Kiss M」が登場した3月にキヤノンが26.8%、オリンパスが26.0%とシェアが逆転。
発売の翌週から4月15日週の機種別シェアでも「EOS Kiss M ダブルズームキット」が1位・2位を独占。カラー合算だと10%を超えるシェアを獲得している。発売から間もないこともあるが、対抗馬である3月9日発売の「PEN E-PL9」が10位であることを考慮すると、スタートダッシュは成功したといえる。
「EOS Kiss M」はターゲットをエントリー層を定めているが、最新の映像エンジンや多彩なモードを備え、価格はボディ単体で税別7万3500円前後とやや高めに設定されている。記者は以前の記事でそのギャップが販売にもたらす影響について言及したが、少なくとも発売直後では価格以上の価値を市場が認めているようだ。
18年はまだ4分の1を経過したにすぎないが、例年と違い、オリンパスとキヤノンがほぼ同列で並んでいることは今後の熾烈なシェア争いを予感させる。14年発売の「α6000」がロングセラーでいまだにトップ5入りしているソニーも高価格帯モデルにシフトしているとはいえ、ノーチャンスというわけではない。長らく発表されていないエントリー層に向けたモデルが登場すれば、一気にNo.1に駆け上がる可能性は十分にある。(BCN・大蔵 大輔)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。
まず、直近2年のメーカー別シェアを振り返りたい。16年1月~12月の年間シェアは、1位が26.9%でオリンパス、2位が18.2%でキヤノン、3位が17.9%でソニーとなっている。17年1月~12月の年間シェアでは、順位は変わらずだが、キヤノンが27.7%、キヤノンが21.3%、ソニーが20.2%とその差が縮んでいることが分かる。また、3社合計で63.0%だったシェアは69.2%と拡大。上位陣の固定化が際立っている。
16年から17年にかけての傾向は直近3か月(2018年1月~3月)では、さらに加速している。オリンパスは26.1%で首位を守っているが、2位のキヤノンは25.9%、3位のソニーは23.5%とついに約3ポイントの中で3社がしのぎを削る展開になっている。
注目したいのは、キヤノンが3月26日に発売した「EOS Kiss M」だ。同社が「ミラーレスでNo.1を獲る」と宣言した勝負をかけた1台だが、その効果は現時点ですでに確認できる。先述したように直近3か月のシェアではオリンパスがトップだが、単月では「EOS Kiss M」が登場した3月にキヤノンが26.8%、オリンパスが26.0%とシェアが逆転。
発売の翌週から4月15日週の機種別シェアでも「EOS Kiss M ダブルズームキット」が1位・2位を独占。カラー合算だと10%を超えるシェアを獲得している。発売から間もないこともあるが、対抗馬である3月9日発売の「PEN E-PL9」が10位であることを考慮すると、スタートダッシュは成功したといえる。
「EOS Kiss M」はターゲットをエントリー層を定めているが、最新の映像エンジンや多彩なモードを備え、価格はボディ単体で税別7万3500円前後とやや高めに設定されている。記者は以前の記事でそのギャップが販売にもたらす影響について言及したが、少なくとも発売直後では価格以上の価値を市場が認めているようだ。
18年はまだ4分の1を経過したにすぎないが、例年と違い、オリンパスとキヤノンがほぼ同列で並んでいることは今後の熾烈なシェア争いを予感させる。14年発売の「α6000」がロングセラーでいまだにトップ5入りしているソニーも高価格帯モデルにシフトしているとはいえ、ノーチャンスというわけではない。長らく発表されていないエントリー層に向けたモデルが登場すれば、一気にNo.1に駆け上がる可能性は十分にある。(BCN・大蔵 大輔)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。