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<Key Person>ヨドバシカメラ藤沢昭和社長 気になるヨドバシの在庫回転率とは?

インタビュー

2016/08/24 11:00

 いまやあらゆる業界、業種に普及している「ポイントサービス」は、年間約8500億円ともいわれる発行規模に膨れ上がっている。1989年にヨドバシカメラが初めて考案した「ポイントカード」について、創業者の藤沢昭和社長は、開発当時の考えを明かした。「お客様への利益の還元」からスタートした「ポイントカード」は、ヨドバシカメラの高収益な経営の実践と密接に絡み合っていた。

取材・文/細田 立圭志
写真/大星 直樹

・前半<お客様に利益を還元>はこちら

「伝票レス」は仕入先にもメリット

――POSレジとポイントカードの違いは何ですか。

藤沢 POSは販売時点でどの商品が売れたかをデータ化するものですが、ポイントカードはどなたが、いつ、何月、何日、何時に、何を、いくらで、どこの店のだれから購入したかが瞬時にわかります。こうしたことから、ポイントのほかにもお客様に還元する新しいサービスが生まれました。

 例えば、最近は減りましたが、メーカーの製品にトラブルやリコールがあったときです。われわれはすぐに購入したお客様の人数をお知らせすることができるので、交換商品の手配やお客様への連絡がスムーズに行えるのです。
 

「少量、多品種、高回転」によるヨドバシカメラの「付加価値経営」について語る藤沢昭和社長

――データ化の徹底による「伝票レス」の経営が、多くのメリットを生んでいるのですね。

藤沢 私が言っているのは「少量、多品種、高回転」の3つです。(この3つを実現するためには)やはり在庫回転率を上げないと。そのためにPOSレジやポイントカードによるデータ分析を都度行っています。

 在庫回転率を上げるために、取引先と経理のやりとりまでデータ化しています。『今月の納品はこれだけあったので、ヨドバシカメラからの支払いはこれだけあります』という仕入先とのデータのやり取りは経理がしますが、極端な話、請求書はいらないのです。請求書があると領収書が必要になります。

 入荷された商品に対して、決められた支払日に銀行からメーカーに自動的に入金される。経理をデータ化することで、無駄な経費の負担を取引先にかけさせないのが「付加価値経営」の意味です。

――現在の年間の在庫回転数はどのぐらいですか。

藤沢 そうですね。理想は年間24回転、1か月に2回転を目指しています。現在は年間17、18回転ですかね。インターネット販売にも力を入れているので、在庫を持たなければならず、多少回転数は落ちますが、理想は年間24回転です。

 インターネットでは物干し竿から日曜大工品、オムツは当たり前でいろんな商品がありますからね。まだまだ品揃えが充実しているとはいえませんが、お客様の要望を満たすために品揃えは重要です。

・<ネットで1000億円突破>に続く