ちりとり、ほうき、モップといったアナログな方法もあるが、一般的に床の清掃には、電気掃除機を使う。数年前から、これまで一般的だったキャニスター型に加え、スティック型やハンディ型など、別のタイプの製品を買い足し、用途に応じて使い分けるスタイルが広がりつつある。タイプによって得手不得手があり、特にロボット掃除機は、本体の清掃のために通常の掃除機が欠かせないからだ。
そこに今秋、「キャニスター型コードレス」という新たなタイプが加わる。従来の分類とは異なる4タイプの比較・競争が始まりそうだ。
一方、総合マーケティング支援を行うネオマーケティングが30~50代の共働きの世帯を対象に実施した調査によると、ロボット掃除機の使用率は8.5%と、1割以下だった。メーカーと専門リサーチ会社、子どものいる共働き世帯と、子どもの有無を問わない共働き世帯という条件の違いが調査結果の差につながったようだ。ロボット掃除機の認知が進んだ結果、デメリットが知られ、伸び悩んでいるという見方もある。
アイロボットは、日本人のニーズにあわせ、水拭き・乾拭きを自動で行う床拭きロボット「ブラーバ」を2014年に投入。16年秋には、よりコンパクトで機能を厳選した新モデル「ブラーバ 380j」を発売した。液体や食べこぼし、こびりついたカスなどは、拭き取らなければキレイにならず、掃除機だけでは清潔さは保てない。子育て世帯にとって、ロボット掃除機よりも、「ブラーバ」のような全自動床拭きロボットのほうが時短効果は高いかもしれない。
全自動床拭きロボット「ブラーバ」シリーズ
ロボット掃除機の価格帯は、1万円弱から10万円強まで。ただ、1万円を下回るような廉価な機種は、床ブラシがないため、絨毯やカーペットの上などの清掃に弱く、ほぼフローリング専用。部屋の間取りを学習する機能や、自動で充電ステーションに戻って充電する機能もなく、電源が切れたら都度、充電する必要がある。性能や機能に関し、価格相応の差があるのだ。
各社の主なロボット掃除機。
上位機種を中心に、スマートフォン向けアプリを使って遠隔操作できるWi-Fi対応モデルも増えている
冒頭で紹介したとおり、今秋、東芝とシャープの2社から、従来の分類にはあてはまらない、「キャニスター型のコードレス掃除機」が登場する。東芝の新世代コードレスクリーナー「VC-NXシリーズ」はサイクロン式で、上位機種「VC-NXS1」は、本体を付属のダストステーションに戻すたび、チリ落とし機構が作動する仕組みのため、面倒なゴミ捨ては不要だ。
今秋発売予定のキャニスター型のコードレス掃除機
(左から、東芝の「VC-NXS1」、シャープの「EC-AS700-N」「EC-AP700-N」)
シャープの「RACTIVE Air(ラクティブ エア)」シリーズのコードレスキャニスター掃除機は、サイクロン式の「EC-AS700/AS500」と紙パック式「EC-AP700/AP500」の2タイプ4機種をラインアップ。紙パック式の製品は、家庭で使う掃除機の定番、コードの付いたキャニスター型掃除機を大幅に軽量化したようなイメージだ。
コードがなくなると、取り回しが便利になる(使用イメージ)
今後、掃除機は、安さや変わらなさを重視する層に向けた「コード付きの従来型」、形状を問わず充電式の内蔵バッテリで駆動する「コードレス」、バッテリ駆動時間の短いハンディ型などの主に補助的な用途で使う「ミニサイズ・車載用」、そして「ロボット掃除機」の4タイプに分けられ、消費者が異なるタイプを比較・検討するケースも増えそうだ。
地味ながら、大きな変化となる「コードレスキャニスター」という新たな選択肢は、掃除機をかける際にかかる身体の負担や、家事全般の多さに悩んでいる人にとって福音となるのか。普及の行方に注目したい。(BCN・嵯峨野 芙美)
そこに今秋、「キャニスター型コードレス」という新たなタイプが加わる。従来の分類とは異なる4タイプの比較・競争が始まりそうだ。
グレードによって変わるロボット掃除機 普及率はまだ低く
