VR体験が盛況、「ドスパラ札幌店」に見るPC専門店の「オムニチャネル」戦略
「インターネットとリアル店舗、法人と個人のニーズを商圏特性に応じて自在に組み合わせる。重要なのはマルチチャネルではなくオムニチャネル」。DIYによる組み立てPCやゲームPC専門店「ドスパラ」を全国22店舗で展開するドスパラの西尾伸雄社長は、同社の事業を有機的に融合させたドスパラ流のオムニチャネル戦略について語る。
ドスパラのオムニチャネル戦略を象徴する「ドスパラ札幌店」
その戦略を象徴するのが、昨年12月9日にフルリニューアルオープンした北海道札幌市の「ドスパラ札幌店」だ。同店は、JR札幌駅北口を出てすぐ、駅と北海道大学の間の好立地に構える。それまでワンフロアだけで組み立てPCをメインとしていた店舗を、5階までの各フロアにドスパラが展開するすべての事業を詰め込んだ。リニューアル後の来店客数は、前年同期比250%と盛況だ。
「ドスパラ札幌店」のエントランス
同店の小林寛史店長は「車で3時間かけて来られるお客様もいるほど。今まで来店されていなかったお客様が増えているし、店舗での買い上げ率も上がり、しっかりと販売につながっている」とリニューアル効果を実感する。
ドスパラ札幌店の小林寛史店長
各フロア構成は、次のようにバラエティに富む。1階は一般のノートPCとゲーミングPC、ゲーミングデバイスを展示する「GALLERIA Lounge」を展開。2階はDIYのPCやデバイス、それを実際に試すことができる作業スペース「ドスパラボ」を設置した。
1階の「GALLERIA Lounge」にはゲーミング用のマウスやマウスパッド、ヘッドセットなどを豊富に揃えた
3階はおもしろグッズやデジタル雑貨をネットで扱う「上海問屋」の商品や、中古のスマートフォン、デバイスを展示。上海問屋を抜けた奥のスペースに、昨年、東京・秋葉原でオープンして人気のVR無料体験ゾーン「ドスパラVRパラダイス」が広がる。デジタル雑貨のおもしろさで誘導した先に、道内最大級の「VRパラダイス」が登場するという遊び心を織り交ぜている。
道内最大級の無料VR体験スペースの「ドスパラVRパラダイス」
本格VR「HTC Vive」は北海道でも人気
そして4階はサポートや買取などの総合受付カウンター、5階はイベントスペースとなっている。
3階には「上海問屋」のおもしろデジタル雑貨が広がる。
通りすがりの顧客が入店しやすいように入口でもアピール(右)
まさに、西尾社長が語るところの、店舗やECを別々に展開する「マルチチャネル」ではなく、一つの店舗に集約させた「オムニチャネル」を具現化させた。
「上海問屋の商品に興味を持って来店されたお客様や、新生活でノートPCを購入しに来たお客様が、ゲームPCに関心をもってもらったり、調子の悪いPCを診断しに来られるお客様が上海問屋の存在を知ったりと相乗効果が高い」と小林店長は語る。
例えば、マザーボードは箱から出して壁面に展示して、実物を見て触れるようにした。ゲーミング用マザーボードの中には、価格が6万円の高価な商品もあるので、店側としては在庫や盗難のリスクが高いので通常は箱から出さない。
しかし「高価だからこそ、箱のパッケージだけを見て買ってくださいというのはおかしい。『実際に見て触ってみて、納得して購入したい』というユーザーの視点に立った展示手法を随所に取り入れた」(升部長)。
高価なマザーボードも箱から出して触れられるように展示
各メーカーのビデオカード、CPUファンも実際に触れられるように徹底
商品展示だけではない。体験型コーナーで圧巻なのが作業スペースの「ドスパラボ」だろう。買ったその場で組み立てることができたり、自宅のPCを持ってきて、購入したパーツを取り付けられるようにした。
PCのパフォーマンスを検証するテスターや機材もレンタルで貸し出しているので、その場で検証やデモができるし、分からないことがあれば専門店ならではの詳しい販売員に相談できる。モバイル会員ならレンタル料は半額、工具が無料で使える特典もある。顧客との有機的なコミュニケーションの場として機能している。
組み立てはもちろんテスターや計器でパフォーマンスを検証できる「ドスパラボ」
ただ単純に商品を並べるだけでなく、手書きのPOPで商品のポイントや販売員のおススメが分かるようにしている工夫も見逃せない。目と鼻の先にはヨドバシカメラのマルチメディア札幌が、反対の札幌駅南口にはビックカメラ札幌店がそびえたつが、ドスパラ札幌店は専門店としての生き残り戦略の一つの方向性を示している。(BCN・細田 立圭志)
