6年前の2011年7月24日、地上アナログ放送が終了し、地デジ時代が幕を開けた。しかし、実際には、この年の夏は、大手キャリアが本格的にスマートフォンに舵を切り、一世を風靡したケータイの終焉が決まった転換点だった。ケータイからスマホにうまくスイッチできなかった一部の国内端末メーカーは、ほどなくして撤退。Webサイトの閲覧という最大の利用用途をスマホに奪われた個人向けPCも売れ行きは低迷し、分社化や他社への事業譲渡など、メーカーの再編が進んだ。
17年4月からスタートした「あんしんショップ」制度のマークイメージ。
認定マークは、協議会が認定した「信頼できるショップ」に掲示される
割引適用後の端末価格は、おおむね「2年前の同型機種の下取り価格と同等以上」という基準が示され、全体的に以前より値上がりしている。SIMロック解除が可能になる期間は短縮され、ドコモの場合、今は一括で購入すれば即時に解除可能だ。ソフトバンクもルールを緩和し、条件を満たせば、17年12月1日以降に購入した機種はドコモ同様、一括購入なら最短で支払い確認時点で解除可能になる。
iPhone以外でも、複数のキャリアがほぼ同時期に同じ端末を販売するケースが増えており、以前のように端末でユーザーを縛ることはできなくなった。最近は、「格安スマホ」という通称で、最初からSIMロックがかかっていないSIMロックフリーのスマホとMVNOを組み合わせて使う方法も一般層に広く認知されるようになり、相対的に大手キャリアのスマホの料金は高いという批判の声は高まる一方だ。
ドコモは新たな共通ポイントサービス「dポイント」を15年12月に立ち上げ、提携するリアル店舗を広げている。ポイントがますます現金代わりとして浸透するなか、それぞれの目論見は成功したといえるだろう。
キャリアが提供するサービス内容が広がる一方、接客時間や待ち時間の長時間化が問題になっている
(写真は「ドコモショップ丸の内店」)
なかでもドコモは、「dポイント」の開始と前後して、「dアカウント」さえあればキャリアを問わず利用できるさまざまなサービスを展開。「脱端末ビジネス」にいち早く舵を切った。
次世代型店舗のプロトタイプとして、スマホ本体やアクセサリだけではなく、IoTデバイスを多数取り揃え、デジタルサイネージを多用するなど、新しい取り組みを開始した。「ドコモショップ丸の内店」の北尾大祐店長は、キャリアショップの未来像として、単なるサポート窓口・販売店ではなく、「自動車のディーラーのように顧客のニーズやライフスタイルにあわせ、豊富なサービス・端末を提案するスマートライフをサポートする総合ショップにしていきたい」と話した。
代理店向け施策を統括するドコモの北村貞彦営業本部 販売部 代理店担当部長(左)、
「ドコモショップ丸の内店」の北尾大祐店長
キャリアショップなど販売代理店向けの施策を統括する、ドコモの北村貞彦営業本部 販売部 代理店担当部長は、全社的な方針として、「さまざまなdサービスを加速し、ライフパートナーを目指したい」と、今後の青写真を描く。かつてのケータイ全盛期から、ドコモは「iコンシェル」など生活を支援するさまざまなサービスを展開していたが、当時は通信速度が遅く、小さな画面やテンキー入力など、制約の多い従来型のケータイのインターフェースでは操作しにくい点もあった。スマホが登場し、回線契約の有無を問わないキャリアフリーを打ち出し、「dショッピング」など、「dサービス」を本格的に開始した5年前、12年12月が転機になったと振り返る。
現在はラウンドテーブルとカウンターを併用しているが、将来的にはカウンターを全廃し、
自動車ディーラーのようにラウンドテーブルメインに切り替えたいという
端末本体・アクセサリを含めた「製品」と「アプリ」「サポート」が中心だった従来のスマホビジネスから、異業種・他業種を巻き込んだ「スマートライフビジネス」へ。全国にあるキャリアショップは、旗艦店の「丸の内店」など一部を除き、従来の形式のままだが、「dアカウント」を核に、スマホ向けアプリなどを通じて提供する「dサービス」は、刷新・統合を含め、いまや、さまざまな分野に広がっている。課題は、各サービスの浸透と利用者増だ。(BCN・嵯峨野 芙美)
*後編は11月18日に掲載します*
勢いと混乱で熱かったスマホ普及期を振り返る
