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<TopVision>ファーウェイ・ジャパン呉波副社長、日本で勝つ決め手はヒーロープロダクツ

インタビュー

2016/11/28 13:00

 SIMフリースマホの大波に乗って国内市場で快進撃を続けるファーウェイ・ジャパン。2011年の就任以降、スマートフォンなどのモバイルデバイスを中心に、幅広い製品ラインの戦略立案からビジネス開拓に従事し、日本でのビジネスの拡大を指揮してきたファーウェイ・ジャパンの呉波(ゴ・ハ)副社長にインタビューした。

取材/道越一郎 BCNチーフエグゼクティブアナリスト
文/細田 立圭志、写真/川嶋久人

日本で生き残れば「王者」になれる

道越 キャリアと一緒に取り組んだビジネスは、これまでの経験が生かせるので有利に思えますが、SIMフリーにシフトしています。違いを教えてください。
 

ファーウェイ・ジャパンの呉波(ゴ・ハ)副社長

 いい質問ですね。製品をつくって出荷してから消費者の手に届くまで、「セルイン」「セルスルー」「セルアウト」の3段階があります。ファーウェイではSI、ST、SOと呼んでいます。キャリア向けビジネスはSIだけです。STとSOはキャリアに任せるからです。また、キャリアに提供する製品はあらかじめ決められているので、われわれは入札から製品選定、入札結果までキャリアの動きについていくだけです。

 一方のオープンマーケットであるSIMフリーでは、メーカーが三つの段階のすべてにかかわらなければいけません。なかでも最も重要なのが、エンドユーザーとかかわるSOです。お客様とより向き合うことが求められます。ですので、ものづくりの定義から組織体制、人材育成など、あらゆる面でビジネスモデルが異なります。
 

道越 SIMフリー市場で、勝ち残るために必要なことは何ですか。

 今の日本のSIMフリー市場では、製品で勝負が決まるとみています。約10社あるプレーヤーのなかには、1年に5~10機種を発売するメーカーもありますが、シェアは低い。日本のSIMフリーマーケットの特徴は、数ではなく、あくまでもヒーロープロダクツによって勝負が決まると考えています。つまり、決め手になるのは日本の消費者の意向に沿った製品を提供することです。

 ヒーロープロダクツの好例はタブレットです。実際の売り場に30~40機種のタブレットを投入したメーカーもありますが、やはりシェアは低いです。ファーウェイは合計しても5~6機種だけです。7インチと10インチに絞った「T2」は、一気にシェアトップになったこともあります。消費者の意向に合致したヒーロープロダクツがあるかどうかが、実績につながるのです。

道越 グローバルにおける日本市場の位置づけを教えてください。

 日本市場での目標は生き残ることです。日本は世界中で最も厳しい市場で、プレーヤー数も多く強者揃いです。ですので、この市場で生き残ることが、王者になることを意味します。フィーチャーフォンの時代も、モトローラやノキアが世界市場で成功しましたが、日本でのシェアは低かったですね。スマホの時代に代わり、サムスンは世界で成功していますが、日本市場でのシェアはやはり低い。だからファーウェイの目標は、日本市場で生き残ることなのです。
 

・【Web限定公開】後半に続く

<Pickup>ファーウェイ初の2in1 PC「HUAWEI MateBook」
 

 呉波副社長は国内PC市場の低迷について「新しいPCを4、5年使い続けても、代わり映えがしないので、消費者は買い替えようと思わない」と指摘する。厳しい市場にあえて参入する狙いは、「スマホで培った経験をWindows PCで生かせると思った」と語る。市場の活力になることが期待されている。

 
■プロフィール

 2003年、プロダクトマネージャとしてファーウェイに入社後、アジア、ヨーロッパ、中東、ロシア、アメリカ、アフリカで製品統括および営業統括を経験。ファーウェイのデバイス事業で、モバイル・ブロード・バンドのソリューション統括本部のトップとしてグローバルビジネスに従事した。2011年、ファーウェイ・デバイスジャパンリージョンプレジデント兼ファーウェイ・ジャパン副社長に就任。その後、日本のデバイスビジネスを統括する端末統括本部統括本部長を兼任。スマートフォン、モバイルWi-Fiなどのモバイル・ブロード・バンド、ホームデバイス等、幅広い製品ラインの戦略立案からビジネス開拓に従事し、日本でのビジネスを毎年拡大。

・動画インタビュー トップに聞く『会社の夢』
 
※『BCN RETAIL REVIEW』2016年12月号から転載