iPhoneをめぐるシェア争い、ワイモバイル参入でどう変わった?
当初の1社から2社、そして3社と、モデルチェンジのたびごとに、取り扱いキャリアが増えてきたiPhone。日本での販売台数増を目論むAppleと、iPhone目当てに他社に乗り換えるユーザーをつなぎ止めたいキャリアの思惑が一致した結果、主要3キャリアすべてが取り扱うようになった。さらに、今年3月4日から、ソフトバンクグループの「Y!mobile(ワイモバイル)」も取り扱いを開始。第4のキャリア・ワイモバイルの参入によって、スマートフォンのキャリア別シェアに変化が生じている。
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・歴代iPhone販売台数トップは「iPhone 6」、右肩上がりのピークは過ぎたか
今年のスマホ商戦は、例年とは異なる様相を呈している。1月、総務省が示した「スマートフォンの端末購入補助の適正化に関するガイドライン」を受け、「実質0円」で安く買えるうちに手に入れようと、多くの人が購入に走った。にわかに起こった「特需」の結果、1月のスマホの販売台数は大きく跳ね上がり、その反動で、例年なら年間で最も多い3月は、前年同月比83.4%と、低調に終わった。
現行モデル「iPhone 6s」の売れ行き不振は、新機能の少なさや、過去最大のヒットとなった「iPhone 6」の反動に加え、割高感のある料金プランや、結果的に端末価格の高騰をもたらした販売方法の変化の影響も大きいだろう。
新色ローズゴールドが加わり、4色に増えた「iPhone 6s」(写真はシルバー)。「iPhone 5s」(中央)に比べると、一回り大きい
2015年8月から2016年7月まで、直近1年間のスマホ全体のキャリア別シェアを集計すると、au(29.1%)、ドコモ(25.5%)、ソフトバンク(25.4%)、ワイモバイル(7.8%)の順。電気通信事業者協会(TCA)調べの事業者別契約数では、ドコモに次ぐ第2位のKDDI(au)がトップに立った。iPhoneに限ると、ソフトバンクが37.9%を占め、僅差でau(36.6%)、だいぶ離れてドコモ(22.9%)、ワイモバイル(2.5%)と続く。
iPhoneに限ったキャリア別シェアをみると、ワイモバイルの躍進は、より鮮明になる。今年3月、ワイモバイルは、いきなり6.9%のシェアを獲得。その後も6~7%台を維持し、7月は8.3%を占めた。
ワイモバイルの最大の特徴は、主要3キャリアとは異なる、通話と通信料金をセットにした月額2980円からのシンプルな料金プラン「スマホプラン」。できるだけ安くiPhoneを使いたいユーザーや、4インチの「iPhone 5s」の新品を求めていたユーザーのニーズを掘り起こした。その一方で、日本初の「Android One」のスマートフォン「507SH」を発売した。2014年8月のサービス開始から2年。安さ、わかりやすさ、厳選した独自の製品ラインアップを強みに、ワイモバイルは独自のポジションを獲得しつつある。
「ポケモンGO」人気は、iPhoneよりも安価な、Android搭載SIMフリースマートフォンの販売を後押しする。現在、ワイモバイルに加え数社だけだが、MVNOも「iPhone 5s」のみ取り扱っている。旧機種を含めた取り扱いキャリアの拡大には、日本国内での高いシェアの維持にこだわるAppleの焦りが見え隠れする。そもそも、総務省が示したガイドラインは、割引額が他の機種より多く、販売面で優遇されていたiPhoneを狙い撃ちにしたものだともいわれている。今まさに、スマホ市場は変わりつつある。(BCN・嵯峨野 芙美)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベース(パソコンの場合)で、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。
”駆け込み特需”が1月に発生 例年とは異なる今年のスマホ商戦