当初は否定的なコメントを出していたNTTドコモも、13年9月発売の「iPhone 5s」からiPhoneの取り扱いを開始し、キャリアの競争軸は、従来の「端末ラインアップ」から、「価格」と「サービス」に移り、横並びの料金体系や「レ点商法」と呼ばれるオプションサービスの強制加入、商品券のプレゼントや現金キャッシュバックなどによる過剰なMNP獲得競争が問題視された。総務省は端末販売の適正化を図るガイドラインの策定に乗り出し、16年1月末をもって「実質0円」販売は終了。ガイドラインは一度の改正を経てより厳密な運用を求められるようになり、その過程で総務省による行政指導や、キャリアからの申し開きや反論もあった。17年4月からスタートした「あんしんショップ」制度のマークイメージ。
認定マークは、協議会が認定した「信頼できるショップ」に掲示される
割引適用後の端末価格は、おおむね「2年前の同型機種の下取り価格と同等以上」という基準が示され、全体的に以前より値上がりしている。SIMロック解除が可能になる期間は短縮され、ドコモの場合、今は一括で購入すれば即時に解除可能だ。ソフトバンクもルールを緩和し、条件を満たせば、17年12月1日以降に購入した機種はドコモ同様、一括購入なら最短で支払い確認時点で解除可能になる。
iPhone以外でも、複数のキャリアがほぼ同時期に同じ端末を販売するケースが増えており、以前のように端末でユーザーを縛ることはできなくなった。最近は、「格安スマホ」という通称で、最初からSIMロックがかかっていないSIMロックフリーのスマホとMVNOを組み合わせて使う方法も一般層に広く認知されるようになり、相対的に大手キャリアのスマホの料金は高いという批判の声は高まる一方だ。
スマホビジネスから「スマートライフビジネス」へ
主要3キャリアがiPhoneを取り扱い始めた頃から、各通信事業者とも、特色を打ち出すため、シニア向けなど、以前から展開してきたオリジナルモデルや、動画配信などのサービスに力を入れ始めた。まずはKDDI(au)がポイントサービスを改定し、オンライン・リアルの両方で使える電子マネーサービス「au WALLET(ウォレット)」を14年6月から開始。ソフトバンクは、従来のソフトバンクポイントをすでに多くのユーザーを抱える「Tポイント」に統合し、Yahoo! JAPANとの連携に力を入れ始めた。ドコモは新たな共通ポイントサービス「dポイント」を15年12月に立ち上げ、提携するリアル店舗を広げている。ポイントがますます現金代わりとして浸透するなか、それぞれの目論見は成功したといえるだろう。
キャリアが提供するサービス内容が広がる一方、接客時間や待ち時間の長時間化が問題になっている
(写真は「ドコモショップ丸の内店」)
なかでもドコモは、「dポイント」の開始と前後して、「dアカウント」さえあればキャリアを問わず利用できるさまざまなサービスを展開。「脱端末ビジネス」にいち早く舵を切った。
次世代型店舗のプロトタイプとして、スマホ本体やアクセサリだけではなく、IoTデバイスを多数取り揃え、デジタルサイネージを多用するなど、新しい取り組みを開始した。「ドコモショップ丸の内店」の北尾大祐店長は、キャリアショップの未来像として、単なるサポート窓口・販売店ではなく、「自動車のディーラーのように顧客のニーズやライフスタイルにあわせ、豊富なサービス・端末を提案するスマートライフをサポートする総合ショップにしていきたい」と話した。
代理店向け施策を統括するドコモの北村貞彦営業本部 販売部 代理店担当部長(左)、
「ドコモショップ丸の内店」の北尾大祐店長
キャリアショップなど販売代理店向けの施策を統括する、ドコモの北村貞彦営業本部 販売部 代理店担当部長は、全社的な方針として、「さまざまなdサービスを加速し、ライフパートナーを目指したい」と、今後の青写真を描く。かつてのケータイ全盛期から、ドコモは「iコンシェル」など生活を支援するさまざまなサービスを展開していたが、当時は通信速度が遅く、小さな画面やテンキー入力など、制約の多い従来型のケータイのインターフェースでは操作しにくい点もあった。スマホが登場し、回線契約の有無を問わないキャリアフリーを打ち出し、「dショッピング」など、「dサービス」を本格的に開始した5年前、12年12月が転機になったと振り返る。
現在はラウンドテーブルとカウンターを併用しているが、将来的にはカウンターを全廃し、
自動車ディーラーのようにラウンドテーブルメインに切り替えたいという
端末本体・アクセサリを含めた「製品」と「アプリ」「サポート」が中心だった従来のスマホビジネスから、異業種・他業種を巻き込んだ「スマートライフビジネス」へ。全国にあるキャリアショップは、旗艦店の「丸の内店」など一部を除き、従来の形式のままだが、「dアカウント」を核に、スマホ向けアプリなどを通じて提供する「dサービス」は、刷新・統合を含め、いまや、さまざまな分野に広がっている。課題は、各サービスの浸透と利用者増だ。(BCN・嵯峨野 芙美)
*後編は11月18日に掲載します*