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【ゲーミングPC業界座談会 2017】日本でもeスポーツ定着を 業界も全力で後押し

 デジタルゲームを用いる競技「エレクトリック・スポーツ(eスポーツ)」がアジア競技大会のメダル種目に採用されるなど、日本のゲーミングPC市場は盛り上がる兆しを見せている。しかし、海外に比べると成長速度が遅いとの声も大きい。そこで、ゲーミングPC業界に関わる7社5団体が集まり、市場拡大に必要な施策について議論を交わした。

▼7社5団体が議論 ゲーミングPC業界座談会 2017
開催日:2017年7月20日
場所:BCNアカデミールーム
参加メーカー:日本AMD、日本エイサー、ASUS JAPAN、日本HP、サードウェーブ、デル、ユニットコム、SCARZ、DETONATOR、e-sports促進機構、日本eスポーツ協会、日本eスポーツ連盟(団体種別、50音順)

 


■議論テーマ
 


■参加メーカー・団体の声

【プロeスポーツチーム】

◇SCARZ
友利洋一代表

 もともとゲームのアマチュアチームだったが、日本にeスポーツのプロ選手を増やしたいと考え、2015年にSCARZをプロチームにした。日本人選手には素質があるが、育てる環境はまだ十分ではないと考え、世界に通用する選手を育てる環境づくりに努める。

◇DETONATOR
江尻勝代表

 設立9年目を迎えるDETONATORの立ち上げ当初は、ゲーミングチームという言葉が世の中に全く浸透していなかった。当時に比べれば、近頃は非常に盛り上がっているように感じる。現在は台湾に拠点を置き、日本選手と世界との接点をつくっている。
 

【eスポーツ関連団体】

◇e-sports促進機構
白石恭一事務局長

 国内のゲーム大会、eスポーツに賞金をつけるスキームづくりや、業界の認知度向上を目的として、2015年に設立。ドワンゴが開催する「闘会議」のゲーム大会を主催。PCゲームはスポンサーが付きやすく、eスポーツの立場を確立できれば市場の底上げになると考える。

◇日本eスポーツ協会(JeSPA)
松本順一国際委員長

 eスポーツの選手団体として、2007年に準備委員会としてスタート。世界大会に選手を派遣するための海外との懸け橋として、15年に改めて設立した。eスポーツに関する公的機関を目指しつつ、大会の企画立案、運営を行う。ゲーマーの社会的地位向上も目的とする。

◇日本eスポーツ連盟(JeSF)
梅崎伸幸共同代表理事

 大会賞金問題や、海外選手のアスリートビザ発行問題などを、行政府との調整を重ねて解決し、プロゲーマーが活躍しやすい環境を整備するため、2016年に設立。次世代の育成にも積極的に取り組む。48か国が加盟する国際eスポーツ連盟に、日本代表として加盟している。
 

【ゲーミングPC本体・パーツメーカー】

◇日本HP
森谷智行 コンシューマー事業本部
製品部 プロダクトマネージャー

 約2年前にゲーミングブランドを「OMEN by HP」に統合した。OMENは、世界の有名ブランドと肩を並べられるほどに育てることが目標。製品を販売する土壌を整えるため、サッカーやダーツなどのスポーツと、eスポーツが同格に扱われる未来を目指す。

◇日本AMD
末崎秀昭ストラテジック・アカウント
セールス本部 代理店事業部 マネージャー

 ゲームやその他マルチメディアに最適な、高性能CPUを手掛ける。17年6月にはプロeスポーツチーム「SCARZ」と提携して、日本のeスポーツ市場を盛り上げようと画策。グラフィックボードの分野でも、各社のゲーミングPCの性能を支える。
 

◇日本エイサー
谷康司プロダクトマーケティングマネージメント部
部長

 海外で活躍する「Predator」ブランドを日本でも展開。eスポーツ市場の盛り上がり方に、海外と日本で温度差があると感じている。日本でゲーミング関連製品の販売を伸ばすため、まずはeスポーツを盛り上げ、需要が生まれる環境を整えようとしている。

◇ASUS JAPAN
シンシア・テンシステムマーケティング部
部長

 ゲーミングブランド「Republic of Gamers(ROG)」は、「ゲーマーのための共和国」という意味で、12年目を迎える。PCや周辺機器を含め、ゲーマーが楽しめるような製品の開発に励んでいる。近年は、量販店と協業し、店頭での訴求にも力を入れている。
 

◇サードウェーブ
早船淳司顧問

 今、日本でeスポーツを盛り上げないと独自性が強くなりすぎてしまうと考え、日本選手が海外に関心を持つための、きっかけづくりに努めている。韓国や中国など、海外並みの盛り上がりを目指し、大会の賞金問題など、業界を取り巻く諸問題の解決を模索する。

◇デル
柳澤真吾Marketing Manager

 プレミアムラインは「ALIENWARE」、エントリーからミドルラインはデルで、ゲーミングPCを展開。約9年の歴史がある。最近は、オウンドメディアの展開や、芸能事務所と協力してeスポーツの情報を発信することで、ゲームを知らない消費者の興味を喚起している。

◇ユニットコム
渡辺朗プロモーション部
エキスパート

 約2年前から、消費者がeスポーツを体験できる環境づくりに努めてきた。北海道から沖縄まで全国で70近くの店舗を構えている強みを生かし、全国でゲーミングブランド「LEVEL∞ (レベル インフィニティ)」を展開。店頭でeスポーツを広めている。
 

※『BCN RETAIL REVIEW』2017年9月号から転載