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Androidタブレットの最多価格帯は2万台に、シェアトップのASUSは3万円台も拡大

時事ネタ

2017/01/17 18:00

 2012年の「Nexus 7」のヒットを皮切りに、AppleのiPadの独壇場が崩れたあたりから、タブレット端末は、性能よりも安さを競う、価格競争に突入した時期があった。家電量販店の実売データを集計した「BCNランキング」によると、2016年のAndroidタブレットの税別平均単価は、2012年より3000円ほど安い約2万4000円。売れ筋は2万円台で、1万円未満の製品も出回っている。同じ価格でも、性能は飛躍的にアップし、スペックを比較すると差は一目瞭然だ。

 1万円未満や1万円台の廉価モデルでも、Webサイトや電子書籍の閲覧など、基本的な動作に支障はないが、全体的な作りはややチープだ。対して、2016年、ASUSなどが新たに投入した3万円超のハイエンドモデルは、2Kや4Kといった高解像度ディスプレイを搭載し、音質やサウンドのチューニングにもこだわった。デザインも高級感がある。ハイエンドといっても、価格は同程度のスペックのスマートフォンより安く、コストパフォーマンスは高い。
 

昨年秋にASUSが発売した「ZenPad 3S 10(Z500M)」(左)と、「ZenPad 3 8.0(Z581KL)」

Android/Windowsタブレットとも2016年の年間シェア1位はASUS

 ASUSは、Google社と協業し、OSにAndroidを搭載した7インチの小型タブレット「Nexus 7」を発売し、大ヒットした2012年以降、Androidタブレットで年間メーカー別販売台数1位を獲得し続けている。2013年9月に発売した「Nexus 7」のLTE版は、SIMフリータブレットの先駆け。以前から、AndroidタブレットといえばASUSという印象は強い。

 2016年もシェア34.4%を占め、ダントツの存在だ。OSに「Windows 10」を搭載したWindowsタブレットでも34.7%を占め、同じく年間1位を獲得した。
 

 またASUSは、2014年から3年連続で、SIMフリースマートフォンの年間メーカー別販売台数1位を獲得。最新のZenFone 3シリーズでは、高速通信技術のキャリアアグリゲーションや、3G/LTE同時待受が可能なDSDS(デュアルSIM・デュアルスタンバイ)にほとんどの機種が対応し、最大6.8インチの大画面モデルをラインアップするなど、当初、「格安スマホ」とも呼ばれたSIMフリースマホのイメージを払拭。メイン端末として使える高性能、高機能を強く打ち出した。

 ASUSはスマホ同様、タブレットでもプレミアム化を推進。その結果、これまでの「安さ重視」だったAndroidタブレットのトレンドが変わり始めた。

 2015年と2016年の価格帯別販売台数構成比を比較すると、2016年は「1万円以上2万円未満」のタブレットが縮小し、代わって「2万円以上3万円未満」が拡大。「1万円未満」も微増しているため、平均単価は変わっていないものの、最多価格帯は1万円台から2万円台にシフトした。
 

 ASUS製品に限ると、さらに変化は顕著で、2015年は29.0%だった「2万以上3万円未満」が44.6%、5.0%だった「3万円以上4万円未満」が15.3%へと拡大し、3万円超のプレミアムタブレットの比率が高まっている。
 

新しいニーズの掘り起こしにも成功 タブレットをテレビ代わりに

 ASUS製タブレットのうち、最近の一番人気は、手ごろなのに十分使えるWi-Fiモデルの「ZenPad 8.0(Z380M)」がダントツで、次は2K(2048×1536)対応の7.9インチ液晶や、より美しく、鮮やかに映し出す独自の映像解析技術「Visual Master」、モーションブラーを低減する「ASUS Tru2Life+」を搭載したSIMフリーのLTE対応モデル「ASUS ZenPad 3 8.0(Z581KL)」だ。

 「ASUS ZenPad 3 8.0(Z581KL)」は、迫力ある高音質サウンドを再生できるデュアルスピーカーを備え、イヤホンを使えば、臨場感あふれる7.1chバーチャルサラウンドサウンドも楽しめる。10月以降、ほかにも、9.7インチの「ASUS ZenPad 3S 10(SIMフリーモデルのZ500KL/Wi-FiモデルのZ500M)」、7.9インチの「ASUS ZenPad S 8.0(Z580CA)」を発売した。
 

 好調の要因は、自宅や移動中、外出先での音楽・動画の視聴や、ハイスペックが要求されるゲームなどのニーズの拡大にありそうだ。無料/有料のストリーミング配信サービスを利用して、テレビのように音楽や動画を流しっぱなしにし、好きな曲や気になるシーンがかかったら視聴するといった使い方をするなら、「音」こそ、最もこだわりたいポイントになるからだ。

 今後、用途や利用シーンに特化した2台目ニーズはますます高まると思われる。大手キャリアより通信料金が安いMVNOの浸透を受け、SIMフリーモデルも伸びている。成長途上にあるこれらのニーズを掴み、タブレット市場をけん引し続けるASUSに2017年も注目だ。


*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割(パソコンの場合)をカバーしています。