「技術力」と「信頼」で挑む、マクセルの新領域の製品

インタビュー

2017/11/13 10:50

 マクセルホールディングスは2017年10月1日、持ち株会社体制へ移行し日立から独立、第二の創業を迎えた。再出発する以前から隙間市場を狙った製品の開発を進めており、今後はさらに体制を強化していくという。


マクセルホールディングス代表取締役の勝田善春取締役社長

 代表取締役の勝田善春取締役社長は「ニッチ市場でトップになる」と意気込みを語る。オゾンを吹き出して空気をキレイにする除菌消臭機や水と塩で発電するLEDランタンなど、これまでのマクセルブランドのイメージからは想像できない製品が次々と市場に投入されている。
 

低濃度オゾン除菌消臭器「オゾネオ MXAP-AR201」

 だが、一見これまでとは関係のないように思われる製品でも、社会のあらゆる場所で活躍する蓄電池や光学部品などで培われてきた技術が反映されている。ニッチ市場を狙うマクセルの独特な製品開発を支えているのが、こうした技術力と長年にわたり築き上げた信頼性だ。
 

水と塩で発電するLEDランタン「MIZUSION(ミズシオン) MS-T210WH」

 「今、堅調に成長している分野は自動車」と勝田社長は話す。人の命を預かる自動車の部品の生産に関わるには、信頼性の点で参入障壁がとても高い。中でもマクセルが信頼を得ている分野は、タイヤのパンクセンサー用の電池やLEDヘッドライト用のプラスチック製レンズや車載カメラ用レンズユニットだという。

 タイヤの内部は、-30℃から120℃まで激しい温度変化が起こるほか、時速200kmで走れば2000Gもの加速度が加わる。マクセルの技術力は、この過酷な環境下でも安定して働く電池の市場で、世界の約7割という圧倒的なシェアを誇るほど認められている。さらに、光学設計やプロジェクターの技術を応用したプラスチックレンズの加工技術でも、約5割のシェアの信頼を集めている。
 

机上にも投写できるポータブル・超短投写LEDプロジェクター「SP-1J」

 勝田社長は「今まで積み重ねた信頼と技術力を、さまざまな場所で生かしていきたい」と、これからに期待する。再出発で掲げたマクセルの経営ビジョンは「スマートライフをサポート 人のまわりにやすらぎと潤い」。マクセルから生み出される、消費者をわくわくさせる新しい領域の製品が、家電量販店などの売り場で数多くみられることを期待したい。(BCN・南雲 亮平)