<特集>ヨドバシカメラ、PCバイヤーが考えるPCビジネスの将来
厳しい市況が続くPC市場だが、ヨドバシカメラのマルチメディアAkibaでは、今でもPC売り場を1階に設置している。競合の家電量販店では地下や上層階にあるPC売り場だが、ヨドバシは1階にこだわっている。
ヨドバシカメラ マルチメディアAkibaの1階Windows PCコーナー
パソコン事業部の鈴木裕介パソコン事業部長は「PCは単価が高く売り上げ規模や利益も大きいので、1階にしっかりと展示している」と、その理由を語る。それだけPCに寄せる期待が大きい。
ヨドバシカメラの鈴木裕介パソコン事業部パソコン事業部長
ただし「今までと同じことをしていたら相当に厳しくなるという危機感を持っている」と打ち明ける。
鈴木パソコン事業部長は、2020年の小学校でのプログラミング授業の義務化に向けたキッズPCの発売を急いでほしいというメーカーへの注文のほか、今後のPCに対する要望について次の2点を挙げる。
まずは、年配層向けのPCである。2011年ごろは富士通がシニア向けに「FMVらくらくパソコン」を発売していたが、最近では市場投入していない。少子高齢化が急激に進む日本市場で、あらためてシニア向けの簡単操作のPCのニーズが高まるとみる。
「確かに今の30代や40代はPCを使いこなしているお客様は多いが、やがてその方々も50代や60代になる。全員とは言わないが、大きな文字で読みやすいPCのニーズは出てくるはずだ」(鈴木部長)。
もうひとつは「個人的な見解」と前置きしつつ、家のリビングに置いても違和感なく溶け込むデザインのPCだ。これまでのような薄型でフレームの細い液晶ディスプレイとキーボードというスタンダードノートPCとは異なる、まったく新しいデザインのPCである。
「ノートPCがリビングに置いてあるとどうしてもビジネスのイメージが強くなる。そうではなく、例えば人が話しかけると応えたり、日常生活でのアイデアを提案してくれるような、見た目もこれまでとはまったく違うデザインのPC」だという。
いわばロボットのようなPCを想像するが、鈴木部長は「ロボットは高価すぎて手が届かないお客様も多いだろう。だからロボットとPCの間の価格帯にあるようなPC」と語る。この点では、Windows 10のCortanaやAppleのSiri、Googleの音声認識APIなどの進化に期待している。
「今や新製品が出たという理由だけでPCを購入するお客様は少ない。価格やスペックだけでない情報を、もっとメーカーも発信してほしい」と現場からの要望を出す。
ヨドバシカメラ マルチメディアAkibaの本多一成パソコン専門チーム マーケット・イノベーター マネージャ
とくに海外メーカー製のPCがコストパフォーマンスのよさから売れているという。
「個人的には国内メーカーにもっとがんばってほしいが、今の若いお客様は海外や国内にあまりこだわらずに購入する。一時はひどいと言われていた海外メーカーのサポートも、徐々に改善している。国内メーカーも2万円~3万円の価格差をお客様に説明できるだけの機能やサービスが必要になっている」と指摘する。
ヨドバシカメラでは、PC売り場を従来のメーカー別の展示から、PCを使ってこんなことができるというイベントを中心にした売り場へと変えている。
イベントを中心にPCの新しい使い方を発信できる「Windowsエリア」
4月29日にオープンした「Windowsエリア」はまさにその象徴だ。従来は隣のAppleのコーナーと連動する形で、iPadやiPhone、Apple Watchなどのアクセサリーコーナーを充実させていた。今回は、このアクセサリーコーナーを店舗奥に移動し、「Windowsエリア」を設置したのだ。
プロのカメラマンを呼んで、カメラ撮影とPCでの編集をセットにしたイベントやゲーミングPCのイベントなどを実施。なかでもプロのゲーマーと一般の顧客とが対戦して、その様子をディスプレイで視聴できるゲーミングPCのイベントは大いに盛り上がった。
約50万円の高価なゲーミングPCが並ぶマルチメディアAkibaの「ゲーミングPCコーナー」
ヨドバシカメラでは、さっそくゲーミングPCのコーナーを設置。すぐに50万円の専用PCが売れるなどの成果を上げている。「ディスプレイとゲーミングPC本体を展示しただけでも売れたので、お客様の要望をきめ細かく反映させた売り場にすればさらに販売台数は増えるだろう。改善の余地はまだまだある」と本多マネージャはゲーミングPCに手ごたえを感じている。(BCN・細田 立圭志)
