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<KeyPerson>大手家電流通協会 佐藤健嗣会長 株価意識した取り組みで、家電量販店の地位向上

インタビュー

2016/12/22 18:00

 2016年7月に大手家電流通協会の新会長に就任した佐藤健嗣氏。家電量販各社が横断的に取り組むべき課題に、家電流通の地位の向上を掲げる。

取材・文/細田 立圭志 写真/川嶋久人


佐藤健嗣会長

―― 大手家電流通協会の活動などを通じて、家電流通全体が横断的に取り組むべき課題は何でしょう。

佐藤 家電量販各社の多くが上場していますが、他の業界と比べてPBR(株価純資産倍率)が低いと思います(編集部注:PBRとは株価を一株当たり純資産で割った数値。1倍が株価の下値とされるため、1倍以下は株価の低さ、あるいは割安感を意味する)。昔はもっとひどかったのですが、最近は各社の業績が堅調になってきたこともあり、全体的にはPBRが少し上がっています。とはいえ、1倍がやっとという状況です。

 PBRの高い業界では10倍や20倍です。今、500円や800円の株価の会社が、将来的に5000円や8000円になる価値があると、消費者からみられているわけです。メーカーでも1.5倍が普通です。家電業界だからなのか、個社ごとの問題なのか、いずれにしても家電流通が周りから評価されていないのはなぜかということを、みんなで共通の課題として考えていかなくてはいけません。

 家電量販店のプレーヤー数も減り、一時期のような過当競争に比べれば、現状は競争緩和のイメージが強いです。しかし、消費者サイドからみれば、まだ過度に競争していると思われているのではないでしょうか。PBRの低さがそれを物語っています。

 このテーマは、そうすぐに評価が上がるものではないので、こうした長期的な難しいテーマも、共通テーマとして取り組んでいきたいですね。
 

長期的な難しいテーマにも取り組みたいと語る

―― 株価は、エコポイントや消費税、地デジなど政府の施策に翻弄される側面もありますね。

佐藤 需要促進のための政府の施策は、われわれとしてはあまり期待すべきものではありません。株価を乱高下させて、結果的にまずいことが起こりうる状況を生むからです。

 家電製品のような耐久消費財とは、買い替えるのが今か、明日か、明後日か、来月か、再来月か。または今年か、来年か、再来年かと、それぞれにタイミングがあるのが特徴です。そのタイミングを手前に引っ張ってくれば、将来の需要がなくなるのは当然です。

 耐久消費財は需要そのものがなくなるわけではなく、需要が手前に来るか、先送りになるかです。施策によって意図的に需要の変動を起こすことは、業界にとって望ましくありません。

 エコポイントなど、よかれと思って打ち出されたのでしょうが、個人的にはもっと違った、新しい需要創造が見込めるような国家的な施策にお金を使っていただきたいです。

・<人材確保のヒントは、自動車と家電の違いに>に続く