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1億台から4分の1に縮小したデジカメに活性化への一石なるか──「CP+2018」間もなく開幕

オピニオン

2018/02/21 16:36

 カメラ映像機器工業会(CIPA)は2月20日、間近に控えたカメラと写真映像の総合展示会「CP+2018」の概要説明会を行った。前回を7社上回る128社が出展し、3月1日~4日の4日間、横浜市のパシフィコ横浜と大さん橋ホールで開催。カメラ関連の主要メーカーが勢揃いする一大イベントで、およそ7万人の来場を目指す。


最新の機材でモデルの撮影ができるコーナーはどこも人気(CP+2017 キヤノンブース)

 9回目を迎えた今回は「一緒にはじめよう」をキーワードに掲げ、カメラファンに加え、とくに女性や若年層の来場者増を狙う。CIPAの集計によると、2017年のデジカメ出荷実績はおよそ2500万台。前年比103.3%と、11年以来6年間続いてきた前年割れの流れから、わずかながら抜けだした。

 とはいえ熊本地震の影響で落ち込んだ16年の反動増によるところが大きく、必ずしもデジカメ市場が回復基調に乗ったとはいえない。実際CIPAでも、18年の出荷見通しを2340万台とし、17年比93.6%と、再び前年割れを予測している。07年に1億台でピークを迎えた市場が4分の1にまで縮小し、さらに前年を割れようとしているのが現状だ。

 こうした現状を打開するためにCIPAでは、写真という趣味、楽しみ、生きがいを突き詰める層に加え、スマートフォンで写真に目覚めた人たちのステップアップ需要の発掘に力を入れている。

 「CP+2018」でも、写真に目覚めた層を中心に写真やカメラの魅力を知ってもらうイベントを行う。CP+実行委員会の折原直人 実行委員長は「今後の市場拡大には、女性や若者を中心とする新しいファンが不可欠。こうした人たちにコンテンツから入ることで、写真の楽しさに触れてもらう企画を用意した」と話す。
 

「例年来てくださるファンの方に加え、若い人たちや女性にもたくさん来ていただきたい」と話す、
CP+実行委員会の折原直人 実行委員長

 そのひとつがフォト・カルチャー・ステージだ。旅、アート、音楽、ペットという4つの切り口から、絶景プロデューサーの詩歩さんやモデルの前田エマさん、音楽雑誌の編集者・フォトグラファーのフクモトヒロスケさん、猫写真家の沖昌之さんらを招き、特別展示やトークショーを行う。このほか、アフリカ16か国で自らも裸になりながら少数民族を撮影してきたヨシダナギさんの「撮影は被写体が9割~ヨシダ、CP+に立つ」やNHKの連ドラ「ひよっこ」のタイトルバックを担当した田中達也さんの「MINIATURE LIFE ~見立ての視点で楽しむ写真」と題したトークショーも開催する。
 

目当てのカメラを触ってみたり説明を受けたりする熱心な姿があちこちで見られた(CP+2017 富士フイルムブース)
 

会場の熱気からはデジカメ市場が縮小しているとは感じられない(CP+2017 オリンパスブース)

 イベント会場は毎年熱気があふれ、カメラ市場が縮小している現実が全く感じられない。しかし、来場者を見ると年かさの男性が多いのは明らかだ。これまでの市場を支えてきた彼らを大事にしつつ、さらに新たなファンをどうやって獲得していくのかが、業界全体の課題だ。CP+2018が活性化への一石を投じられるか……。会場に足を運んで確かめてほしい。(BCN・道越一郎)