2017年4月からスタートした都市ガスの自由化によって、消費者は地域で独占供給してきたガス会社以外の事業者のガス契約プランを自由に選択できるようになった。東京電力エナジ―パートナー(東電EP)は、7月から開始した「とくとくガスプラン」で猛チャージをかけ、初年度目標の4万件を達成し、10万件に上方修正した。
ガス自由化で反転攻勢に出る東電EP
スマートフォンを販売するキャリアや地域のケーブルテレビ会社など、さまざまな事業者が自社サービスに電気プランをセットにしたサービスを提供。東京ガスは電気のセットプランが100万件を突破するなど勢いを増している。防戦を強いられてきた東電EPが、1年遅れで解禁されたガス販売の自由化で反転攻勢に出ているという構図だ。
東電EP リビング事業本部マーケティング・戦略立案グループの渡辺美紀氏は「7月に東京と神奈川で開始した『とくとくガスプラン』によるガス供給は、9月に千葉、埼玉のほか茨城、栃木、群馬の北関東に拡大した」と、ガスと電気のセットプランの提供エリアが順調に拡大していることを強調する。
東電EP リビング事業本部マーケティング・戦略立案グループの渡辺美紀氏
「とくとくガスプラン」は、原料費調整額を含まない東京ガスの一般料金よりも3%安く、さらに新規加入特典の「スタート割」が適用され、料金の適用開始から1年間はガス料金が5%割引されるというもの。
さらに新しい電気料金プランの「スタンダード」「プレミアム」「スマートライフ」「夜トク」の各電灯プランとのセット特典として、電気料金から毎月100円、年間で1200円の割引が適用される。
東電EPの「とくとくガスプラン」
東電EPではモデルケースとして、1か月あたり電気使用量が400kWh(基本料金が40A契約)の3LDKのマンションに住む家庭を挙げる。従来の東京電力の「従量電灯B」と東京ガスの一般料金を合わせて月額1万7300円だった光熱費は、東電の「スタンダードS」と「とくとくガスプラン」にすると月額1万6600円相当に下がり、年間で約7600円のトクになるとする。なお、電気とガスの月額比較や「年間おトク額」は、それぞれ100円未満を切り捨てているため、月額の差額を12倍にした8400円とは一致しない。
3LDKマンションに住むモデルケースの比較(スタンダードSの場合)
具体的には、自由化以前からある「従量電灯B/C」と比較すると、電力量料金単価の第2段階(120kWhを超え300kWhまで)の1kWhあたりの単価を26円00銭から25円98銭に2銭安く設定されている。最初の第1段階(120kWhまで)の単価は19円52銭、第3段階(300kWhを超える分)の単価は30円02銭と、こちらは「従量電灯B/C」と同じである。
わずか2銭の値下げを上記モデルケースの月400kWhを使用する家庭にあてはめた場合、第2段階の使用量180kWhを単純計算すると、月額3.6円、年間43.2円安くなる。わずかな金額差ではあるが、そこまで徹底して切り詰めた料金改定をアピールするあたりに、東電EPの本気度がうかがえる。
スタンダードプランの料金体系。アンペア別の基本料金と、使用量別に3段階の単価を設定。
第2段階の単価を改定した
17年12月1日から18年2月28日の3か月間はキャンペーンを実施。申し込んだ顧客を対象に毎月900名、計2700名に抽選でカタログギフトが当たる。肉や米、各地の美味しい食材のほか、話題のスマートスピーカーも用意している。電気とガスの料金プランの申し込みは、同社のウェブサイトから24時間、365日受け付けている。
東京ガスの分だけでも100万件以上の電気契約が切り替わった。初年度目標を4万件から10万件に上方修正したとはいえ、東電EPのガス自由化の熱い戦いは、まだこれから。東電EPのガスと電気のセットプランのメリットが、どれだけ広く認知させられるかにかかっている。
ガス自由化で反転攻勢に出る東電EP
1年遅れで東電が巻き返し
