dTVが考えるVR普及の条件、“はじめの一歩”はデバイス・コンテンツの訴求から
NTTドコモが運営する国内最大規模の会員数を誇る定額制動画配信サービス「dTV」がVRコンテンツの制作を開始したのは2014年。2年前に遡る。当時のサービス名は「dビデオ powered by BeeTV」。サービス名から「BeeTV」が外れた今も、「dTV」では、月額500円で、国内外の映画、ドラマ、アニメ、音楽に加え、「BeeTV」の動画コンテンツを見放題できる。
ストリーミングを使ったオンデマンド型の動画配信サービス「BeeTV」を運営するエイベックス通信放送の村本理恵子 取締役は「トレンドだからVRでコンテンツをつくろう、というVRありきではなく、もともと発想があった映像表現を実現するための新たな手法としてVRを採用しました」と当時を振り返る。
「VRスコープ」を片手に、これまでの経緯について語るエイベックス通信放送の村本理恵子 取締役
2016年3月には、Android搭載スマートフォン、タブレット端末向けに「dTV」初の360°映像コンテンツとしてリアル脱出ゲームドラマ「サイコルームからの挑戦状」を配信。ユーザー参加型のリアル脱出ゲームをバーチャルで体験するというユニークな発想が受け、VRによる映像配信に新しい可能性をもたらした。
リアル脱出ゲームドラマ「サイコルームからの挑戦状」
iPhoneなどスマートフォンで360°パノラマの3D映像が楽しめる独自のVR視聴専用アプリ「dTV VR」は、配信開始から約1か月後の8月27日時点で10万ダウンロード突破。第一弾コンテンツは「VR ANTHEM」など3作品で、10月14日からは「a-nation stadium fes. powered by dTV」のライブステージをVR技術を駆使した360°カメラを使って撮影した豪華アーティストのライブVRの配信も開始した。
将来的には「dTV」本体のアプリでも、VRコンテンツを配信する方針だが、「まずは別のアプリにすることで、どれだけのお客様が能動的にダウンロードするかを知りたかった」と、村本取締役は専用アプリを用意した理由を語る。
今夏、イベントで実施した体験会が盛況だったこともあり、村本取締役は、映像制作・配信におけるVRのニーズは「大いにある」と踏む。「まずはスマートフォンを活用した手軽なものを体験しながら、安価なVRデバイスが登場すれば、より身近なものとして広がっていく」と予想する。
8月27日・28日に開催された「a-nation stadium fes.powered by dTV」内のVR体験会ブース
とはいえ、現時点ではスマートフォンでのVR体験にも、簡易的なVRスコープが必要だ。一般のユーザーにいかに手に取ってもらうかは、普及に向けた重要な課題となる。また、ゲームと比較すると、映像コンテンツのユーザー層は広いが、VRに対するモチベーションがない、そもそも認知していない割合も高く、まずは認知度を高めるためのプロモーションが欠かせない。
「はじめの一歩が大事」と語った村本取締役は、「単純に360°映像があれば済むというだけではない。ゲームであれば、コンテンツがモチベーションになるが、私たちのお客様は形式はどうあれ、エンタメを楽しみたいと考えている。デバイス自体に『これは何だろう?』と興味をもってもらう。その上で、VRコンテンツを体験してもらう。トータルで提案していかなくては、と考えています」と、今後の方向性を示唆した。(BCN・大蔵 大輔)
ストリーミングを使ったオンデマンド型の動画配信サービス「BeeTV」を運営するエイベックス通信放送の村本理恵子 取締役は「トレンドだからVRでコンテンツをつくろう、というVRありきではなく、もともと発想があった映像表現を実現するための新たな手法としてVRを採用しました」と当時を振り返る。
「VRスコープ」を片手に、これまでの経緯について語るエイベックス通信放送の村本理恵子 取締役
2016年3月には、Android搭載スマートフォン、タブレット端末向けに「dTV」初の360°映像コンテンツとしてリアル脱出ゲームドラマ「サイコルームからの挑戦状」を配信。ユーザー参加型のリアル脱出ゲームをバーチャルで体験するというユニークな発想が受け、VRによる映像配信に新しい可能性をもたらした。
リアル脱出ゲームドラマ「サイコルームからの挑戦状」
iPhoneなどスマートフォンで360°パノラマの3D映像が楽しめる独自のVR視聴専用アプリ「dTV VR」は、配信開始から約1か月後の8月27日時点で10万ダウンロード突破。第一弾コンテンツは「VR ANTHEM」など3作品で、10月14日からは「a-nation stadium fes. powered by dTV」のライブステージをVR技術を駆使した360°カメラを使って撮影した豪華アーティストのライブVRの配信も開始した。
将来的には「dTV」本体のアプリでも、VRコンテンツを配信する方針だが、「まずは別のアプリにすることで、どれだけのお客様が能動的にダウンロードするかを知りたかった」と、村本取締役は専用アプリを用意した理由を語る。
今夏、イベントで実施した体験会が盛況だったこともあり、村本取締役は、映像制作・配信におけるVRのニーズは「大いにある」と踏む。「まずはスマートフォンを活用した手軽なものを体験しながら、安価なVRデバイスが登場すれば、より身近なものとして広がっていく」と予想する。
8月27日・28日に開催された「a-nation stadium fes.powered by dTV」内のVR体験会ブース
とはいえ、現時点ではスマートフォンでのVR体験にも、簡易的なVRスコープが必要だ。一般のユーザーにいかに手に取ってもらうかは、普及に向けた重要な課題となる。また、ゲームと比較すると、映像コンテンツのユーザー層は広いが、VRに対するモチベーションがない、そもそも認知していない割合も高く、まずは認知度を高めるためのプロモーションが欠かせない。
「はじめの一歩が大事」と語った村本取締役は、「単純に360°映像があれば済むというだけではない。ゲームであれば、コンテンツがモチベーションになるが、私たちのお客様は形式はどうあれ、エンタメを楽しみたいと考えている。デバイス自体に『これは何だろう?』と興味をもってもらう。その上で、VRコンテンツを体験してもらう。トータルで提案していかなくては、と考えています」と、今後の方向性を示唆した。(BCN・大蔵 大輔)