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<2017・冬エアコン>日立はマイナス15℃の「凍結洗浄」で熱交換器をキレイに

特集

2017/12/01 09:00

 「エアコンのセンサーで人がいないことや汚れ具合をみながら、熱交換器を凍らせて自動洗浄する」。日立ジョンソンコントロールズ空調(日立)の国内商品企画部の丸山裕部長は、この冬の主力モデルとなる「ステンレス・クリーン 白くまくん」プレミアムXシリーズに新搭載した「凍結洗浄」について説明する。


日立ジョンソンコントロールズ空調・国内営業本部国内商品企画部の丸山裕部長

日立は「凍結」、富士ゼネは「加熱」

 日立のエアコンは、パナソニックや三菱電機と同じ「センサー陣営」に分類されるが、この冬は「凍結洗浄」と「くらしカメラAI」によるセンサーの合わせ技で、熱交換器のキレイさを訴求する。ちょうど、「気流制御陣営」である富士通ゼネラルの「ノクリア」Xシリーズに新搭載された「熱交換器(アルミフィン)加熱除菌」が、加熱して汚れを落とすのとは対照的で、日立は凍らせながら汚れを落とす。
 

「ステンレス・クリーン 白くまくん」プレミアムXシリーズ

 「凍結洗浄」の仕組みはこうだ。冷房や暖房運転を停止してから約20分かけて熱交換器のフィンを約マイナス15℃にして、空気中の水分を結露させて凍らせる。フィンに大量の霜がついたところで、今度は一気に暖めて溶かす。霜で浮かび上がったホコリと、霜に覆われたしつこい油汚れは、熱交換器側の熱で溶けた水と一緒に洗い流す仕組みだ。
 

熱交換器を大量の霜で覆って、一気に溶かして汚れを洗い流す
 

「凍結洗浄」のしくみ
 

熱交換器のフィンに霜がついた様子

 洗い流した後は約60分かけて乾燥運転で熱交換器を乾かし、さらに約60分かけて室内機にイオンを充満させて除菌する。
 

乾燥後にイオンを内部に充満させて除菌。定期的に洗浄して内部をキレイにする

 日立のエアコン室内機は、もともとホコリや汚れが付着しにくい「ステンレス・クリーンシステム」を採用している。クロスフローファンから送られる風の通風路やフラップ、フィルター、フィルター自動掃除機構にステンレス素材を使っている。新モデルでは、「凍結洗浄」の霜取りで発生する水をキャッチする「水受け皿」にも、ステンレス素材を採用した。

 その上で、約2時間20分かけて「凍結洗浄」をするのだから、室内機の清潔性に相当な意欲が感じられる。なお、運転中に「凍結洗浄」は動作しない。「くらしカメラAI」によるセンシング技術で人のいないことを検知してから、自動で「凍結洗浄」をする。また、「くらしカメラAI」が人の動きなどを認識して、キッチンが隣接するLDKでは42時間に1回の間隔で洗浄するが、寝る時しか使わない寝室などは84時間のサイクルで洗浄するなど自動で調整する。

 さらに、食卓のホットプレートで焼肉などを食べているときは、「くらしカメラAI」で部屋の状況を認識し、人がいなくなってから凍結と解凍の洗浄を2回繰り返す。「台所の有無、家族の生活シーンやパターンに応じて自動で『凍結洗浄』が稼働する」と丸山部長が語るように、空調のためのセンサー技術を、エアコンの掃除機能にも応用している。

 「凍結洗浄」というインパクトのあるネーミングもあり、この冬注目の機能となりそうだ。本連載の第4弾は、三菱電機のエアコン「霧ヶ峰」に迫る。(BCN・細田 立圭志)