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官民のデータを活用 新指標「CTI」策定に向けたロードマップ固まる

データ

2017/11/14 12:30

 景気動向を図る消費関連指標の一つとして、現在、2015年を基準年とした「消費者物価指数(CPI)」が使用されている。この指数は、消費者が購入する耐久財やサービスなどの商品について、物価の変化を総合的・客観的に表したものだ。


 総務省が運営する「統計ダッシュボード」では、1970年1月以降のCPIの推移データを公開している。20年前の97年6月のCPIは100.0、07年6月は97.1。対して17年6月は100.2、7月は100.1だった。物価は下落から上昇傾向に転じたものの、20年前の水準を超えるまでには至っていない。

 しかし、消費の内訳は20年前とは様変わりした。スマートフォンに関わる支出が格段に増え、大学授業料・入学金の値上げなどによって、子どものいる家庭では教育費の負担がますます増大している。業態では、百貨店に代わり、コンビニやホームセンターなどが台頭。「RESAS」で、97年と07年の「業態別年間商品販売額」を比較すると、どの県も「百貨店」の比率が低下しており、ターミナル駅に今なお多くの百貨店が立ち並ぶ東京都ですら、14年はわずか8.4%と、1割を割り込んでいる。
 

 PCやスマホを利用したインターネット通販の拡大に加え、個人間取引や現金相当のポイントによる買い物など、従来の統計調査では捉えられない「消費」も活発化している。世帯構造の変化や、同一世帯で個々に財布を管理する家計の個別化(個計化)なども、20年前とは異なる点だ。

 こうした人々の購買行動の変化を受け、総務省は、マクロ、ミクロの両面から、消費動向の全体構造を捉える新たな速報性のある包括的な消費指標の体系「消費動向指数(CTI:Consumption Trend Index)」の開発を目指すと発表した。2つの系統のうち、マクロ消費動向の推計では、民間を含めたビッグデータを活用し、より速報性の高い推計モデルを構築する。現行のCPIのもととなる家計調査の見直しを含め、ロードマップはすでに公開しており、2018年1月からの公開を提言している。(BCN・嵯峨野 芙美)

■地域経済分析システム「RESAS」
 「RESAS」は、国の統計資料を中心に、民間の調査データも含めた膨大な量のデータを「見える化」して、課題解決を手助けするツール。都道府県/市町村単位で集計でき、全国や他の自治体の数値と簡単に比較できる。
▼RESAS:https://resas.go.jp/


※『BCN RETAIL REVIEW』2017年11月号から転載