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<エアコンメーカー座談会・2017>エアコンの理想的な売り場と課題

特集

2017/02/24 18:00

 家電量販店の主力商品でありながら畳数別やメーカー別、壁面展示、列展示などで悩ましいエアコン売り場。メーカーが考える理想の売り場や課題を語った。

エアコンの理想的な売り場

体験型の売り場はメーカー別がベスト

 売り場の壁一面を使って部屋の畳数別に天井から足元まで目一杯にエアコンを並べる。郊外型の家電量販店では、見慣れたエアコン売り場の光景だ。
 

畳数別ではなく、メーカー別の売り場を望む声が多かった

 品揃えの豊富さを顧客に訴求できるメリットがある一方で、あまりにも横に長く展開ると、選びにくさを助長する。とりわけ、リビングルームと子ども部屋、寝室などのように、各部屋のエアコンを選ぶ際は移動が大変だ。

 座談会では「エアコン1台に畳数別のプライスカードをつけるなどして、見た目にコンパクトにする工夫が必要ではないか」といった意見があった。

 都市型の家電量販店の場合、売り場面積に制約があり壁面と列展示をミックスさせながら、畳数別とメーカー別に展示する手法が見受けられる。壁面はメーカー別に一押し機能を説明するコーナーとし、列展示では畳数別に各社のエアコンを比較できるように並べる。中には、ショールームのようにはっきりとメーカー別に分けた売り場もある。

 座談会では、やはりメーカー別の売り場を望む声が多かった。「搭載する人感センサーや温度センサーの説明、吹き出す風の流れをしっかりと説明するにはメーカー別の展示が理想だ」といった声だ。
 

東芝ライフスタイルのエアコン事業部事業企画部の吉田徹部長

 顧客にとってはどうだろうか。お目当てのメーカーが決まっている顧客には最善の売り場だが、特にメーカーにこだわりもなく、売り場で決めたい顧客にとっては、各社のコーナーを回らなければならず面倒になる。

 このように、畳数別もメーカー別も一長一短があり悩ましいわけだが、それでも座談会では「気流を制御しながら部屋全体を快適にするエアコンが増えているので、体感コーナーを設けられる点でメーカー別の展示がいい」という意見が出た。

気流を説明しやすい秀逸な展示手法とは

 売り場の課題では、最下段のエアコンが天面しか見えない難点が挙がった。モックなのでエアコンの天面から隙間だけがのぞく展示はいただけない。

 そんななか、ある都内の店舗では面白い試みがされている。駅直結の多層階店舗で売り場スペースが限られるため、島展示を採用している。秀逸なのは、すべてのエアコンが斜め上を向けて展示しているのだ。「↓」の矢先
のように、下段から上段まで並べている。
 

日立ジョンソンコントロールズ空調の家庭用空調事業部グローバル
商品マネジメント本部RAC商品企画部の木村士良部長

 こうすることで、エアコンの吹き出し口やルーバー、フラップがよく見える。気流制御のキモとなるこれらの動きを説明できるし、各種センサーの働きや機能を分かりやすく説明できる。下からエアコンを覗かなくてもいいような顧客視点の配慮が伝わる売り場だ。

 エアコンは、季節要因の影響を受けやすく繁閑差の激しい商品だが、例えばピーク時は畳数別にして、閑散期はメーカー別にレイアウトを変更してじっくり説明することで、買替え時の見込み客づくりをするというのもいいだろう。(BCN・細田 立圭志)
 
<エアコンメーカー座談会・2017>
開催日:2017年1月25日
場所:BCN 会議室
参加メーカー:シャープ、ダイキン工業、東芝ライフスタイル、日立ジョンソンコントロールズ空調、富士通ゼネラル(50音順)

▼記事一覧
https://www.bcnretail.com/market/detail/20170224_42313.html

※『BCN RETAIL REVIEW』2017年3月号から転載