「いいね!」数重視のSNSユーザーは実は少数派、Salesforce調査
多くの仲間から賞賛を得られるようなライフスタイルや、気の利いたコメントをネット上に公開し、集めた「いいね!」の数に一喜一憂する――SNSユーザーの典型的なイメージとしては、このような姿が想起されることが多い。
しかし、SNS利用者の多くは、「いいね!」の数そのものにはそれほど強い関心がないとする調査結果が、顧客管理・営業支援システム大手のセールスフォース・ドットコムによって発表された。自分をアピールしたいという強い承認欲求をもつユーザーが一定の割合でいる一方で、SNS利用者の4割以上は積極的に承認を求める行動には出ず、協調的な「いい人」であることを求める傾向にあるという。
同社は昨年、LINE、Facebook、Twitter、Instagramなど各種SNSを利用(月1回以上投稿)する国内3720人のユーザーを対象に利用動向を調査し、ユーザーを「承認欲求の強/弱」「承認の数を重視/承認の相手を重視」の2軸で評価し、4象限に分類した。
SNS利用者を4分類すると、最も多いのは「いいね!」消極派だった
「承認欲求が強く、承認の数も重視する」という本記事冒頭に挙げたようなユーザーは全体の24%。同社はこの層を「リア充アイドル」タイプと名づけた。10代・20代にこのタイプが多く、利用するSNSはTwitterとInstagramが中心。自分をアピールするため投稿内容の工夫に労力を割く傾向にあり、SNSに投稿する写真を撮るために話題のスポットへ食事や旅行に出かけるなど、目的と手段の逆転がみられることも。また、投稿だけでなくフォローにも熱心で、自分の好きなブランドやショップ店員の情報を集めることや、関連する商品を購入することにも積極的。ネガティブ面として、自分が撮影していない写真や動画を再利用することにも抵抗が小さい傾向もあったという。
一方で、同じく「承認欲求が強い」ものの、「承認の数は重視しない」という層も24%存在した。リア充アイドルタイプのユーザーとの違いは、「いいね!」の数よりも、誰から「いいね!」を押されたかを重視するという点で、同社はこの層を「ミーハー社交家」と名づけた。名店を訪れた投稿に対し、その道の専門家から「いいね!」をもらうことに喜びを感じるタイプで、利用するのはFacebookが中心。
また、SNSに投稿した内容に対し反応を求めるものの承認欲求が弱い層は10%。この層は「議論系オタク」と分類された。利用するSNSはTwitterが中心で、表面的な情報よりも詳細でディープな情報を好む。4タイプの中で、突出して男性比率が高いのもこのタイプだという。
そして、SNS利用者全体の43%は、承認欲求が弱く、反応の数も求めない「協調的フォロワー」に分類された。積極的に「いいね!」を押してほしいとは思っていないが、いい人だとは思われたいと考えているのが特徴で、とくに40代以上のSNSユーザーはこのタイプにあてはまる人が多いという。
セールスフォース・ドットコムが実施した調査の概要
調査をまとめたセールスフォース・ドットコムの加藤希尊マーケティングディレクターは、「SNSユーザーは、その承認欲求タイプによってまったく異なる行動をする」ことに注意する必要があると指摘する。企業によるSNSを活用したマーケティング活動が活発になっているが、これらの調査結果をみると、単に「インスタ映え」する商品やサービスを提供すればヒットするわけではなく、ターゲットとする客層に対して正しい戦略を立てる必要があることがわかる。
加藤希尊マーケティングディレクター
例えば、「ミーハー社交家」タイプに対しては、ユーザーが周りから「情報通」として見られるような、優越感を満たす形での情報やサービス提供が必要だ。「議論系オタク」は、内容が充実していれば長尺の動画なども視聴してくれるので、短くわかりやすい情報だけでなく、商品開発やコンテンツ制作の裏側など深い情報も発信していくとよい。
マジョリティである「協調的フォロワー」はつかみ所がないようにもみえるが、加藤氏はこのタイプのユーザーについて「自分が所属するコミュニティに役立つ情報はシェアされる傾向が強い」と説明する。例えば、主婦層では「効率的な掃除の仕方」「おいしいダシが取れる一工夫」といった情報が人気を集めることが多い。
