バルミューダの電気ケトル、目からウロコの着眼点

オピニオン

2016/12/06 09:31

 2015年を代表する家電の一つとなったバルミューダのスチームオーブントースター「BALMUDA The Toaster」。発売から1年半が経過した現在も人気は衰えていないが、今年10月には、またもや「ここを攻める?」という新しい調理家電を発表した。「BALMUDA The Pot」、湯を沸かす電気ケトルだ。


BALMUDA The Pot

体験から生まれた新しい電気ケトル 注ぎ心地にこだわる

 パンを焼くことに特化したトースターが大ヒットしたとはいえ、それにも増して電気ケトルの機能は限定的だ。湯を沸かす、この一点以外に使い道はない。では、「BALMUDA The Pot」は何が新しいのか。

 大量の湯を沸かせる?――1度に沸かせる湯の量は0.6L。コーヒーカップ3杯分と少量。

 すぐに沸騰する?――満水時(0.6L)で約3分。電気ケトルとしては平均的。

 正解は“注ぎ心地”。いかにも秘密がありそうな、本体の下から曲面を描くようにして伸びる長いノズルと先端にネオン管の明かりを灯すハンドルは、どちらも「いかに気持ちよくお湯を注ぐことができるか」を追求した結果、生まれたものという。
 

独自の形状で、注ぐ湯の速度や量を思い通りにコントロールできる

 バルミューダの寺尾玄社長は「おいしいコーヒーを淹れようとハンドドリップに挑戦したが、どんなやかんや電気ケトルも湯切れが悪く、思い通りに湯を注ぐことができなかった。では、どうすれば注ぎやすくできるのか。その疑問が開発の原点」と語る。

 トースター同様、体験に端を発した、目からウロコの着眼点。「この機能はこんなシーンで活用できる」ではなく、「理想を実現するために、既成概念を一から見直した」という設計思想が根底にある。
 

2017年1月に第3弾「炊飯器」を発売予定

 年明けに炊飯器をリリース、オーブンレンジとコーヒーメーカーも鋭意制作中というバルミューダ。2017年は、さらに意欲的な年になりそうだ。調理家電にこだわる理由は、五感を伴う体験を提供できるからだという。生活を便利にする新しい家電に対する期待を販売につなげるために、どう体験を促す売り場を構築するか、知恵を絞る必要がありそうだ。(BCN・大蔵 大輔)