メモリカードの価値とは!? レキサーの大木氏が語る
SDメモリカードはどれも同じ、なら少しでも安いものを買おう。そう思っている人は多いのではないだろうか。しかし、それは誤った認識だ。目先の価格ばかりにとらわれていると、結局割高の製品を買ってしまうことになりかねない。そこで、レキサーブランドを担当するマイクロン ジャパンのコンシューマープロダクツグループ大木 和彦ディレクター ジャパンセールスにメモリカード選びに役立つ指標について聞いた。
メモリカード選びの目安として「MVP値」を提唱する、マイクロン ジャパンの大木 和彦ディレクター
例えば、売れ筋のサンディスクの「Ultra PLUS」シリーズで見てみよう。なお、価格は家電量販店の実売データを集計する「BCNランキング」の週次の税別平均単価を使用した。
8GBモデルの平均価格は1670円、容量が倍の16GBモデルの平均単価は3000円だった。1GB当たりの価格を計算すると、8GBモデルは208.75円、16GBモデルは187.5円と21円も差がある。
「2000円以下だし、8GBあれば十分」と思って購入する人が多いようだが、8GBだとフルHD動画で70分ほど、4K動画になると10分も撮影できない。子どもの発表会や結婚式で使おうと思っても容量が足りず、もう一枚用意することに。となれば、同じ8GBのカードを2枚購入するよりも16GBモデルを買った方が断然“おトク”だ。さらに、32GBモデルの平均単価は5250円で、1GB当たりの価格は164円。容量が大きくなればなるほど、割安になる。
書込速度が速いメモリカードは、連写撮影時や、高解像度の動画撮影時に威力を発揮する。書込が遅いカードを使うと、書込が終わるまで次のシャッターが押せず、シャッターチャンスを逃してしまうこともあるからだ。動画撮影時はコンスタントにデータを書き込むことになるので、最低書込速度も気にしたほうがいい。
速ければ速いほうが高性能とはいえ、目安が欲しいところ。そこで大木ディレクターが提唱するのが、「メモリー・バリュー・パフォーマンス(MVP)」だ。速い書込速度を実現するには、「質」のよいメモリが必要となるため、書込速度はメモリカードの「質」を判断する目安になるという。そこで導き出されたのが容量当たりの価格を書込速度で割って算出する「製品購入価値」だ。
それでは先述の例で計算してみよう。
■「Professional 2000x」
7200円÷32GB=225円/GB→225÷260MB/秒=0.86
■「Professional 633x」
1600円÷32GB=50円/GB→50÷45MB/秒=1.11
この数値が低ければ低いほど、製品購入価値が高い。つまり、この2製品を比べると、「Professional 2000x」のほうが実はコストパフォーマンスは高い。
容量当たりの価格ではトランセンドの「SDXC/SDHC UHS-II U3」が142円と目を引くが、書込速度は180MB/秒と遅い。MVP値では、サンディスクの「サンディスク エクストリーム プロ」が1.5、トランセンドの「SDXC/SDHC UHS-II U3」が0.8だったのに対し、マイクロンの「Professional 2000x SDHC/SDXC UHS-IIカード」は0.6となり、最も購入価値が高いことがわかった。
XQDは、ソニーの「XQDメモリーカードGシリーズ」が0.6、マイクロンの「Lexar Professional 2933x XQD 2.0カード」が0.4という結果だった。
CFastは、サンディスクの「Extreme Pro CFast 2.0 カード」が2.1、マイクロンの「Professional 3500x CFast 2.0カード」が0.8という結果だった。
三つのメディアで比べた結果、マイクロン製品が0.6~0.8と数値が低く、購入価値が高い、つまり“おトク”であることがわかった。
UHS-II、XQD、CFastとも、ハイエンドカメラが採用しているメディアだ。そんなカメラを持っていない人にとってはピンとこないかもしれないが、外付けHDD、SSD、USBメモリなどでも同じことがいえるので、MVP値の計算式を覚えておいて損はない。
JumpDrive P20
「例えば、レキサーのUSBメモリ『JumpDrive P20』でも、MVP値の比較でお買得なモデルだと発見できる。32GBモデルの平均単価は2630円で、容量当たりの価格は82.2円。書込転送速度は150MB/秒なので、MVP値は0.5となる。UHS-IIよりも“お買い得”であることが分かる。MVP値はストレージの購入の際にとても便利な指標」と大木ディレクターは話す。(BCN・山下彰子)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。
メモリカード選びの目安として「MVP値」を提唱する、マイクロン ジャパンの大木 和彦ディレクター
まずは1GB当たりの価格をチェックする
メモリカードは容量によって価格が異なる。異なる容量で比較する場合は、1GB当たりの価格をチェックしよう。「価格÷容量」で1GB当たりの価格がわかる。例えば、売れ筋のサンディスクの「Ultra PLUS」シリーズで見てみよう。なお、価格は家電量販店の実売データを集計する「BCNランキング」の週次の税別平均単価を使用した。