来店客数はオープン前の250%
ドスパラのオムニチャネル戦略を象徴する「ドスパラ札幌店」
その戦略を象徴するのが、昨年12月9日にフルリニューアルオープンした北海道札幌市の「ドスパラ札幌店」だ。同店は、JR札幌駅北口を出てすぐ、駅と北海道大学の間の好立地に構える。それまでワンフロアだけで組み立てPCをメインとしていた店舗を、5階までの各フロアにドスパラが展開するすべての事業を詰め込んだ。リニューアル後の来店客数は、前年同期比250%と盛況だ。
「ドスパラ札幌店」のエントランス
同店の小林寛史店長は「車で3時間かけて来られるお客様もいるほど。今まで来店されていなかったお客様が増えているし、店舗での買い上げ率も上がり、しっかりと販売につながっている」とリニューアル効果を実感する。
ドスパラ札幌店の小林寛史店長
各フロア構成は、次のようにバラエティに富む。1階は一般のノートPCとゲーミングPC、ゲーミングデバイスを展示する「GALLERIA Lounge」を展開。2階はDIYのPCやデバイス、それを実際に試すことができる作業スペース「ドスパラボ」を設置した。
1階の「GALLERIA Lounge」にはゲーミング用のマウスやマウスパッド、ヘッドセットなどを豊富に揃えた
3階はおもしろグッズやデジタル雑貨をネットで扱う「上海問屋」の商品や、中古のスマートフォン、デバイスを展示。上海問屋を抜けた奥のスペースに、昨年、東京・秋葉原でオープンして人気のVR無料体験ゾーン「ドスパラVRパラダイス」が広がる。デジタル雑貨のおもしろさで誘導した先に、道内最大級の「VRパラダイス」が登場するという遊び心を織り交ぜている。
道内最大級の無料VR体験スペースの「ドスパラVRパラダイス」
本格VR「HTC Vive」は北海道でも人気
そして4階はサポートや買取などの総合受付カウンター、5階はイベントスペースとなっている。
3階には「上海問屋」のおもしろデジタル雑貨が広がる。
通りすがりの顧客が入店しやすいように入口でもアピール(右)
まさに、西尾社長が語るところの、店舗やECを別々に展開する「マルチチャネル」ではなく、一つの店舗に集約させた「オムニチャネル」を具現化させた。
「上海問屋の商品に興味を持って来店されたお客様や、新生活でノートPCを購入しに来たお客様が、ゲームPCに関心をもってもらったり、調子の悪いPCを診断しに来られるお客様が上海問屋の存在を知ったりと相乗効果が高い」と小林店長は語る。
店内のすべてが体験ゾーン
札幌店リニューアルを統括プロデュースしたリテール事業本部SA企画開発部の升淳部長は「専門店らしくゲーミングデバイスやマザーボードをメーカー横断的に比較できるようにし、すべての商品が実際に触って試せるようにした」と、リアル店舗ならではの特徴を生かすために、店内の随所で体験できるようにしたことを強調する。例えば、マザーボードは箱から出して壁面に展示して、実物を見て触れるようにした。ゲーミング用マザーボードの中には、価格が6万円の高価な商品もあるので、店側としては在庫や盗難のリスクが高いので通常は箱から出さない。
しかし「高価だからこそ、箱のパッケージだけを見て買ってくださいというのはおかしい。『実際に見て触ってみて、納得して購入したい』というユーザーの視点に立った展示手法を随所に取り入れた」(升部長)。
高価なマザーボードも箱から出して触れられるように展示
各メーカーのビデオカード、CPUファンも実際に触れられるように徹底
商品展示だけではない。体験型コーナーで圧巻なのが作業スペースの「ドスパラボ」だろう。買ったその場で組み立てることができたり、自宅のPCを持ってきて、購入したパーツを取り付けられるようにした。
PCのパフォーマンスを検証するテスターや機材もレンタルで貸し出しているので、その場で検証やデモができるし、分からないことがあれば専門店ならではの詳しい販売員に相談できる。モバイル会員ならレンタル料は半額、工具が無料で使える特典もある。顧客との有機的なコミュニケーションの場として機能している。
組み立てはもちろんテスターや計器でパフォーマンスを検証できる「ドスパラボ」
ただ単純に商品を並べるだけでなく、手書きのPOPで商品のポイントや販売員のおススメが分かるようにしている工夫も見逃せない。目と鼻の先にはヨドバシカメラのマルチメディア札幌が、反対の札幌駅南口にはビックカメラ札幌店がそびえたつが、ドスパラ札幌店は専門店としての生き残り戦略の一つの方向性を示している。(BCN・細田 立圭志)