同社では、デジタル時代になってより複雑化する顧客の特性に応じた店舗運営を支援するため、SNSを分析しECサイト運営に反映させるツールなどを提供しているという。(BCN・日高 彰)
しかし、SNS利用者の多くは、「いいね!」の数そのものにはそれほど強い関心がないとする調査結果が、顧客管理・営業支援システム大手のセールスフォース・ドットコムによって発表された。自分をアピールしたいという強い承認欲求をもつユーザーが一定の割合でいる一方で、SNS利用者の4割以上は積極的に承認を求める行動には出ず、協調的な「いい人」であることを求める傾向にあるという。
同社は昨年、LINE、Facebook、Twitter、Instagramなど各種SNSを利用(月1回以上投稿)する国内3720人のユーザーを対象に利用動向を調査し、ユーザーを「承認欲求の強/弱」「承認の数を重視/承認の相手を重視」の2軸で評価し、4象限に分類した。
SNS利用者を4分類すると、最も多いのは「いいね!」消極派だった
「承認欲求が強く、承認の数も重視する」という本記事冒頭に挙げたようなユーザーは全体の24%。同社はこの層を「リア充アイドル」タイプと名づけた。10代・20代にこのタイプが多く、利用するSNSはTwitterとInstagramが中心。自分をアピールするため投稿内容の工夫に労力を割く傾向にあり、SNSに投稿する写真を撮るために話題のスポットへ食事や旅行に出かけるなど、目的と手段の逆転がみられることも。また、投稿だけでなくフォローにも熱心で、自分の好きなブランドやショップ店員の情報を集めることや、関連する商品を購入することにも積極的。ネガティブ面として、自分が撮影していない写真や動画を再利用することにも抵抗が小さい傾向もあったという。
一方で、同じく「承認欲求が強い」ものの、「承認の数は重視しない」という層も24%存在した。リア充アイドルタイプのユーザーとの違いは、「いいね!」の数よりも、誰から「いいね!」を押されたかを重視するという点で、同社はこの層を「ミーハー社交家」と名づけた。名店を訪れた投稿に対し、その道の専門家から「いいね!」をもらうことに喜びを感じるタイプで、利用するのはFacebookが中心。
また、SNSに投稿した内容に対し反応を求めるものの承認欲求が弱い層は10%。この層は「議論系オタク」と分類された。利用するSNSはTwitterが中心で、表面的な情報よりも詳細でディープな情報を好む。4タイプの中で、突出して男性比率が高いのもこのタイプだという。
そして、SNS利用者全体の43%は、承認欲求が弱く、反応の数も求めない「協調的フォロワー」に分類された。積極的に「いいね!」を押してほしいとは思っていないが、いい人だとは思われたいと考えているのが特徴で、とくに40代以上のSNSユーザーはこのタイプにあてはまる人が多いという。
セールスフォース・ドットコムが実施した調査の概要
調査をまとめたセールスフォース・ドットコムの加藤希尊マーケティングディレクターは、「SNSユーザーは、その承認欲求タイプによってまったく異なる行動をする」ことに注意する必要があると指摘する。企業によるSNSを活用したマーケティング活動が活発になっているが、これらの調査結果をみると、単に「インスタ映え」する商品やサービスを提供すればヒットするわけではなく、ターゲットとする客層に対して正しい戦略を立てる必要があることがわかる。
加藤希尊マーケティングディレクター
例えば、「ミーハー社交家」タイプに対しては、ユーザーが周りから「情報通」として見られるような、優越感を満たす形での情報やサービス提供が必要だ。「議論系オタク」は、内容が充実していれば長尺の動画なども視聴してくれるので、短くわかりやすい情報だけでなく、商品開発やコンテンツ制作の裏側など深い情報も発信していくとよい。
マジョリティである「協調的フォロワー」はつかみ所がないようにもみえるが、加藤氏はこのタイプのユーザーについて「自分が所属するコミュニティに役立つ情報はシェアされる傾向が強い」と説明する。例えば、主婦層では「効率的な掃除の仕方」「おいしいダシが取れる一工夫」といった情報が人気を集めることが多い。
同社では、デジタル時代になってより複雑化する顧客の特性に応じた店舗運営を支援するため、SNSを分析しECサイト運営に反映させるツールなどを提供しているという。(BCN・日高 彰)