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日本マイクロソフト、批判相次ぎ対応を変更、Windows 10の無償アップグレードで将来への焦りや懸念も?

オピニオン

2016/07/25 13:00

 半ば強制的だったWindows 10の無償アップグレードが、無償提供期間最終月の7月に入ってから簡単に拒否できるようになった。マイクロソフト(MS)の強引な更新方法に対し、Windowsユーザーの批判が世界的に拡大したことが理由で、日本では国が注意喚起に乗り出す異例の展開をたどった。
 

 「皆さまのフィードバックを真摯に受け止め反映させた新しい『Windows 10を入手する』アプリの通知が順次表示されるようになります」。日本では7月1日、公式ブログを更新して無償アップグレードに関する記事を投稿した。

 記事は、アップグレードを知らせる通知画面に「無償アップグレードを辞退する」との表示を新たに設定したほか、アップグレードする時期について「今すぐ」と「日時指定」のどちらかが選べることを伝えた。

 経緯を振り返ると、MSは2015年7月29日、Windows 10の無償アップグレードキャンペーンを1年間の期限付きで開始。パフォーマンスの向上やセキュリティの強化などを理由に、Windows 7とWindows 8.1のユーザーに移行を促してきた。

 16年5月には、MSが日時を一方的に指定してアップグレードする“強行策”を打ち出した。予期せぬアップグレードで不具合が相次ぎ、事態を重く見た消費者庁は6月、「無償アップグレードに関する確認・留意事項」を出して注意を呼び掛けた。

 無償アップグレードをめぐる混乱は、米国ではさらに深刻で、なかには訴訟に発展するケースも。MSは、ユーザー間で増す不信感を払しょくするために今回の対応策を取ったとみられる。
 

「無償アップグレードを辞退する」との表示を設定した新しい通知画面

 「18年までにWindows 10搭載機器10億台」の目標を掲げるMS。無償で最新OSを提供し、一時は無理やりに移行を推し進めようとした姿勢からは、将来に対する焦りや懸念がにじみ出ていると言っても過言ではないだろう。(BCN・廣瀬 秀平)
 
※『BCN RETAIL REVIEW』2016年8月号から転載