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商品を“育てる”姿勢に根ざす 東急ハンズ流の家電販売戦略

売るヒント

2016/07/25 13:00

 暮らしの「ヒント・マーケット」をコンセプトに掲げ、ショッピングで見出す楽しさを提案している東急ハンズ。家電の販売構成比は5%程度だが、商品を“育てる”という一環した姿勢で独自の販売戦略を実らせている。


ヘルス&ビューティ担当の伊藤順子マネージャー(左)と
キッチン・クリーン用品担当の土肥恵美子マネージャー(右)
 

「売れるまで育てる」から生まれるメーカーの信頼

「家電量販店と比較すると、価格戦略や品数では太刀打ちできない」。キッチン・クリーン用品を担当する土肥恵美子マネージャーはそう語るものの、これまでにヒット商品を連発してきたのも事実だ。その背景には「売れるまで育てる」というハンズ流の販売姿勢がある。「売れなければ即撤去ではなく、売れるにはどうすればよいか。スタッフが商品に思い入れをもって育てている」(土肥マネージャー)。この姿勢を評価しているのは、商品を開発・販売するメーカーだ。
 

伊藤順子マネージャーは「中立の視点だからこそお客様はヒント・スタッフの言葉に耳を傾ける」と語る

「現在売れているのは、スティック掃除機の『マキタのターボ』。通販生活限定の商品だが、東急ハンズはリアル店舗で唯一販売している」(土肥マネージャー)。“東急ハンズだけ”が展開できるのは、メーカーと信頼関係をしっかりと構築しているからだ。メーカーと商品の企画段階から密に打ち合わせ、販売戦略を一緒に考えることもある。
 

リアル店舗では東急ハンズだけが販売する「マキタのターボ」
 

“モノ”ではなく“人”で売る「ヒント・スタッフ」の魅力

 東急ハンズといえば実演販売が有名だ。「ヒント・スタッフ」と呼ばれる専任の担当者が巧みな話術で商品を売り込む。「ヒント・スタッフは常に中立の視点で商品の魅力を伝えるので、お客様も納得したうえで購入を決断する」と、ヘルス&ビューティ担当の伊藤順子マネージャーはメリットを語る。

 直近で売れているのはソーダストリーム。他社で飛び抜けて売れているという話は聞かないが、東急ハンズは取り扱うメーカーを一社に絞り、ヒント・スタッフが魅力を直接訴求し、販売台数を伸ばした。
 

「売れるまで育てる」という東急ハンズの信念を語る土肥マネージャー

“モノ”ではなく“人”の魅力で訴えることで、メーカーだけでなくユーザーとの信頼関係を構築する東急ハンズ。メーカーとユーザー双方の忌憚ない意見に耳を傾けて、企画・開発・販売するオリジナル商品も好評。固定ファンもつく販売戦略を築いている。
≪東急ハンズの実演販売≫
実演販売は多岐にわたる。4月には池袋店の店頭でスティックPCの実演を行った。「暮らしの中でどう役立つのか」を平易な言葉で分かりやすく説明するので、老若男女問わず興味本位で思わず立ち止まってしまう。まさに“モノ”でなく“人”で売るということだ
 
 
※『BCN RETAIL REVIEW』2016年8月号から転載