メルカリがテックカンパニー化? 山田会長が考える「R4D」の狙いとは
国内最大手のフリマアプリを運営するメルカリは12月22日、IoTやブロックチェーンなど最先端ITテクノロジーの研究開発組織「mercari R4D」の設立を発表した。C2Cビジネスのトップランナーがテクノロジー開発事業に参入する狙いは何か。
メルカリと共同パートナーが一体となって「mercari R4D」でテクノロジーの社会実装に向けたプロジェクトを行う
「技術によって差別化する段階に移行した」。メルカリ創業者の山田進太郎会長兼CEOは、「R4D」設立を次の経営ビジョンを描く上で極めて重要なファクターと位置付ける。
12月16日に全世界でのアプリダウンロード数が1億を突破。リリースから4年半という短期間での大台突破が象徴するように、メルカリは日本でまだ馴染みの薄かったフリマアプリというプラットフォームを急速に成長させてきた。
山田会長はドライブした要因として、「早期の分析基盤構築からの高速改善」と「緻密なオンラインマーケティングと大胆なTVCM展開」を挙げる。メルカリの創業経営陣はほとんどがエンジニア。UI/UXには並々ならぬこだわりをもってきた。簡潔に言い表すなら“使い勝手のよさ”がユーザーの獲得につながっていた。
メルカリ創業者の山田進太郎会長兼CEO
しかし、このフェーズはすでに終了したと山田会長は語る。他社からもさまざまな特徴をもつフリマアプリが登場し、圧倒的シェアを誇るメルカリといえども使い勝手だけで5年先、10年先まで優位性を保てるかは定かではない。そこで「テクノロジーによって他社を寄せ付けないバリアを張る」というのが、中長期で先を見据えた一手というわけだ。
例に出たのは、Facebook。黎明期はUIを突き詰めることでユーザー拡大に注力したが、現在は動画配信やVRサービスといったテクノロジーを活用して、インフラとしてのブラッシュアップを図っている。メルカリもインターネットを媒体とするサービスとして、テクノロジーの開発・研究は避けられないミッションと捉えているようだ。
山田会長は「テックカンパニーを目指す」とまで断言する。これまでもAI(人工知能)や機械学習によってサービスの安全性・利便性の向上に努めてきたが、3年以内に1000人規模のエンジニア組織を構築して、研究・開発の土台をスケールアップさせる予定だ。
山田会長は「テックカンパニーを目指す」と断言
「R4D」がカバーする研究テーマは、現時点で発表されているものだけでも、ブロックチェーンから量子力学まで幅広い。選定基準は「3年から5年の中長期的なもの」だという。2018年は数億円を投資し、再来年以降はさらに増額して事業を成長させていく。
強調するのは研究・開発を経て実際の生活シーンで使えるようにする“社会実装”までをカバーする点だ。従来のR&Dのように実験で終了するのではなく、未完成でも社会に出し、フィードバックを反映することで精度を高めていく。
「R4D」のフレームワーク
国内でいえば、ハウステンボスやドン・キホーテなどITを本業としない企業が実証を重視したテクノロジー開発を実施・計画しているが、本質はそれらと同じだ。
ハウステンボスは17年1月にロボット事業会社を設立、ドン・キホーテは8月にリテールテック参入に言及
パートナーに名を連ねるシャープの種谷元隆常務は「先の話だと思っていたことが、思ったより早く実現するかも」と期待を語ったが、膨大な顧客・出品データを所有し、スピード感のある事業展開が売りのメルカリは、パートナーにとってもこれ以上ない実証の場となりそうだ。(BCN・大蔵 大輔)
メルカリと共同パートナーが一体となって「mercari R4D」でテクノロジーの社会実装に向けたプロジェクトを行う
「技術によって差別化する段階に移行した」。メルカリ創業者の山田進太郎会長兼CEOは、「R4D」設立を次の経営ビジョンを描く上で極めて重要なファクターと位置付ける。
12月16日に全世界でのアプリダウンロード数が1億を突破。リリースから4年半という短期間での大台突破が象徴するように、メルカリは日本でまだ馴染みの薄かったフリマアプリというプラットフォームを急速に成長させてきた。
山田会長はドライブした要因として、「早期の分析基盤構築からの高速改善」と「緻密なオンラインマーケティングと大胆なTVCM展開」を挙げる。メルカリの創業経営陣はほとんどがエンジニア。UI/UXには並々ならぬこだわりをもってきた。簡潔に言い表すなら“使い勝手のよさ”がユーザーの獲得につながっていた。
メルカリ創業者の山田進太郎会長兼CEO
しかし、このフェーズはすでに終了したと山田会長は語る。他社からもさまざまな特徴をもつフリマアプリが登場し、圧倒的シェアを誇るメルカリといえども使い勝手だけで5年先、10年先まで優位性を保てるかは定かではない。そこで「テクノロジーによって他社を寄せ付けないバリアを張る」というのが、中長期で先を見据えた一手というわけだ。
例に出たのは、Facebook。黎明期はUIを突き詰めることでユーザー拡大に注力したが、現在は動画配信やVRサービスといったテクノロジーを活用して、インフラとしてのブラッシュアップを図っている。メルカリもインターネットを媒体とするサービスとして、テクノロジーの開発・研究は避けられないミッションと捉えているようだ。
山田会長は「テックカンパニーを目指す」とまで断言する。これまでもAI(人工知能)や機械学習によってサービスの安全性・利便性の向上に努めてきたが、3年以内に1000人規模のエンジニア組織を構築して、研究・開発の土台をスケールアップさせる予定だ。
山田会長は「テックカンパニーを目指す」と断言
「R4D」がカバーする研究テーマは、現時点で発表されているものだけでも、ブロックチェーンから量子力学まで幅広い。選定基準は「3年から5年の中長期的なもの」だという。2018年は数億円を投資し、再来年以降はさらに増額して事業を成長させていく。
強調するのは研究・開発を経て実際の生活シーンで使えるようにする“社会実装”までをカバーする点だ。従来のR&Dのように実験で終了するのではなく、未完成でも社会に出し、フィードバックを反映することで精度を高めていく。
「R4D」のフレームワーク
国内でいえば、ハウステンボスやドン・キホーテなどITを本業としない企業が実証を重視したテクノロジー開発を実施・計画しているが、本質はそれらと同じだ。
ハウステンボスは17年1月にロボット事業会社を設立、ドン・キホーテは8月にリテールテック参入に言及
パートナーに名を連ねるシャープの種谷元隆常務は「先の話だと思っていたことが、思ったより早く実現するかも」と期待を語ったが、膨大な顧客・出品データを所有し、スピード感のある事業展開が売りのメルカリは、パートナーにとってもこれ以上ない実証の場となりそうだ。(BCN・大蔵 大輔)