ヨドバシカメラ マルチメディアAkibaの1階Windows PCコーナー
パソコン事業部の鈴木裕介パソコン事業部長は「PCは単価が高く売り上げ規模や利益も大きいので、1階にしっかりと展示している」と、その理由を語る。それだけPCに寄せる期待が大きい。
ヨドバシカメラの鈴木裕介パソコン事業部パソコン事業部長
ただし「今までと同じことをしていたら相当に厳しくなるという危機感を持っている」と打ち明ける。
鈴木パソコン事業部長は、2020年の小学校でのプログラミング授業の義務化に向けたキッズPCの発売を急いでほしいというメーカーへの注文のほか、今後のPCに対する要望について次の2点を挙げる。
まずは、年配層向けのPCである。2011年ごろは富士通がシニア向けに「FMVらくらくパソコン」を発売していたが、最近では市場投入していない。少子高齢化が急激に進む日本市場で、あらためてシニア向けの簡単操作のPCのニーズが高まるとみる。
「確かに今の30代や40代はPCを使いこなしているお客様は多いが、やがてその方々も50代や60代になる。全員とは言わないが、大きな文字で読みやすいPCのニーズは出てくるはずだ」(鈴木部長)。
もうひとつは「個人的な見解」と前置きしつつ、家のリビングに置いても違和感なく溶け込むデザインのPCだ。これまでのような薄型でフレームの細い液晶ディスプレイとキーボードというスタンダードノートPCとは異なる、まったく新しいデザインのPCである。
「ノートPCがリビングに置いてあるとどうしてもビジネスのイメージが強くなる。そうではなく、例えば人が話しかけると応えたり、日常生活でのアイデアを提案してくれるような、見た目もこれまでとはまったく違うデザインのPC」だという。
いわばロボットのようなPCを想像するが、鈴木部長は「ロボットは高価すぎて手が届かないお客様も多いだろう。だからロボットとPCの間の価格帯にあるようなPC」と語る。この点では、Windows 10のCortanaやAppleのSiri、Googleの音声認識APIなどの進化に期待している。
「今や新製品が出たという理由だけでPCを購入するお客様は少ない。価格やスペックだけでない情報を、もっとメーカーも発信してほしい」と現場からの要望を出す。
新設のゲーム売り場が好調
一方、ヨドバシカメラ マルチメディアAkibaのPC売り場の責任者である本多一成パソコン専門チーム マーケット・イノベーター マネージャは「マルチメディアAkibaとマルチメディア梅田で、8月は台数も金額も前年を上回った」と、PC販売が好調だったと語る。ヨドバシカメラ マルチメディアAkibaの本多一成パソコン専門チーム マーケット・イノベーター マネージャ
とくに海外メーカー製のPCがコストパフォーマンスのよさから売れているという。
「個人的には国内メーカーにもっとがんばってほしいが、今の若いお客様は海外や国内にあまりこだわらずに購入する。一時はひどいと言われていた海外メーカーのサポートも、徐々に改善している。国内メーカーも2万円~3万円の価格差をお客様に説明できるだけの機能やサービスが必要になっている」と指摘する。
ヨドバシカメラでは、PC売り場を従来のメーカー別の展示から、PCを使ってこんなことができるというイベントを中心にした売り場へと変えている。
イベントを中心にPCの新しい使い方を発信できる「Windowsエリア」
4月29日にオープンした「Windowsエリア」はまさにその象徴だ。従来は隣のAppleのコーナーと連動する形で、iPadやiPhone、Apple Watchなどのアクセサリーコーナーを充実させていた。今回は、このアクセサリーコーナーを店舗奥に移動し、「Windowsエリア」を設置したのだ。
プロのカメラマンを呼んで、カメラ撮影とPCでの編集をセットにしたイベントやゲーミングPCのイベントなどを実施。なかでもプロのゲーマーと一般の顧客とが対戦して、その様子をディスプレイで視聴できるゲーミングPCのイベントは大いに盛り上がった。
約50万円の高価なゲーミングPCが並ぶマルチメディアAkibaの「ゲーミングPCコーナー」
ヨドバシカメラでは、さっそくゲーミングPCのコーナーを設置。すぐに50万円の専用PCが売れるなどの成果を上げている。「ディスプレイとゲーミングPC本体を展示しただけでも売れたので、お客様の要望をきめ細かく反映させた売り場にすればさらに販売台数は増えるだろう。改善の余地はまだまだある」と本多マネージャはゲーミングPCに手ごたえを感じている。(BCN・細田 立圭志)