最も「時短」効果が高い、負担の少ない掃除機は、室内を自走してゴミを吸い取るロボット掃除機だ。「ルンバ」で知られるアイロボットジャパンによると、ロボット掃除機の世帯普及率は同社調べでまだ4%程度。ただ、子育て世代に限るとすでに3割を超えているという(2017年6月掲載<目標は世帯普及率10% アイロボットジャパンの販売戦略は?>より)。同社では、今から3~5年後に自社製品の世帯普及率10%を目標に掲げている。一方、総合マーケティング支援を行うネオマーケティングが30~50代の共働きの世帯を対象に実施した調査によると、ロボット掃除機の使用率は8.5%と、1割以下だった。メーカーと専門リサーチ会社、子どものいる共働き世帯と、子どもの有無を問わない共働き世帯という条件の違いが調査結果の差につながったようだ。ロボット掃除機の認知が進んだ結果、デメリットが知られ、伸び悩んでいるという見方もある。
アイロボットは、日本人のニーズにあわせ、水拭き・乾拭きを自動で行う床拭きロボット「ブラーバ」を2014年に投入。16年秋には、よりコンパクトで機能を厳選した新モデル「ブラーバ 380j」を発売した。液体や食べこぼし、こびりついたカスなどは、拭き取らなければキレイにならず、掃除機だけでは清潔さは保てない。子育て世帯にとって、ロボット掃除機よりも、「ブラーバ」のような全自動床拭きロボットのほうが時短効果は高いかもしれない。
全自動床拭きロボット「ブラーバ」シリーズ
ロボット掃除機の価格帯は、1万円弱から10万円強まで。ただ、1万円を下回るような廉価な機種は、床ブラシがないため、絨毯やカーペットの上などの清掃に弱く、ほぼフローリング専用。部屋の間取りを学習する機能や、自動で充電ステーションに戻って充電する機能もなく、電源が切れたら都度、充電する必要がある。性能や機能に関し、価格相応の差があるのだ。
各社の主なロボット掃除機。
上位機種を中心に、スマートフォン向けアプリを使って遠隔操作できるWi-Fi対応モデルも増えている
従来のデメリットを解消する新タイプの掃除機が続々登場
JEMAの調べによると、掃除機の出荷台数は、17年3月から7月まで5か月連続して前年比プラスで推移し、手軽に掃除が出来る利便性から、スティック型が伸びているという。スティッククリーナーは、ハンディタイプとしても使用でき、さらに付属のノズルを付け替えて布団の花粉やダニ取りクリーナーとして使えることから、「1台3役」「1台4役」などとも呼ばれる。冒頭で紹介したとおり、今秋、東芝とシャープの2社から、従来の分類にはあてはまらない、「キャニスター型のコードレス掃除機」が登場する。東芝の新世代コードレスクリーナー「VC-NXシリーズ」はサイクロン式で、上位機種「VC-NXS1」は、本体を付属のダストステーションに戻すたび、チリ落とし機構が作動する仕組みのため、面倒なゴミ捨ては不要だ。
今秋発売予定のキャニスター型のコードレス掃除機
(左から、東芝の「VC-NXS1」、シャープの「EC-AS700-N」「EC-AP700-N」)
シャープの「RACTIVE Air(ラクティブ エア)」シリーズのコードレスキャニスター掃除機は、サイクロン式の「EC-AS700/AS500」と紙パック式「EC-AP700/AP500」の2タイプ4機種をラインアップ。紙パック式の製品は、家庭で使う掃除機の定番、コードの付いたキャニスター型掃除機を大幅に軽量化したようなイメージだ。
コードがなくなると、取り回しが便利になる(使用イメージ)
今後、掃除機は、安さや変わらなさを重視する層に向けた「コード付きの従来型」、形状を問わず充電式の内蔵バッテリで駆動する「コードレス」、バッテリ駆動時間の短いハンディ型などの主に補助的な用途で使う「ミニサイズ・車載用」、そして「ロボット掃除機」の4タイプに分けられ、消費者が異なるタイプを比較・検討するケースも増えそうだ。
地味ながら、大きな変化となる「コードレスキャニスター」という新たな選択肢は、掃除機をかける際にかかる身体の負担や、家事全般の多さに悩んでいる人にとって福音となるのか。普及の行方に注目したい。(BCN・嵯峨野 芙美)