8GBモデルの平均価格は1670円、容量が倍の16GBモデルの平均単価は3000円だった。1GB当たりの価格を計算すると、8GBモデルは208.75円、16GBモデルは187.5円と21円も差がある。
「2000円以下だし、8GBあれば十分」と思って購入する人が多いようだが、8GBだとフルHD動画で70分ほど、4K動画になると10分も撮影できない。子どもの発表会や結婚式で使おうと思っても容量が足りず、もう一枚用意することに。となれば、同じ8GBのカードを2枚購入するよりも16GBモデルを買った方が断然“おトク”だ。さらに、32GBモデルの平均単価は5250円で、1GB当たりの価格は164円。容量が大きくなればなるほど、割安になる。
メモリカードの価値は転送速度で決まる
容量が同じ場合、価格は転送速度によって変わる。大木ディレクターは、「例えばレキサーの32GBのSDメモリカード『Professional 2000x SDHC/ UHS-II』と『Professional 633x SDHC UHS-Iカード』を比較すると、『Professional 2000x』は平均単価7200円、『Professional 633x』は平均単価1600円と4倍も価格差がある。ところが最大書込速度を比べると『Professional 2000x』は260MB/秒なのに対し、『Professional 633x』は45MB/秒と大きな差がある」と説明した。書込速度が速いメモリカードは、連写撮影時や、高解像度の動画撮影時に威力を発揮する。書込が遅いカードを使うと、書込が終わるまで次のシャッターが押せず、シャッターチャンスを逃してしまうこともあるからだ。動画撮影時はコンスタントにデータを書き込むことになるので、最低書込速度も気にしたほうがいい。
速ければ速いほうが高性能とはいえ、目安が欲しいところ。そこで大木ディレクターが提唱するのが、「メモリー・バリュー・パフォーマンス(MVP)」だ。速い書込速度を実現するには、「質」のよいメモリが必要となるため、書込速度はメモリカードの「質」を判断する目安になるという。そこで導き出されたのが容量当たりの価格を書込速度で割って算出する「製品購入価値」だ。
それでは先述の例で計算してみよう。
■「Professional 2000x」
7200円÷32GB=225円/GB→225÷260MB/秒=0.86
■「Professional 633x」
1600円÷32GB=50円/GB→50÷45MB/秒=1.11
この数値が低ければ低いほど、製品購入価値が高い。つまり、この2製品を比べると、「Professional 2000x」のほうが実はコストパフォーマンスは高い。
ハイエンドカードのMVP値を比べた
この計算式を用い、64GBのカードを例にUHS-II、XQD、C-FastのMVP値を算出した。参入メーカーの多いUHS-IIだが、サンディスク、マイクロン(レキサー)、トランセンドジャパンの3社の製品が人気を集めている。容量当たりの価格ではトランセンドの「SDXC/SDHC UHS-II U3」が142円と目を引くが、書込速度は180MB/秒と遅い。MVP値では、サンディスクの「サンディスク エクストリーム プロ」が1.5、トランセンドの「SDXC/SDHC UHS-II U3」が0.8だったのに対し、マイクロンの「Professional 2000x SDHC/SDXC UHS-IIカード」は0.6となり、最も購入価値が高いことがわかった。
XQDは、ソニーの「XQDメモリーカードGシリーズ」が0.6、マイクロンの「Lexar Professional 2933x XQD 2.0カード」が0.4という結果だった。
CFastは、サンディスクの「Extreme Pro CFast 2.0 カード」が2.1、マイクロンの「Professional 3500x CFast 2.0カード」が0.8という結果だった。
三つのメディアで比べた結果、マイクロン製品が0.6~0.8と数値が低く、購入価値が高い、つまり“おトク”であることがわかった。
UHS-II、XQD、CFastとも、ハイエンドカメラが採用しているメディアだ。そんなカメラを持っていない人にとってはピンとこないかもしれないが、外付けHDD、SSD、USBメモリなどでも同じことがいえるので、MVP値の計算式を覚えておいて損はない。
JumpDrive P20
「例えば、レキサーのUSBメモリ『JumpDrive P20』でも、MVP値の比較でお買得なモデルだと発見できる。32GBモデルの平均単価は2630円で、容量当たりの価格は82.2円。書込転送速度は150MB/秒なので、MVP値は0.5となる。UHS-IIよりも“お買い得”であることが分かる。MVP値はストレージの購入の際にとても便利な指標」と大木ディレクターは話す。(BCN・山下彰子)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベースで、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。