• ホーム
  • トレンド
  • テレビ関連でも国内シェアトップへ エレコムのDXアンテナ買収戦略

テレビ関連でも国内シェアトップへ エレコムのDXアンテナ買収戦略

経営戦略

2017/04/05 12:05

 エレコムは3月31日、船井電機、DXアンテナと共同で記者会見を開催。DXアンテナ子会社化の報告と、期待されるIoT関連分野のシナジー効果について説明した。


左から、DXアンテナの代表取締役 米山實社長、エレコムの葉田順治 取締役社長、
船井電機の代表取締役執行役員 前田哲宏社長

 エレコムが船井電機の連結子会社であるDXアンテナの株式譲り受けについて検討・協議すると発表したのは2016年11月7日。17年3月30日には船井電機から96%の株式を譲り受け、子会社化の手続きを完了した。将来的には100%の取得を目指すという。

 エレコムの葉田順治 取締役社長は「アンテナ事業は非常に参入が難しい分野。一時期、検討したが断念した。DXアンテナは得意領域や販路がエレコムとはっきり区分されており、家庭向け・法人向けの幅広いIoT需要でシナジーを生み出せると期待している」とコメント。具体的な事例を紹介した。
 

DXアンテナ買収による相乗効果を語るエレコムの葉田順治 取締役社長

 例えば、家庭向けには、テレビを各種センサデバイスと連携するホームセキュリティが考えられる。通信周辺のエレコム製品と放送周辺のDXアンテナ製品が組み合わせることで、デジタル環境を家中丸ごとカバーすることが可能になる。
 

家庭向けソリューション事例

 法人向けでは、テレビ受信インフラを活用することで、LAN回線を敷設するのが難しい旅館や病院などをネットワーク化する事業で連携が見込まれる。葉田社長が強調したのは「川上から川下まで技術屋が揃っている」ということだ。「これだけ複数の要素が組み合わさると必ずトラブルが発生するが、どの分野においても専門性の高いエンジニアがいるので、サポート体制も万全」。ゆくゆくは保守やメンテナンスで収益を図る会社にしたいという本音もあるようだ。
 

法人向けソリューション事例

 船井電機の代表取締役執行役員 前田哲宏社長は今回の株式譲渡の理由を「15年間、国内事業でともに結果を出してきたが、ここ数年は相乗効果が薄れてきた。事業全体を戦略的に分析すると、これからのテレビ事業は船井電機本体がやるべきではないかと判断した」と述べた。
 

株式譲渡の理由を語る船井電機の代表取締役執行役員 前田哲宏社長

 DXアンテナの代表取締役 米山實社長は「今回のグループ加入に社内も興奮している。それだけエレコムと一体となって事業を推進するメリットは大きい」と、期待の高さを示した。目標はアンテナ受信機器の国内シェアNo.1を獲得することだ。
 

エレコムグループ加入によるメリットを説明するDXアンテナの代表取締役 米山實社長

 7年前に立ち上げた新ブランド「DXデルカテック」では、防災・福祉・リニューアル・セキュリティなどの分野で、長年培った伝送技術を応用したソリューションを拡大している。今後は、エレコムの通信分野に関するノウハウに加えて、BtoC市場に強いエレコムの営業力を生かすこともできる。
 

エレコムの通信分野における強みと営業力を生かし、アンテナ受信機器の国内シェアNo.1を狙う

 これまで自社がカバーしていない分野で横方向にM&Aを展開し、成長を加速してきたエレコム。DXアンテナ買収をテコに、すでに国内シェアトップを獲得しているPC関連・スマホ関連に続いて、テレビ関連でもシェアトップを目指す。DXアンテナ買収による売上増は約100億円を見込んでいる。16年度の通期連結売上予想が900億円であることを加味すると、両社のシナジー効果次第では、1000億円超えという大台もみえてくる。(BCN・大蔵 大輔)