都市ガスの自由化からさかのぼること1年前の2016年4月、電気の小売り自由化がスタートした。消費者は、東京電力をはじめとする地域独占だった大手電力会社以外の新電力などが提供する電気プランの契約が可能になった。資源エネルギー庁の「登録小売電気事業者一覧」によると、電気の自由化市場への参入事業者数は11月22日現在、441事業者まで膨れ上がっている。スマートフォンを販売するキャリアや地域のケーブルテレビ会社など、さまざまな事業者が自社サービスに電気プランをセットにしたサービスを提供。東京ガスは電気のセットプランが100万件を突破するなど勢いを増している。防戦を強いられてきた東電EPが、1年遅れで解禁されたガス販売の自由化で反転攻勢に出ているという構図だ。
東電EP リビング事業本部マーケティング・戦略立案グループの渡辺美紀氏は「7月に東京と神奈川で開始した『とくとくガスプラン』によるガス供給は、9月に千葉、埼玉のほか茨城、栃木、群馬の北関東に拡大した」と、ガスと電気のセットプランの提供エリアが順調に拡大していることを強調する。
東電EP リビング事業本部マーケティング・戦略立案グループの渡辺美紀氏
「とくとくガスプラン」は、原料費調整額を含まない東京ガスの一般料金よりも3%安く、さらに新規加入特典の「スタート割」が適用され、料金の適用開始から1年間はガス料金が5%割引されるというもの。
さらに新しい電気料金プランの「スタンダード」「プレミアム」「スマートライフ」「夜トク」の各電灯プランとのセット特典として、電気料金から毎月100円、年間で1200円の割引が適用される。
東電EPの「とくとくガスプラン」
東電EPではモデルケースとして、1か月あたり電気使用量が400kWh(基本料金が40A契約)の3LDKのマンションに住む家庭を挙げる。従来の東京電力の「従量電灯B」と東京ガスの一般料金を合わせて月額1万7300円だった光熱費は、東電の「スタンダードS」と「とくとくガスプラン」にすると月額1万6600円相当に下がり、年間で約7600円のトクになるとする。なお、電気とガスの月額比較や「年間おトク額」は、それぞれ100円未満を切り捨てているため、月額の差額を12倍にした8400円とは一致しない。
3LDKマンションに住むモデルケースの比較(スタンダードSの場合)
11月から「スタンダードプラン」も料金改定
さらに東電EPは11月1日、電気料金プランの「スタンダードプラン」の料金改定に踏み切った。「スタンダードプラン」は、1契約あたりアンペア別の基本料金のほか、電気の使用量に応じた電力量料金単価が3段階に分かれ設定されている。今回の料金改定では、最も多くのユーザーが利用する、電力量料金単価の第2段階目の単価を改定した。具体的には、自由化以前からある「従量電灯B/C」と比較すると、電力量料金単価の第2段階(120kWhを超え300kWhまで)の1kWhあたりの単価を26円00銭から25円98銭に2銭安く設定されている。最初の第1段階(120kWhまで)の単価は19円52銭、第3段階(300kWhを超える分)の単価は30円02銭と、こちらは「従量電灯B/C」と同じである。
わずか2銭の値下げを上記モデルケースの月400kWhを使用する家庭にあてはめた場合、第2段階の使用量180kWhを単純計算すると、月額3.6円、年間43.2円安くなる。わずかな金額差ではあるが、そこまで徹底して切り詰めた料金改定をアピールするあたりに、東電EPの本気度がうかがえる。
スタンダードプランの料金体系。アンペア別の基本料金と、使用量別に3段階の単価を設定。
第2段階の単価を改定した
17年12月1日から18年2月28日の3か月間はキャンペーンを実施。申し込んだ顧客を対象に毎月900名、計2700名に抽選でカタログギフトが当たる。肉や米、各地の美味しい食材のほか、話題のスマートスピーカーも用意している。電気とガスの料金プランの申し込みは、同社のウェブサイトから24時間、365日受け付けている。
東京ガスの分だけでも100万件以上の電気契約が切り替わった。初年度目標を4万件から10万件に上方修正したとはいえ、東電EPのガス自由化の熱い戦いは、まだこれから。東電EPのガスと電気のセットプランのメリットが、どれだけ広く認知させられるかにかかっている。