歴代iPhone販売台数トップは「iPhone 6」、右肩上がりのピークは過ぎたか
2008年に日本初のiPhone「iPhone 3G」が発売されてから、この7月で丸8年が経った。スマートフォンはすっかり普及し、スマートフォン用の保護フィルムやケース、スタンド、モバイルバッテリなどのアクセサリも定着した。実売データを集計した「BCNランキング」では、2008年以降毎年、アップルのiPhoneが、スマートフォンの販売台数でNo.1を獲得し続けている。これら歴代iPhoneのなかで、累計販売台数が最も多かったのは、2014年9月19日に発売された「iPhone 6」だ。
2012年9月21日発売の「iPhone 5」の2016年6月末までの累計販売台数を1とすると、「iPhone 5s」は1.17、「iPhone 6」は1.37、「iPhone 6s」は0.75と、「iPhone 6s」の減速ぶりは顕著だ。「iPhone 6 Plus」と「iPhone 6 Plus」は、同時に発売した「iPhone 5s」に比べ、発売当初からずっと在庫過剰気味で、ヒットした印象のない「iPhone 5c」よりも累計販売台数は少なく、「iPhone 6」以降、画面サイズのバリエーションを4.7インチと5.5インチの二つに増やしたものの、人気は、4.7インチモデルに集中している。
「iPhone 6」までは、モデルチェンジごとに着実に販売台数を伸ばし、累計販売台数を塗り替えてきた。しかし、「iPhone 3G」から続いてきた記録は、「iPhone 6s」で途切れることになりそうだ。不振の最大の要因は、いま使っているiPhoneの使い勝手や契約しているキャリアの料金プランに不満を感じていない多くのユーザーが買い替えを見送ったからだろう。新モデルの魅力不足とも、過去のiPhone人気の反動ともいえる。例年通りなら、今年9月に発表される新モデルでも回復せずに、このまま売れ行きが右肩下がりになると、「日本で最も売れたスマートフォン」は、「iPhone 6」ということになる。
「iPhone 6s」の売れ行き不振の要因として、新機能の少なさが挙げられるが、過去最大のヒットとなった「iPhone 6」の反動ともいえる
iPhoneは、2008年7月11日発売の「iPhone 3G」から2010年6月24日発売の「iPhone 4」まで、ソフトバンクが独占して販売していた。2011年10月14日発売の「iPhone 4s」から、ソフトバンクとKDDI(au)の2社に、2013年9月20日発売の「iPhone 5s」からドコモも加わり、主要3キャリアがすべて扱うようになった。
また、今年3月4日から、ソフトバンクグループの「Y!mobile(ワイモバイル)」も取り扱いを開始したが、対象は旧機種の「iPhone 5s」で、本来は3色あるカラーもシルバーとスペースグレイの2色だけと地味な展開。ソフトバンクが抱える在庫をさばくためではないか、との憶測も流れているようだ。MVNO初のエックスモバイルに続き、KDDIグループのUQコミュニケーションズが提供するMVNOサービス「UQ mobile」も、7月から取り扱い端末に「iPhone 5s」を追加。通信料の安さがウリの「格安SIM」まで広がってきた。
2013年11月から、アップルは、Apple Online StoreでSIMフリーモデルの販売を開始。今は、オンラインストアに加え、全国のアップルストアでも販売している。端末自体の価格はキャリア版に比べて高くなるものの、SIMフリーモデルなら、格安SIMを含め、好きなキャリアを選べるメリットは大きい。
「ついに日本にiPhone上陸」と、8年前の騒ぎを強烈に覚えている人もいるだろう。どのキャリアがiPhoneを販売するのかが話題を集めていたのも記憶に新しい。しかし今では、キャリアと紐付いたイメージは薄れ、iPhoneはiPhoneとして定着した反面、すっかり見慣れたテイストの展示を含め、特別感は薄れつつある。
*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベース(パソコンの場合)で、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。
iPhone 6s/6s Plusは不発 前年実績を大きく下回る