先日掲載した<歴代iPhone販売台数トップは「iPhone 6」、右肩上がりのピークは過ぎたか>でお伝えした通り、家電量販店の実売データを集計した「BCNランキング」で2016年6月末までの歴代iPhoneの累計販売台数を比較すると、2014年9月発売の「iPhone 6」が最も多く、現時点で、日本で一番売れたスマートフォンだ。【関連記事】
・歴代iPhone販売台数トップは「iPhone 6」、右肩上がりのピークは過ぎたか
今年のスマホ商戦は、例年とは異なる様相を呈している。1月、総務省が示した「スマートフォンの端末購入補助の適正化に関するガイドライン」を受け、「実質0円」で安く買えるうちに手に入れようと、多くの人が購入に走った。にわかに起こった「特需」の結果、1月のスマホの販売台数は大きく跳ね上がり、その反動で、例年なら年間で最も多い3月は、前年同月比83.4%と、低調に終わった。
現行モデル「iPhone 6s」の売れ行き不振は、新機能の少なさや、過去最大のヒットとなった「iPhone 6」の反動に加え、割高感のある料金プランや、結果的に端末価格の高騰をもたらした販売方法の変化の影響も大きいだろう。
新色ローズゴールドが加わり、4色に増えた「iPhone 6s」(写真はシルバー)。「iPhone 5s」(中央)に比べると、一回り大きい
2015年8月から2016年7月まで、直近1年間のスマホ全体のキャリア別シェアを集計すると、au(29.1%)、ドコモ(25.5%)、ソフトバンク(25.4%)、ワイモバイル(7.8%)の順。電気通信事業者協会(TCA)調べの事業者別契約数では、ドコモに次ぐ第2位のKDDI(au)がトップに立った。iPhoneに限ると、ソフトバンクが37.9%を占め、僅差でau(36.6%)、だいぶ離れてドコモ(22.9%)、ワイモバイル(2.5%)と続く。
主要4キャリア唯一の5か月連続プラス iPhone効果でワイモバイルが伸びる
注目は、ワイモバイルの動き。「iPhone 5s」の取り扱いを開始した3月以降、スマホ全体でのシェアは10%を超え、6月は、過去最高の13.0%を記録した。前年同月比も、4キャリアのうち、ワイモバイルだけ、5か月連続でプラスを記録している。iPhoneに限ったキャリア別シェアをみると、ワイモバイルの躍進は、より鮮明になる。今年3月、ワイモバイルは、いきなり6.9%のシェアを獲得。その後も6~7%台を維持し、7月は8.3%を占めた。
ワイモバイルの最大の特徴は、主要3キャリアとは異なる、通話と通信料金をセットにした月額2980円からのシンプルな料金プラン「スマホプラン」。できるだけ安くiPhoneを使いたいユーザーや、4インチの「iPhone 5s」の新品を求めていたユーザーのニーズを掘り起こした。その一方で、日本初の「Android One」のスマートフォン「507SH」を発売した。2014年8月のサービス開始から2年。安さ、わかりやすさ、厳選した独自の製品ラインアップを強みに、ワイモバイルは独自のポジションを獲得しつつある。
強まるSIMフリー拡大の動き シェアトップのAppleに焦り
7月22日、海外で先行配信し、話題となっていたスマホゲーム「ポケモンGO」の配信が日本でもスタートした。ネット上では、従来型携帯電話(フィーチャーフォン)からスマホはもちろん、OSが古い「ポケモンGO」非対応機種から、「ポケモンGO」が快適に動作する最新機種へ買い替えたという声も多く見受けられた。「ポケモンGO」人気は、iPhoneよりも安価な、Android搭載SIMフリースマートフォンの販売を後押しする。現在、ワイモバイルに加え数社だけだが、MVNOも「iPhone 5s」のみ取り扱っている。旧機種を含めた取り扱いキャリアの拡大には、日本国内での高いシェアの維持にこだわるAppleの焦りが見え隠れする。そもそも、総務省が示したガイドラインは、割引額が他の機種より多く、販売面で優遇されていたiPhoneを狙い撃ちにしたものだともいわれている。今まさに、スマホ市場は変わりつつある。(BCN・嵯峨野 芙美)
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベース(パソコンの場合)で、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。