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新業態はリアル志向、ヤマダ電機の住まい丸ごと提案の狙い

経営戦略

2017/12/13 12:30

 2017年6月にオープンした「インテリアリフォームYAMADA前橋店」からスタートしたヤマダ電機の家電とインテリア雑貨を丸ごと提案する新業態は、わずか半年間で13店に広がった。12月8日にオープンした新業態13店舗目となる「LABI1 LIFE SELECT高崎」で行われた会見では、三嶋恒夫副社長が現在までの成果と今後の方針を示した。


新業態のこれまでの成果と今後の方針を語るヤマダ電機の三嶋恒夫副社長

 「LABI1 LIFE SELECT高崎」は本社ビルに居を構える、いわばヤマダ電機のお膝元。象徴ともいえる同店の業態転換からは、ヤマダ電機の不退転の覚悟がうかがえる。従来の家電量販店のスタイルを大きく変える取り組みで、三嶋副社長は「新業態は少子高齢化、人口減少、ネット社会の浸透といった市場環境の変化を踏まえたリアル志向の店舗」とその本質を語る。
 

12月8日にオープンした「LABI1 LIFE SELECT高崎」

 都市型のLABIはともかく郊外店の客層は男性が圧倒的。市場環境の変化がますます進む先々のことを考えると、現在は取り込めていない客層までリーチする店舗に転換する必要がある。山田昇会長にとって、これは2011年の増税以降の懸案事項だったという。

 「不動産やリフォーム事業を開始し、ビジネスの幅を広げたが、それぞれの事業は別々に動いていた。それを一つの店舗にまとめたのが新業態の住まい丸ごと提案」(三嶋副社長)。すでに成果は表れており、狙い通り新しい客層を取り込めているほか、カフェを併設することで滞在時間も延びている。
 

滞在時間延長に貢献している店舗内部のカフェ

 具体的な数字は公表しなかったが、転換による売り上げの減少はなく、むしろ近隣の住宅ショールームは誘客効果によって来店数が以前の約7倍になっているという。単純な数字では分からない波及効果は大きく、売り上げより来店客数が重要な指標になっているようだ。
 

ヤマダ・ウッドハウスのモデルハウス(写真は群馬県前橋市)

 手探りであった新業態も店舗の増加とともに方針が鮮明になってきている。「LABI1 LIFE SELECT高崎」は、家電販売スタッフも家具や住まいに関して顧客対応できるようにしていく予定で、その表れとして制服を全フロアで新業態用に新調した白のシャツに黒のチョッキというスタイルに統一した。

 三嶋社長は「家電は顕在需要だが、家具・インテリアは潜在需要。販売スタッフがお客様に提案し、気づきを与えることで、新しく需要を掘り起こせるはずだ」と、今まで以上に接客が重要になってくるとの考えを示した。

 今後の新業態転換・出店の目標は、年度内に10~15店舗、18年度中に100店舗。今回オープンした「LABI1 LIFE SELECT高崎」は本社側という距離の利点を生かして、頻繁に改善・改装を重ねるとのことで、本格拡大に向けて新業態をブラッシュアップしていく場にもなっていきそうだ。(BCN・大蔵 大輔)