現行モデルの「iPhone 6s」「iPhone 6s Plus」は、それぞれ前機種「iPhone 6」「iPhone 6 Plus」の販売台数を下回り、今年3月31日発売の「iPhone SE」をあわせても、前年に発売した「iPhone 6/6 Plus」の累計販売台数の6割弱にとどまっている。2012年9月21日発売の「iPhone 5」の2016年6月末までの累計販売台数を1とすると、「iPhone 5s」は1.17、「iPhone 6」は1.37、「iPhone 6s」は0.75と、「iPhone 6s」の減速ぶりは顕著だ。「iPhone 6 Plus」と「iPhone 6 Plus」は、同時に発売した「iPhone 5s」に比べ、発売当初からずっと在庫過剰気味で、ヒットした印象のない「iPhone 5c」よりも累計販売台数は少なく、「iPhone 6」以降、画面サイズのバリエーションを4.7インチと5.5インチの二つに増やしたものの、人気は、4.7インチモデルに集中している。
「iPhone 6」までは、モデルチェンジごとに着実に販売台数を伸ばし、累計販売台数を塗り替えてきた。しかし、「iPhone 3G」から続いてきた記録は、「iPhone 6s」で途切れることになりそうだ。不振の最大の要因は、いま使っているiPhoneの使い勝手や契約しているキャリアの料金プランに不満を感じていない多くのユーザーが買い替えを見送ったからだろう。新モデルの魅力不足とも、過去のiPhone人気の反動ともいえる。例年通りなら、今年9月に発表される新モデルでも回復せずに、このまま売れ行きが右肩下がりになると、「日本で最も売れたスマートフォン」は、「iPhone 6」ということになる。
「iPhone 6s」の売れ行き不振の要因として、新機能の少なさが挙げられるが、過去最大のヒットとなった「iPhone 6」の反動ともいえる
増える取り扱いキャリア 販売増を目論むアップルとキャリアの思惑が一致か
2013年6月から2016年6月までの3年間で、iPhoneの月間販売台数の変化をみると、「iPhone 6s」「iPhone 6s Plus」発売直後の2015年9月~11月は前年を大きく下回ったが、2015年12月、翌2016年1月は前年を上回った。特に今年1月は、総務省が示した「実質0円」販売の是正を求めるガイドラインの施行直前とあって、有利な条件で買えるうちに買っておこうという駆け込み需要が発生、前年同月比166.2%と販売台数が大きく跳ね上がった。その反動が収まった4月以降は、前年以上か、ほぼ前年並みで推移している。iPhoneは、2008年7月11日発売の「iPhone 3G」から2010年6月24日発売の「iPhone 4」まで、ソフトバンクが独占して販売していた。2011年10月14日発売の「iPhone 4s」から、ソフトバンクとKDDI(au)の2社に、2013年9月20日発売の「iPhone 5s」からドコモも加わり、主要3キャリアがすべて扱うようになった。
また、今年3月4日から、ソフトバンクグループの「Y!mobile(ワイモバイル)」も取り扱いを開始したが、対象は旧機種の「iPhone 5s」で、本来は3色あるカラーもシルバーとスペースグレイの2色だけと地味な展開。ソフトバンクが抱える在庫をさばくためではないか、との憶測も流れているようだ。MVNO初のエックスモバイルに続き、KDDIグループのUQコミュニケーションズが提供するMVNOサービス「UQ mobile」も、7月から取り扱い端末に「iPhone 5s」を追加。通信料の安さがウリの「格安SIM」まで広がってきた。
2013年11月から、アップルは、Apple Online StoreでSIMフリーモデルの販売を開始。今は、オンラインストアに加え、全国のアップルストアでも販売している。端末自体の価格はキャリア版に比べて高くなるものの、SIMフリーモデルなら、格安SIMを含め、好きなキャリアを選べるメリットは大きい。
「ついに日本にiPhone上陸」と、8年前の騒ぎを強烈に覚えている人もいるだろう。どのキャリアがiPhoneを販売するのかが話題を集めていたのも記憶に新しい。しかし今では、キャリアと紐付いたイメージは薄れ、iPhoneはiPhoneとして定着した反面、すっかり見慣れたテイストの展示を含め、特別感は薄れつつある。
とりあえず迷ったらiPhoneというアドバイスは健在だが……
「iPhone 6s」は当初の見込みを下回っているとしても、メーカー別では、アップルのシェアは依然として4割超を占め、話題のゲームやSNSができる、一番売れている手堅いスマホを選びたい、というニーズにマッチするのはiPhoneだ。とはいえ、史上最大のアップデートを謳いながらも、次期OS「iOS 10」の新機能は目新しさに乏しく、モデルチェンジで買い替えニーズが急に高まるとは考えにくい。料金プランやキャンペーンについても、主要3キャリア横並びの状況が大きく変わるとは思えない。振り返ると、ピークは、「iPhone 5s」から「iPhone 6」にかけてだったのかもしれない。(BCN・嵯峨野 芙美)*「BCNランキング」は、全国の主要家電量販店・ネットショップからパソコン本体、デジタル家電などの実売データを毎日収集・集計している実売データベース(パソコンの場合)で、日本の店頭市場の約4割をカバーしています。