予想外の注目を集めた東芝製メインボード コラボモデルとの誤解も
東芝映像ソリューションのメインボードを採用しているので誤解されがちだが、ドンキの4Kテレビは東芝とのコラボレーションモデルではない。寺尾氏は「縁があって」と強調したが、「価格や性能の見合いでPB委託先のパートナーが仕入れた部材が、たまたま東芝映像ソリューション製だった」というのが真相のようだ。そもそも東芝映像ソリューションのメインボードはさまざまなテレビで採用されており、特筆する事項ではない。価格のインパクトで注目を集めた結果、予期せずフォーカスされてしまったというのが実際のところだろう。トレンドセレクトMD開発本部 35GP
兼36GPシニアマーチャンダイザー AV担当 マネージャーの寺尾尚之氏
たしかに東芝の「REGZA」と共通する部分は多い。例えば、番組表や設定画面は「REGZA」とほとんど同じインターフェースだ。また、外部機器のレスポンス速度が高速であることも「REGZA」由来の特徴といえるだろう。ノートPCをHDMIで接続して測定すると、遅延は0.1秒程度。これは他社メーカーの4Kテレビの基準だと十分に高い水準といえる。
番組表や設定画面は「REGZA」とほぼ同じ
外部機器の入力信号が表示されるまでの遅延は0.1秒程度
一方で、録画機能は、外付けHDDへの録画や裏番組の録画など、最小限に絞ってある。フルHDの映像を4K画質にスケールアップするアップコンバート機能も非搭載だ。
機能と合わせて、コストカットに貢献しているのがきょう体だ。寺尾氏は「キャビネットやリモコンなどは汎用のパーツは流用している」と開発の事情を説明する。3系統あるHDMI端子のうち、4K対応は1系統のみなど、4K仕様に徹底しきれていない部分があるのもそのためだ。
背面(左)とベーシックな仕様のリモコン(右)。
接続する際、端子が目視できないため、少し不便に感じた
初回生産分の“3000台”はメーカーが販売するテレビであれば物足りなく感じるが、家電専売ではないドンキの基準で考えると決して少ない数字ではない。寺尾氏によると「46型以上のテレビの生産は年間でおよそ1万2000~3000台」で、「3000台は実はかなり強気の数字」とのこと。ドンキ側からしても予想をはるかに上回る反響だったようだ。
残念ながら「ULTRAHD TV 4K液晶テレビ」は、生産終了。現時点では安定した供給が難しいと判断した。時期は未定だが、「次の情熱価格ブランドの4K対応テレビは、企画中ではあるが検討している」という。今回の衝撃価格に匹敵する新製品は、はたしていつ出てくるのか、ラインアップは増えるのか。にわかに盛り上がっている大手メーカー以外の新たな4Kテレビの潮流が市場全体に与える波紋にも注目したい。(BCN・大蔵 大輔)