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<TopVision>ティファール、60年目の挑戦 歴史を伝えてブランドイメージ浸透へ

インタビュー

2016/09/28 09:30

 日本ではキッチン用品メーカーとして広く知られる「ティファール」は、今年で60周年の節目を迎えた。ティファールをはじめ18のブランドを抱える「グループセブ」日本法人のアンドリュー・ブバラ社長にインタビューした。

取材/道越一郎 BCNチーフエグゼクティブアナリスト
文/廣瀬秀平
写真/川嶋久人
 

グループセブ日本法人のアンドリュー・ブバラ社長
 

フランス南部の小さな街が起源 買収と独自技術で成長

道越 まずはグループセブについてご説明いただけますか。

ブバラ フランス南部のセロンジュという小さな街で1857年に創業しました。当時はセブという会社でした。最初につくったのが圧力鍋で、今でも現地に圧力鍋の工場があり、そこから全世界に供給しています。今ではいろいろな国でブランドを展開していますが、画期的だったのは、1968年にティファール社を買収したことです。その後も、買収をしながらどんどん成長してきました。数か月前には、ドイツの名門キッチン用品メーカー「WMF」(ヴェーエムエフ)の買収も発表しました。買収だけでなく、開発にも多額の投資をしており、独自の製品を出すことによっても成長してきました。

道越 グループセブのなかで、ティファールはどのような位置づけでしょうか。

ブバラ ティファールはもっとも重要です。日本で展開しているブランドの99%をティファールが占めています。日本の消費者には「取っ手の取れるティファール」でフライパンなどの調理器具を思い浮かべてもらえます。ただ、日本の市場でのブランド認知度は、機能的な部分が大きいのが事実です。われわれが目指す方向性やブランドイメージが浸透していないのは課題です。
 

今年は60周年の記念すべき年

道越 今後、目指していく方向性について具体的に教えてください。

ブバラ 今年はティファール社設立60周年です。歴史をしっかり伝えていけば、消費者の信頼感とともに、ブランドイメージも浸透していくと思っています。われわれが目指しているのは、『みんなの暮らしを自由にしたい』ということです。毎日の家事を楽にしたり、時短を実現したりすることをサポートするブランドとして、ティファールのことをもっと知ってもらえたらいいなと思っています。
 

「時代が変わればウチも変わる」 スマート家電に前向き姿勢

道越 IoTへのアプローチは考えていますか。

ブバラ 市場も、消費者も、製品の使い方も、グループセブも、どんどん変わっていきます。流行りになっているスマート家電の分野については、まだ具体的には言えませんが、何年も前から開発レベルでは頑張っています。『時代が変わればウチも変わる』ということがキーワードです。日本では、技術やITに対する興味を持っている方が少なくないので、市場としては非常に可能性があると考えています。

・ブバラ社長が語る、さらに60年後とは
 
■プロフィール
 イエール大学にて学士号を取得、バージニア大学にてMBAを取得。ソニーに約20年間在籍。ジェネラルマネジメント、ビジネス&サプライチェーンマネジメント、マーケティングなど幅広い業務に従事し、数々の要職を歴任。その後、グーグルにてアジアパシフィック・コンシューマーオペレーションの責任者を経て、2015年7月1日グループセブ ジャパンにマネージング ディレクターとして入社。2015年9月25日付けで代表取締役社長に就任(現任)。
・動画インタビュー トップに聞く『会社の夢』
 
 

自動調理器「Cook4me」

キャラクターにドラえもんを起用
 

 2015年にテレビ通販を通してテスト販売を開始した1台4役の自動調理機「Cook4me(クックフォーミー)」。9月1日から待望の全国販売に踏み切った。さらに、“未来型クッキングサポーター”に位置づける同製品のイメージキャラクターにドラえもんを起用。60周年の記念すべき年を盛り上げる。
 
◇取材を終えて
 生活家電とはいえ、ロボット掃除機となると中身はコンピュータの塊だ。ネイト ロボティクスはロボット掃除機を極めるために2005年にシリコンバレーで生まれたベンチャー。性能の高さは定評がある。日本市場の課題は認知だ。セイコーエプソン、HP、ロジクールとクロモノ畑を歩いてきた竹田社長にとって、デジタル製品は自家薬籠中の物。この経験を活かし、少数精鋭のメンバーと取り組む地道な努力が実を結ぼうとしている。(柳)
※『BCN RETAIL REVIEW』2016年10月号から転載